更新 2026.08.13
東洋エンジニアリング、AIで経営シナリオを試算し計画作成を50%短縮
プロジェクト期間:3年以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 業務改善が経営数値に結びつかない
- 案件計画の作成に何か月もかかる
- 人手に頼った見積・計画づくり
どのようなAIの取り組み?
LLMや機械学習・数理モデルを統合した経営管理モデルで、事業計画シナリオの評価と案件計画づくりを支援したAI取り組み
業種
プラントエンジニアリング(建設・土木)
取り組み領域
経営管理・事業計画/プロジェクト計画立案
使ったAI
LLM・機械学習・数理モデルを統合した経営管理モデル(Accenture AI HUB Platform)
主な成果
プロジェクト計画ドラフト作成を従来比約50%短縮、生産性25%向上のシナリオも発見
プラントエンジニアリングを手がける東洋エンジニアリングは、2019年から全社的なデジタル改革「DXoT」を進めており、その中核としてアクセンチュアの支援のもと、経営の意思決定をデジタル上で試算する仕組みを構築しています。「Accenture AI HUB Platform」を基盤に、LLM・機械学習モデル・数理モデルを組み合わせた経営管理モデルをつくり、複数の事業オプションについてAIが実行計画を自動生成し、KGI・KPIの見込みまでシミュレーションします。その土台として、標準データモデル上に大小数百のAI・機械学習・数理モデルを統合した「データ&モデル駆動型オペレーティングモデル」を整備し、設計段階の情報がプロジェクト管理システムの計画データへ連動する流れをつくっています。
出典:東洋エンジニアリング:データ&モデル駆動型の経営デジタルツイン | 事例 | アクセンチュア 発行元:アクセンチュア
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
プラントエンジニアリングは、大規模かつ長期のプロジェクトが中心で、各国の政治情勢によってサプライチェーン計画が揺れ動きます。加えて労働集約型のビジネス構造ゆえに、少子高齢化による人手不足が経営の持続性そのものを脅かす要因になっていました。同社が掲げた目標は「生産性を6倍にすること」であり、現場では改善活動の積み上げでは届かない水準として「聖域なき改革」が必要だと認識されていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「人が足りない」ことそのものよりも、個々の業務を効率化しても、その成果が経営のKGI・KPIにどう効いたのかを説明できない構造にあったのではないでしょうか。効率化と経営指標が切れていると、どこに人とお金を振り向ければ資本生産性が上がるのかを判断できません。だからこそ、業務のデジタル化と同時に、経営管理・事業管理そのものを組み替える必要があったと読み解けます。
どうやって、うまくいったのか
まず効いていると考えられるのは、AIに「シナリオを作らせる」ところまでを任せ、最終判断を人間に残した役割分担です。中核事業で利益を最大化する案と、新領域にリソースを割く案のように方向性の異なる選択肢に対し、AIがそれぞれの実行計画を自動作成し、KGI・KPIの見込みまで試算します。経営陣はその結果を出発点に、AIが考慮していない情報を加えて調整する。判断を代替させるのではなく、判断材料の生成量とスピードを上げる設計にしたことが、経営の現場で使える仕組みにつながったのではないでしょうか。
次に、経営モデルの手前にある業務データの流れを作り込んだ点が挙げられます。経営デジタルツインが成り立つには、適切な精度・鮮度・粒度で業務データが集まることが前提になります。そこで標準データモデルの上に大小数百のAI・機械学習・数理モデルを載せ、デジタル設計ツールで概要設計を行えば必要リソースや高リスク箇所が算出され、それがプロジェクト管理システムに渡ってスケジュールとリソース配分の最適化、財務・リソース・リスクの計画データ生成につながる、という連鎖を組み上げています。しかもプロジェクト戦略や制約条件が変わるたびに再計算・再評価される。データを一度集める仕組みではなく、変化に追従して更新され続ける仕組みにしたことが、経営判断に耐える鮮度を担保していると考えられます。
三つ目は、完成を待たずに運用へ載せて改善を回す進め方です。一定の段階に達したら実運用に適用し、フィードバックを受けて動的に改善していく。計画づくりでも、AIが生成した計画に人間がフィードバックを与える協働の形をとっています。加えて、アクセンチュアが特定領域に限定したサービス提供ではなく、DXを手段とした議論のパートナーとして関与している点も、この改善サイクルを支える体制面の要素として見逃せません。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
データ&モデル駆動型の経営・事業管理を運用に載せた結果、プロジェクト生産性を25%向上させる事業計画シナリオが見つかるケースが生まれ、データに基づく意思決定が社内に浸透しつつあります。通常3か月程度かかるプロジェクト計画のドラフト作成は、人とAIが協働するモデルにより従来の約50%短縮で実現できており、条件が整えば約90%の効率化が可能なケースも見え始めています。AIは納期を15〜20%短縮する実現可能な案など、人が検討する場合より多くの選択肢を出せるようになっています。経営デジタルツインから得られる示唆を用いた生成AIのユースケースも実証段階に入っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、計画づくりの前提条件と算出ロジックがある程度定型化できる業務です。見積、要員配置、納期計画のように「条件を変えたら結果がどう動くか」を計算で表せる領域なら、規模が小さくても同じ考え方は成立します。逆に、案件ごとに前提の置き方が担当者判断でバラバラだったり、計画データが個人のExcelや個別フォルダに散らばっている状態では、モデルを載せる以前にデータの粒度と鮮度をそろえる工程が重くのしかかります。数百のモデルを標準データモデル上に統合するような構成は相応の投資と体制を前提としており、そのまま真似る話ではありません。
参考になるのは規模ではなく順序のほうです。この事例では、業務のデジタル化で生まれたデータを経営指標と連動させ、条件が変われば計画が自動で再計算される流れを先に作っています。まず自社の主要な案件をひとつ選び、その計画を組み立てるときに使っている前提条件と計算式を、担当者の頭の中から表計算やシステム上の再計算できる形に移してみる。そこから始めても、条件変更のたびに作り直していた手間の在りかは見えてくるはずです。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
東洋エンジニアリング株式会社
出典・参考情報
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