実施 2023.09 ・ 更新 2026.08.15
写真5枚でAIが骨格診断、アパレルECの購買率が約2割上昇した施策
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- お客様が商品を選びきれず離脱する
- セルフ診断の入力が難しく途中で離脱
- スタッフのSNS発信を購買につなげたい
どのようなAIの取り組み?
スマホで撮った写真からAIが骨格タイプを判定し、EC上で似合う商品と店舗スタッフの発信につないだAI取り組み
業種
アパレル・生活雑貨小売(小売・流通・EC)
取り組み領域
自社ECサイト/商品提案・購買体験
使ったAI
AI骨格診断サービス「NIAiNO」(画像判定AI・SaaS)
主な成果
診断利用者の購買コンバージョン率が平均約2割上昇
株式会社パルは、全国900以上の店舗と自社ECサイト「PAL CLOSET」を販売の柱とするアパレル・生活雑貨企業です。身体の質感やラインの特徴からストレート・ウェーブ・ナチュラルの3タイプを判定する「骨格診断」については、設問に答えるチャート式のコンテンツをすでにサイト上に用意していました。そこへ2023年春、TIS株式会社がアパレル業向けに提供を始めたAI骨格診断サービスを採用します。利用者がスマートフォンで全身を撮り、正面・背面・右手など5枚の写真を送ると、AIが約5秒で骨格タイプを画面に表示する仕組みです。パルは診断結果の画面に、同じ骨格タイプを登録する店舗スタッフの一覧と、タイプ別に選んだお勧め商品を並べました。2023年9月からの3カ月のトライアルを経て、2024年4月には新コンテンツ「PAL NIAU AI」のひとつとして公開されています。
出典:株式会社パル様 | お客様事例 | TISI株式会社 発行元:TIS株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
パルが骨格診断に注目したのは2021年頃で、設問への回答からタイプを判定するチャート式コンテンツをサイトに開設していました。ただ、そこでは「自分の手首は細いのか、太いのか」といった問いに利用者自身が答える必要があり、判断基準が分かりづらいという声が寄せられていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは診断メニューの不足ではなく、利用者が自分の出した答えに確信を持てないまま結果を受け取っていた点にあります。骨格診断が一過性の流行で終わらず、ファッション選びの前提として定着していったからこそ、「たぶんこれだろう」という曖昧な自己申告の上に商品提案を積み上げる構造が、かえって心もとないものに映るようになったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、判定の入力を利用者の自己申告から写真へ移し替えた設計です。正面・背面・右手など5枚を撮って送るという手順に絞ったことで、利用者は自分の身体をどう評価するかを迷わずに済み、約5秒で結果が返ってくる。自宅で完結する手軽さは、店頭に足を運んで専門家の対面診断を受ける、あるいは設問と格闘するという従来の二択の外側に、第三の選択肢を用意したことになります。
判定の中身を支えているのは、骨格診断の提唱者である株式会社アイシービーの二神弓子氏が監修し、その経験と知識を教師データに用いるという精度づくりの考え方です。写真という客観的な入力に置き換えても、判定の物差し自体が曖昧では意味がありません。加えて、サービスがSaaS型として提供されたことで、効果測定から機能改良までのPDCA(試して測って直す進め方)を速く回せる形になっており、氏名やメールアドレスを登録しなくても診断できるようにする改修は、パルからの追加要望をTISが受けて実施したものです。
もうひとつの柱は、診断結果を終点にしなかった導線の組み立てにあります。結果画面には同じ骨格タイプを登録した店舗スタッフが一覧表示され、そのままSNSへ移動して、似た体型の人がどんな悩みを持ち、どう着こなしを工夫しているかを見に行ける。約1,800人の店舗スタッフが個人アカウントで発信し、総フォロワー数1,500万人超という既存の資産に診断結果を接続した点が、この設計の核心だと考えられます。タイプ別のお勧め商品を並べて直接購入できるようにした構成も、診断で高まった関心が冷めないうちに受け止める意図として読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
3カ月のトライアル期間に診断を利用したのは約2,500人。アンケートでは自分の骨格タイプがすぐに分かってよかったという声が目立ち、購買に至ったコンバージョン率(訪れた人のうち購入まで進んだ割合)は、診断を利用した人で平均約2割上昇していました。購買意欲そのものへの寄与は数値化されていませんが、パルはこの結果を導入効果を裏付ける材料と位置づけ、2024年4月からの再提供に踏み切っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、購入の手前に「自分はどれに当てはまるのか」という分類の判断があり、その判断を利用者本人に委ねている商材でしょう。判断材料が写真や測定値のような客観的なデータに置き換えられ、かつ判定の物差しを体系立てて説明できる専門家が社内外にいるなら、同じ道筋をたどれる余地があります。
逆に、この事例をそのまま持ち込みにくい条件もはっきりしています。診断結果を受け止める側、つまりタイプ別に整理された商品や、参照先となる発信者の情報が用意されていないと、診断だけが単独のコンテンツとして浮いてしまう。パルの場合は結果画面の先に店舗スタッフのSNSと選定済みの商品が控えていたわけで、そこが空白のままでは、利用者は結果を知って終わりになりかねません。判定の基準そのものが専門家の間でも定まっていない領域では、教師データを用意する段階でつまずくことも考えられます。
最初の一歩としては、自社の商品ページやレビュー、問い合わせの中から、お客様が「選べない」と口にしている場面を一つだけ拾い上げてみる。その迷いが客観的なデータで代替できる種類のものかどうかが、判断の分かれ目になります。
この事例は2023年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
TIS株式会社
アパレル業向けに「AI骨格診断サービス」を提供。AIを活用したファッション提案により集客から販促、データ利活用までつなげるファッション関連プラットフォーム「NIAiNO(ニアイノ)」を展開している。
株式会社パル
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