実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.14
環境省が生成AI「GaiXer」を活用開始、文献整理・資料作成の工数削減へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 膨大な資料の整理に時間を取られている
- 公表用の集計資料づくりが毎回大変
- 機密情報が多くAIを使いにくい
どのようなAIの取り組み?
エンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」の活用を開始し、情報収集や資料作成の効率化を目指す官公庁のAI取り組み
業種
中央省庁(公共・公益事業)
取り組み領域
情報収集・整理/資料作成などの事務全般
使ったAI
GaiXer(行政・企業向け生成AIサービス)
主な成果
活用開始の段階で、情報整理や資料作成の工数削減と本質的業務への時間創出を目指す(実績値は未公表)
環境省が、FIXERの提供するエンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」の活用を2025年12月に開始しました。同省では膨大な情報の整理や資料作成をはじめとする業務全般の効率化が課題となっており、これまでの官公庁における導入実績が採用の決め手になっています。想定されている使い道は具体的で、海外の文献やガイドライン、科学論文の収集・整理にかかる工数削減、PRTR制度に関する企業からの届出内容の集計と公表用データ・資料の作成、化学物質アドバイザーが市民向けに情報発信する際のリスクコミュニケーション資料の作成補助が挙げられています。加えて、古いホームページのHTMLコードと現行法を突き合わせて修正箇所を洗い出す使い方や、地理情報システム(ArcGIS)で管理する大量のメッシュデータの分析・活用にも広げる構想です。狙いは効率化そのものではなく、そこで空いた時間をより本質的な業務へ振り向ける点に置かれています。
出典:GaiXer、環境省で活用開始 ~生成AI活用で業務を効率化、より本質的な業務に取り組む時間の創出へ~ - 株式会社FIXER 発行元:株式会社FIXER
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
公表されている課題は「膨大な情報の整理や資料作成など、業務全般の効率化」という、どの組織にも当てはまりそうな一文です。ただ、想定活用先として並ぶ項目まで見ると、その中身はかなり具体的な像を結びます。海外の文献やガイドライン、科学論文の読み込み、PRTR制度に基づく届出内容の集計と公表資料づくり、市民向けのリスクコミュニケーション資料の作成。いずれも、専門知識を持つ職員が自分で読み、判断しなければ先へ進まない性質の仕事です。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は作業の量そのものよりも、判断できる人の時間が下ごしらえに吸い上げられてしまう構造にあったのではないでしょうか。集計や整理は誰かが片づけなければ次の工程が動きませんが、そこに専門職の時間を投じても、行政の判断としての付加価値は生まれにくい。「本質的な業務への時間創出」という言い回しは、この時間配分の偏りを別の言葉に置き換えたものと読めます。
どうやって、うまくいったのか
行政の現場で生成AIを使える状態にするうえで効いているのは、利用環境そのものを制約の側に合わせて整えた点です。GaiXerは政府のセキュリティ基準を満たすSaaSとして評価される「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストに登録され、行政専用ネットワークであるLGWANからの利用にも対応し、データ保護機能とアクセス制御機能を備えています。採用の決め手が官公庁での導入実績だった点からも、モデルの性能比較より先に「その環境で安全に動かし続けられるか」が問われたことがうかがえます。汎用の生成AIをそのまま持ち込むのではなく、扱う情報の性質に合わせて利用条件を先に満たしておくやり方は、外部に出せない情報を多く抱える組織ほど効いてくると考えられます。
もう一つ注目したいのは、使い道を抽象的な「業務効率化」で止めず、個別の業務名まで下ろしている点です。PRTR制度の届出内容の集計と公表用データづくり、市民向けリスクコミュニケーション資料の作成補助、古いホームページのHTMLコードと現行法の突き合わせ、ArcGIS上のメッシュデータの分析と、対象はいずれも担当者が作業手順を思い浮かべられる粒度で示されています。生成AIは何にでも使える道具である反面、入口が漠然としたまま配られると誰も最初の一手を決められません。用途を業務名で名指しする設計は、その空転を避けるための現実的な選択でしょう。
利用する大規模言語モデル(LLM)を選んで実行できる構成も、こうした使い分けと相性の良い作りです。文献の要約、届出データの集計、コードと法令の突き合わせでは、求められる正確さも扱う情報量も同じではありません。業種別テンプレートを用いたプロンプト作成支援や各種データの学習機能と併せて、職員が試行錯誤の入口で立ち止まらずに済む形に組み立てられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは活用の開始までで、削減できた時間や処理件数といった実績値は示されていません。掲げられているのは、情報の収集・整理や資料作成にかかる工数を減らし、その分をより本質的な業務へ充てるという狙いであり、成果はこれから測られる段階にあります。想定用途にHTMLコードの点検やメッシュデータの分析といった技術寄りの作業まで含まれている点からは、文章づくりの補助にとどめない使い方が視野に入っていると読めます。
うちでも使える?
この事例が応用しやすいのは、外部の公開情報を大量に読み込んで要点を整理する仕事や、様式と項目があらかじめ決まっている集計・公表資料を抱えている組織です。決まった型があるほど、生成AIの出力が正しいかどうかを担当者が短時間で見分けられるため、任せる範囲を広げやすくなります。
一方で、そのまま真似しにくい部分もあります。LGWANやISMAP-LIUといった前提は行政特有のもので、民間企業がそのまま持ち込める話ではありません。また、社内の誰かの頭の中にしか判断基準がない資料づくりは、テンプレートを整えるだけでは埋まらず、まず基準を書き出す作業が先に必要になります。ArcGISのような専門システムのデータを扱う使い方も、そもそもデータが分析に耐える形で整理されているかどうかに左右されます。まずは直近に作った資料を一本開き、外部の公開情報を読んで要点をまとめただけの箇所に線を引いてみてはいかがでしょうか。その分量が、任せられる仕事の当たりをつける最初の手がかりになります。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社FIXER
クラウド黎明期の2009年に創業したクラウドネイティブカンパニー。Microsoft Azure本格提供前から日本のエンタープライズシステムのクラウド化を手掛け、エンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」を行政・企業向けに提供している。代表取締役社長は松岡清一。
環境省
出典・参考情報
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