実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.13
NECとアイシン、生成AIと人型CGで金融窓口の接客を担うAIを共同開発
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- デジタル化についていけない顧客が離脱する
- 窓口の人手が足りず案内が回らない
- 高齢者や外国人への対応が属人的
どのようなAIの取り組み?
生成AIと顔認証、CGの人型キャラクターによる対話を組み合わせ、金融機関の窓口などでの案内・接客を担うAIシステムの開発に着手した取り組み
業種
ITソリューション(IT・通信)/金融機関窓口向け
取り組み領域
窓口・受付での対面接客/顧客案内
使ったAI
生成AI「cotomi」+顔認証+CGの人型対話エージェント
主な成果
2024年12月に金融業界向け提供開始予定(開発段階)
NECは2024年10月、株式会社アイシンと共同で、窓口のような対面の接点で案内を行うAIシステム「NEC Personal Consultant」の開発を始めました。NECの生成AI基盤「NEC Generative AI Framework」により業務や利用シーンに応じたLLM(大規模言語モデル)を使い分け、自社開発の生成AI「cotomi」で業種・業務に合わせた応答を組み立てます。本人確認には、生体認証「Bio-IDiom」の中核である顔認証技術を用います。ここにアイシンが開発したマルチモーダル対話エージェント、すなわちカメラ画像や音声から相手の状況を読み取る対話の仕組みを組み合わせ、フルCGキャラクター「Saya」が表情・視線・ジェスチャーを伴って応答します。2024年12月に金融業界向けから提供を開始し、ホテル、リテール、交通、不動産などへ適用業種を広げる計画です。
出典:NEC、アイシンと共同で生成AIとデジタルヒューマン技術を組み合わせたパートナーAIシステムの開発を開始 (2024年10月15日): プレスリリース | NEC 発行元:日本電気株式会社(NEC)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
デジタルサービスが広がる一方で、ITリテラシーや言語の壁からそれを使いこなせない高齢者・外国人が一定数残り、さらに情報が多すぎて途中で離脱してしまう顧客層も無視できない規模になっている、という認識がこの開発の出発点に置かれています。人手不足によって有人窓口を厚くする選択肢が取りにくくなっていることも、背景として示されています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「機械が答えられる情報の量」ではなく、「相手が誰で、いま何に困っていて、どこまで理解できているかを読み取る役割が抜け落ちていること」にあるのではないでしょうか。従来の端末は、質問が正しく入力されて初めて機能します。ところが取り残されている層は、そもそも何をどう尋ねればよいか分からないまま画面の前で止まってしまう。回答精度を上げるだけでは埋まらない溝が、そこにあると考えられます。
どうやって、うまくいったのか
役割を「認識と生成」「対話の表出」に分けて二社で分担した構成が、この開発の骨格になっています。NEC側が生成AIの基盤とLLMの使い分け、業種特化の応答、そして顔認証による本人確認を受け持ち、アイシン側がカメラ画像と音声から相手の状況を汲み取るマルチモーダル対話エージェントとデジタルヒューマンの表現を担う。応答の中身を作る部分と、それを人に伝わる形で表に出す部分は、必要な技術も評価の物差しも異なります。両者を無理に一つのチームで抱え込まず切り分けたことが、それぞれを深掘りできる条件を作ったと考えられます。
本人確認を顔認証で先に済ませる設計も、対面接客AIとしては要になりそうです。誰が目の前にいるか特定できなければ、案内は「誰にでも同じ一般的な説明」に留まらざるを得ません。NISTの顔認証ベンチマークで複数回1位を獲得した技術を土台に据えたうえで、対話を通じて属性や状況を認識・推測する層を重ねている点からは、個々の相手に合わせた応答という目標から逆算して構成要素を選んでいることがうかがえます。
非言語表現をリアルタイムに出す仕組みを、付加的な演出ではなく対話インタフェースの中核に置いたことも見逃せません。表情・視線・ジェスチャーは、話が通じているかを相手に返すための信号でもあります。文字や音声だけの応答では脱落してしまう層に届かせるという課題設定に対して、この選択は素直な解と言えるでしょう。加えて、対話履歴から会話内容をモニタリングし改善を支援する機能が組み込まれており、提供して終わりにせず運用しながら磨く前提が設計に織り込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
本件は開発開始の段階であり、削減率や対応件数といった運用成果はまだ公表されていません。2024年12月に金融業界向けの提供が始まる予定で、その後ホテル、リテール、交通、不動産など人の手ざわりが求められる業界へ適用を広げることが検討されています。今後はマイナンバーカード認証など認証手段の拡充が予定されているほか、デジタルヒューマンを安全に使うためのAI倫理・ガバナンスのあり方についても提言していく方針が示されています。成果検証はこれからの段階にある取り組みです。
うちでも使える?
応用が効きそうなのは、来訪者と対面で向き合う接点があり、かつ本人確認を伴う手続きが多い業務でしょう。窓口や受付で「まず状況を聞き出す」ところに時間が取られている場合、対話で相手の状況を推測しながら案内する仕組みは検討に値します。反対に、来訪者の目的が単一で選択肢も少ない窓口であれば、表情や視線まで再現する対話インタフェースは過剰になりかねません。顔認証を使う以上は生体情報の取り扱い方針や同意取得の運用を整える必要があり、CGキャラクターを表示する端末の設置場所や音声が周囲に漏れない環境づくりも前提条件になります。まだ提供開始前で運用実績が公表されていない点も、判断材料として押さえておきたいところです。
小さく試すなら、既存のタブレットやPCで、窓口に来た人の最初のひと言を音声で受けて用件を仕分けるだけの画面を一つ作り、実際に何割が用件にたどり着けるかを見てみる。そこで詰まる場面が見えれば、非言語表現や本人確認まで踏み込む価値があるかどうかの判断がつくはずです。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本電気株式会社
日本電気株式会社(NEC、取締役 代表執行役社長 兼 CEO 森田隆之)。生成AI「cotomi」や生体認証「Bio-IDiom」、価値創造モデル「BluStellar」を有し、安全・安心・公平・効率という社会価値の創造を目指す企業。
出典・参考情報
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