実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.15
人口2,700人の村の小中学校、端末220台の整備からAIドリル・生成AI試行へ
プロジェクト期間:3年以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 自宅の通信環境の差で参加できない人がいる
- 職員ごとにITの得意不得意の差が大きい
- 生成AIをどこまで使わせるか決められない
どのようなAIの取り組み?
携帯回線でつながる端末220台を土台に、AIドリルの活用と生成AIの授業での試行を段階的に進めた、人口約2,700人の村の教育デジタル化に取り組んだ事例
業種
自治体の教育行政・公立小中学校(公共・公益事業)
取り組み領域
学校教育/1人1台端末の運用
使ったAI
AIドリル(習熟度別の出題)、生成AI
主な成果
管内トップクラスのICT活用度が定着、生成AI活用は試行段階
北海道石狩管内の新篠津村は、家庭の通信環境の差が学びの差につながらないよう、Wi-Fiに頼らずLTE回線でつながるiPadを児童・生徒全員に配る方針を採りました。プロポーザル方式で複数社の提案を比較したうえでNTTドコモビジネスソリューションズを選定し、2020年に220台を村内の小中学校へ配備しています。端末には学習eポータル「まなびポケット」や授業支援の「ロイロノート」を組み合わせ、教員向けには教科別のワークショップ、運用面では学年別のフィルタリング設定と保守サポートを用意しました。その後、習熟度に応じて出題が変わるAIドリル「ミライシード ドリルパーク」やアンケート機能「WEBQU」が加わり、中学校では生成AIを授業に取り入れる試行も始まっています。
出典:北海道新篠津村 | NTTドコモビジネスソリューションズ 導入事例 発行元:NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コロナ禍で村内の学校が直面したのは、家庭にWi-Fi環境のない生徒がオンライン授業に参加できないという事態でした。当時中学校の校長だった現在の教育長は、すべての生徒の学びを保障できない状況を現場で目にしています。加えて、教員のあいだにICTの得意不得意の差があり、端末を配っても使われ方がそろわない懸念も残っていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は端末の数ではなく、学びが成立する条件が学校の外側に置かれていた点にあります。家庭がどんな通信契約を結んでいるかという、学校が手を出せない変数に授業の可否が左右される限り、平等はその都度の運任せになってしまう。1人も取り残さないという方針を実際に守ろうとするなら、まず学校側が管理できる範囲へ条件を移し替える必要があった、という構図ではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
通信手段をWi-FiではなくLTE回線に振り切った判断が、この取り組み全体の土台になっています。家庭ごとに異なる回線の有無や品質を前提から外し、端末が手元に届いた時点で全員が同じ条件でつながる状態をつくる考え方です。保護者の通信費負担を抑えながらこれを成り立たせる構成として、LTEモデルのiPadが選ばれました。ベンダー選定でも、端末の提案にとどまらず目指す学びの環境に至る道筋と支援体制を具体的に示したNTTドコモビジネスソリューションズが、複数社の比較を経て担い手となっています。
教員のスキル差への対処を操作研修で終わらせなかった設計も効いています。基本的な使い方を押さえたあと、教科ごとのグループに分かれ、自分の授業でどう使えるかを教員自身が議論する形式のワークショップが組まれました。使い方を教わる場ではなく使い道を考える場にしたことで、ICTが苦手な教員も自分の担当教科の文脈から入っていける。研修を重ねるうちにばらつきが埋まっていった背景には、この入口の置き方の差があると考えられます。
AIの持ち込み方を段階に分けた進め方は、この事例に固有の工夫です。新篠津中学校では、先にガイドラインを整備して保護者の理解を得たうえで、教員の管理下でリンクを共有し、生徒の質問に答えるチュートリアル的な使い方から生成AIの試行を始めています。習熟度に応じて出題が変わるAIドリル「ミライシード ドリルパーク」や、学習生活の満足度を即時に確認できるアンケート機能「WEBQU」のように、教員が結果を見ながら扱える道具から順に足していく構成。学年を3区分に分けたフィルタリング設定をヘルプデスクと調整しながら運用してきた蓄積が、AIを扱う際の管理の型としても生きています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
端末の持ち帰りが石狩管内でも早い段階で始まり、コロナ禍でも学びを止めずに済みました。リモート授業では在宅の児童に声が届いているかという不安がLTE回線によって和らぎ、教室と自宅の児童を同時にケアする負担も軽くなっています。現在は管内でもトップクラスのICT活用度に達し、端末は「楽しいおもちゃ」から「当たり前の文房具」へと位置づけが変わり、学芸会での撮影や算数での電卓利用など児童からの自発的な提案も生まれています。保護者アンケートや懇談会でも一定の評価。生成AIの活用は試行が始まった段階で、第2期端末の本格運用は2026年3月からです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、利用者側の環境がそろわない前提で成り立っている業務です。在宅勤務や外部の協力者、顧客の手元といった自社の管理が及ばない場所で使われる仕組みは、通信そのものを配る側が抱えてしまうと条件差が消えます。AIを足す順序も流用しやすく、まず管理者が結果を確認できる用途から始め、利用範囲のルールを先に決めてから広げるやり方は、業種を問わず再現できる形です。
一方で、そのまま持ち込みにくい条件もあります。回線費用を配る側が負担し続ける構造のため、対象人数が数千規模になるとコストの見え方が変わります。また、この事例は児童・生徒220台という規模と、教育委員会と学校の距離が近い小規模自治体の意思決定の速さに支えられている面があり、承認経路が長い組織では同じ速度は出にくいでしょう。まずはAIを現場に触らせる前に、誰の管理下で、どこまでのやり取りなら許容できるのかを一枚の文書にまとめ、関係者に説明してみるところから。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
全国の顧客へ営業活動を行うNTTドコモビジネス株式会社のグループ会社。2025年7月の社名変更により、ドコモビジネスソリューションズからNTTドコモビジネスソリューションズへ改称。北海道支社のソリューション営業部門が自治体・教育分野を担当している。
北海道新篠津村
出典・参考情報
北海道新篠津村 | NTTドコモビジネスソリューションズ 導入事例
発行元:NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
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