実施 2024.11 ・ 更新 2026.08.14
東京メトロの生成AIチャットボット、好評価が約2倍 オペレーター支援も並行
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせ対応の質が担当者の経験次第
- 過去のやり取りを探すのに時間がかかる
- チャットボットのFAQ更新が追いつかない
どのようなAIの取り組み?
生成AIチャットボットと過去対応データを使った回答支援により、問い合わせ窓口の対応品質と効率の両立に取り組んだAI取り組み
業種
鉄道(運輸・物流)
取り組み領域
お客様センター/問い合わせ対応
使ったAI
生成AI・RAG(Alli LLM App Market)
主な成果
チャットボット回答への好評価の割合が従来比約2倍
東京地下鉄(東京メトロ)は、年間約40万件の問い合わせを受けるお客様センターで、2024年11月28日から生成AIの活用を始めています。採用したのはAllganize Japanの生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」で、用途は大きく二つに分かれます。一つはWebサイトに置いた利用者向けのチャットボットで、FAQで答えられない質問にはRAG(自社の情報を検索して回答を組み立てる仕組み)で自動生成した回答を返し、忘れ物の照会も受け付けます。もう一つは問い合わせフォーム経由の回答支援で、Salesforceと連携して内容を要約・分類したうえで回答案まで作成し、オペレーターと責任者が確認して返信する流れとしています。
出典:■導入事例■【東京メトロ様】お客様満足度向上と業務効率化を両立!鉄道会社初の生成AIチャットボットとオペレーター業務支援、その導入効果と舞台裏 発行元:Allganize Japan株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
従来のFAQチャットボットは、答えられる範囲を広げるために回答できなかった質問を洗い出してFAQを足し続ける運用が必要で、回答率とメンテナンス負荷の両方が課題になっていました。一方、フォーム経由で年間約10万件寄せられる問い合わせでは、Salesforceに蓄積された対応ログをキーワードで探すのですが、汎用的な言葉で検索すると大量のメールが並び、一件ずつ確かめることになります。経験のある担当者は「去年のあの時期に似た問い合わせがあったはず」と当たりを付けて検索語を選べる一方、ジョブローテーションで着任したばかりの社員にはその手がかりがありません。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は問い合わせの量ではなく、「答えがどこにあるか」という手がかりが個人の記憶の中にしか存在しなかったことにあります。検索という行為そのものが経験を前提にした設計になっていたため、人が入れ替わるたびに窓口の応対速度が振り出しに戻る構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
利用者向けチャットボットで効いているのは、FAQで答えられる範囲はFAQに任せ、そこから外れたときだけ生成AIが回答を組み立てるという二段構えの切り分けです。しかも生成AIが参照する情報源を自社Webサイト内に限定しており、これがハルシネーション(もっともらしい誤情報の生成)のリスクを抑える歯止めになっています。運用面では、回答できなかった質問を拾ってFAQを追加していく作業や、「ICカード乗車券」に対する「PASMO」「アイシー」といった類義語をあらかじめ登録しておく作業から解放される設計でもあり、回答範囲の拡張を人手の作り込みに頼らない形へ移した点が要点です。
回答支援側で目を引くのは、約18,000件の過去の問い合わせ対応をデータベース化し、「東京メトロの回答スタイル」そのものを参照対象に据えたことです。生成AIは相手に寄り添った文章を作るのが得意な一方、放っておけば当たり障りのない一般的な文面になりがちですが、自社が積み上げてきた実際の回答を土台に置くことで、その企業らしさを崩さない文面が出てくる。手元の履歴を「検索対象」ではなく「文体の教師」として使い直した発想が、この設計の独自性だと考えられます。
もう一つの柱は、AIと人の担当範囲をはっきり分けたことです。問い合わせ内容の把握、約470カテゴリへの分類、関連情報の検索、回答案の作成までをAIが受け持ち、文章を整えて最終確認し、返信を確定するのは人という線引きにしたことで、誤回答の防止と時間短縮を同時に成立させています。公共交通ならではの工夫として、脅迫と思われる投稿をAIが自動判定し管理権限者へ通知する設計を組み込み、検知後は内容を精査して警視庁を含む関係箇所へ情報を展開する運用につないでいる点も見逃せません。安全に関わる領域では自動化のゴールを「判断」ではなく「即時の気づき」に置く、という割り切りがうかがえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
利用者向けチャットボットでは、回答に対する好評価の割合が従来のチャットボットと比べて約2倍に上がり、評価は毎月伸び続けています。運用面ではFAQの追加対応と類義語登録の作業がなくなりました。回答支援では、着任して間もない社員から検索に割いていた時間を圧縮できたという報告が上がっており、経験豊富なオペレーターにとっても、省略の多い文面から利用者の意図を読み取る助けになっています。経験差を縮めて応対力の底上げにつながっている点は、後進の育成期間を短くしたいという当初の狙いに沿った結果と言えます。関東近辺の鉄道会社との連絡会でも関心が寄せられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、問い合わせの答えが自社の公開情報や過去の対応履歴の中にすでに存在していて、担当者の仕事が「探して、書き直す」ことに費やされている窓口です。参照先を自社の情報に限る、FAQで答えられない分だけAIに回す、最終確認は人が行う——この三点は業種を問わず持ち込めます。逆に、その場の交渉や個別の事情判断で結論が変わる問い合わせや、履歴がフォーマットの揃わないメモ書きでしか残っていない現場では、同じ効果は見込みにくいでしょう。回答スタイルの再現も、まとまった量の過去対応が読み出せる形で蓄積されていることが前提になります。
まず試すなら、直近1か月に届いた問い合わせを見返し、「自社サイトに答えが載っているのに人が返信していたもの」がどれだけあるかを数えてみてはいかがでしょうか。その比率が高いほど、この事例の切り分けは自社に効きます。
この事例は2024年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Allganize Japan株式会社
生成AI・AIエージェントプラットフォーム「Alli LLM App Market」を提供する企業。企業向けの生成AI・LLMアプリを100個以上のテンプレートから選び、契約書チェック、クレーム対応メール作成、特定文書の要約、社内ドキュメントからの自動応答などの業務にすぐ活用できるLLMアプリプラットフォームを展開している。
東京地下鉄株式会社(東京メトロ)
出典・参考情報
■導入事例■【東京メトロ様】お客様満足度向上と業務効率化を両立!鉄道会社初の生成AIチャットボットとオペレーター業務支援、その導入効果と舞台裏
発行元:Allganize Japan株式会社
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