実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.15
中古物件の賃料設定を予測AIで支援、不動産グループの空室期間短縮の取り組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの値付けの勘を新人に渡せない
- 空室の期間がなかなか縮まらない
- データはあるのに活かせていない
どのようなAIの取り組み?
予測AIで中古物件の賃料や募集条件の判断を支え、空室期間の短縮に取り組んだ事例
業種
不動産デベロッパー・賃貸管理(不動産)
取り組み領域
賃貸物件の募集業務/賃料・募集条件の設定
使ったAI
DataRobot(AutoMLによる予測AI)
主な成果
早期の賃貸付けが改善し、価格設定の業務負荷も低減
都心部や横浜・川崎を中心に、不動産の企画・開発から販売、賃貸管理までをグループ内で手がけるトーシンパートナーズグループは、蓄積してきたデータと長年の経験をどう活かすかという課題を抱えていました。全社的なDX推進の一環として、日鉄ソリューションズ(NSSOL)の支援を受けながら、機械学習モデルを自動で作れるツールDataRobotを導入。複数の候補から実現可能性の高さで選ばれたテーマが、空室期間を短くするための「早期賃貸付け」、つまり物件と入居者をできるだけ早く結びつける業務でした。情報システム部門が用意した予測用の項目を業務部門と突き合わせながらモデルを作り、募集開始の条件を決めたり見直したりする日々の判断に組み込んでいます。モデルの改善は現在も継続中です。
出典:DataRobot 導入事例「トーシンパートナーズグループ」~全社 AI 化で"不動産の新しい価値"を提供し続ける企業へ~|株式会社 トーシンパートナーズホールディングス | お客様事例 |Move! | 日鉄ソリューションズ(NSSOL)のITソリューション・サービス紹介サイト 発行元:日鉄ソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
難しさが集中していたのは、中古物件の募集でした。新築であれば経験の浅い社員でも現場を見て賃料やターゲットの見当をつけられますが、中古はその物件の特徴や周辺との比較を踏まえて条件を組み立てる必要があり、ベテランの判断に頼らざるを得ません。しかもその判断の中身を新入社員に伝える手立てがなく、何とかデータ化できないかという問題意識は以前から社内にありました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は知識の量ではなく、判断の基準そのものが動くことにあったのではないでしょうか。賃料の相場は10年前、5年前、2年前とその時々で変わり、比較の対象になる周辺物件も案件ごとに入れ替わります。基準が毎回動く判断は、手順書の形に落としても再現できません。技能の伝承の問題に見えて、実際には、その都度の条件を計算し直す仕組みが欠けていた構造だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
最初に効いたのは、AIを適用するテーマを「早期賃貸付け」の一点に絞り込んだ進め方です。全社の機能戦略上の課題からデータで解けそうな候補を挙げ、部門ごとのヒアリングを重ねて、最も実現可能性が高いと判断できたものが残る形でテーマが決まりました。支援側が用意したテーマ定義シートが、この絞り込みの共通の物差しとして働いています。やりたいことではなく、今あるデータで解けることを起点に置いた選び方が、最初の一本を成立させたのだと見ています。
予測に使う項目を、システム部門と業務部門の往復で決めた進め方も要点でしょう。システム側が20〜30個の特徴量(予測の手がかりとなる項目)を用意して持ち込むと、業務部門からは「これはいらない」という反応が返り、そのすり合わせには相応の手間がかかりました。ただ、この摩擦こそが、ベテランが何を見て値付けしているのかを外に取り出す作業そのものだったと考えられます。過去のデータをやみくもに並べるのではなく、現場の知見で取捨選択を通す設計にしたことが、モデルの実用性を分けたのではないでしょうか。
できあがったモデルを、募集開始の条件を決める・変えるという通常の業務フローの中に置いた点も見逃せません。分析の結果を別途受け取って解釈する運用にすると、判断までに間が生まれますが、業務の流れそのものに埋め込めば、その待ち時間を作らずに済みます。運用中に生じた不具合はその都度連絡を取り合って修正し、現在もモデル改善に向けた定期的な打ち合わせが続いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
取り組みを始めた時点で苦労していた早期の賃貸付けは、随分と改善されたという手応えが現場で得られています。過去および直近の情報で学習したモデルを使うことで、価格を決める際の業務負荷も下がりました。この取り組みは、トーシンパートナーズホールディングスが選ばれたDXセレクション2024の準グランプリ受賞にも大きく寄与したと受け止められており、グループの年間表彰でも早期賃貸付けプロジェクトが優秀な取り組みとして選出されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判断の結果が後からデータで確かめられる業務です。賃貸付けは、いつ・どんな条件で募集し、どれくらいで決まったのかが記録として残るため、予測の当たり外れを見ながら改善を回せます。逆に、条件と結果が対になって残っていない業務や、良し悪しの確定までに長い時間がかかる業務では、同じ形をそのまま持ち込むのは難しいはずです。
もう一つ、この事例では「この項目はいらない」と言い切れるだけ業務を分かっている人が現場側にいたことが、事実上の前提になっています。予測に使う項目の妥当性を誰も判断できない状態だと、データが揃っていてもモデルは実務に耐えません。まず手をつけるなら、直近半年ほどの案件について、募集開始時の条件と決まるまでの日数が対で残っているかを確かめてみる。残っていれば、それがそのまま最初の学習データになります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
日鉄ソリューションズ株式会社
ITソリューション・サービスを提供する企業。デジタルテクノロジー&ソリューション事業部 AIソリューション部などを擁し、DataRobot を用いた予測AI導入やデータドリブン経営に向けた提案・支援を行う。
株式会社トーシンパートナーズホールディングス
出典・参考情報
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