実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.16
生成AIの通話要約で後処理9分→2分、食品スーパーのコールセンター内製運用
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 通話後の記録入力に時間を取られている
- 担当者ごとに記録の質がばらつく
- 電話がつながらないと苦情が来る
どのようなAIの取り組み?
生成AIによる通話の文字起こしと自動要約で、コールセンターの後処理時間を平均9分から2分へ短縮したAI取り組み
業種
食品スーパーマーケット(小売・流通)
取り組み領域
コールセンター/お客様相談窓口
使ったAI
生成AIによる通話の文字起こし・自動要約(Amazon Bedrock)
主な成果
後処理時間が平均9分から2分に短縮、1人当たりの受電数が約25%増
埼玉県を中心に195店舗(2025年3月末時点)の食品スーパーを展開するヤオコーは、本社のお客様相談室でコンタクトセンターを自社運営しています。オペレーター5名と管理者3名の計8名体制で、繁忙期には月7,000件を超える入電を受ける窓口です。ここで重荷になっていたのが、通話を終えたあとに記録を書き起こす後処理の時間でした。2024年10月に始まったプロジェクトでは、AWSの導入支援を手がけるサーバーワークスの伴走のもと、Amazon Connectと同社のソリューション「クラウドコンタクトワークスペース」を軸に、通話の文字起こしから要約の作成、CRMへの連携までをつなぐ基盤を構築。要約にはAmazon Bedrockを用い、要件定義とお試し導入を経て2025年7月から本格運用に入りました。固定電話はPCとヘッドセットで使うソフトフォンへ切り替えられています。
出典:導入事例(株式会社ヤオコー様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス 発行元:株式会社サーバーワークス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
通話が終わったあとに待っていたのは、内容を思い出しながらPCに打ち込む作業でした。長い通話になると入力だけで30分以上かかることもあり、「早く、正確に記録しなければならない」という緊張がオペレーターに常につきまとっていました。入力の速さやまとめ方には得意不得意があり、同じような内容の電話でも、残る記録の細かさや書きぶりには個人差が生じます。設定を変えるたびにベンダーへ依頼が要る運用と、固定電話という物理的な制約も重なっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は入力が遅いことそのものではなく、応対の記録という組織の資産が、個人の作文力と集中力に預けられていた点にあります。記録の質が人に依存する限り、後処理を急がせれば内容が痩せ、質を求めれば次の電話に手が回らない。応答率と履歴品質が同じ人手を奪い合う構造こそが、解かれるべき問題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
生成AIの担当範囲を「通話内容の文字起こしと要約」に絞り込み、業務フローそのものには手を入れなかった切り分けが、この取り組みの土台になっています。入電から応対、記録、次の受電へという流れは従来のまま残し、記録を文章に起こす工程だけをAIへ引き渡す構えです。現場に新しい手順を覚え直させずに済むため、切り替え時の混乱が起きにくい。導入の判断も、実際の対応音声を使って要約結果を確かめ、お試し導入で実用性を見極めてから本格運用へ進む順序が踏まれています。
要約だけを成果物とせず、文字起こしのデータを併せて残した二層の設計も見逃せません。生成AIの出力は完璧である前提を置かず、要約に不足があれば元の発話までさかのぼれる逃げ道をあらかじめ用意しています。この設計があるからこそ、管理者は要約を確認材料として信頼でき、AIが書いた記録を正式な履歴として運用に載せられます。
自社で設定を変えられる形に運用を寄せた点も、効き方の異なる要因です。自動音声応答の内容や窓口ごとのアナウンスをPC上で即座に書き換えられるようにしたことで、お客様への案内という接客そのものを、外部への依頼を挟まずに改善できるようになりました。伴走した側はソリューションを現場の使い勝手に合わせて作り込み、社内のガバナンスやネットワーク規則、アカウント管理の考え方まで踏まえて提案する役回りを担っています。作るところは任せ、日々動かすところは自分たちで握るという分担です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
通話後の後処理時間は1件当たり平均9分から2分へ短縮され、長い通話で30分以上を要していた入力作業はほぼ解消しました。オペレーター1人当たりの1日平均受電数は28件から35件へと約25%増えています。生成AIが一定の基準で要約することで記録の客観性が高まり、「正確に速く書かなければ」という心理的な重圧も和らぎました。導入から半年ほどで、現場から「この機能がないと業務が回らない」という声が上がる水準まで定着しています。効果は窓口の外にも及び、代表電話からの取り次ぎの見直しや、ホールディングス化に伴う新会社への横展開にもつながりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、通話や面談のあとに決まった形式の記録を残す業務です。記録の宛先となるシステムがはっきりしていて、書く内容の型がある程度そろっているほど、文字起こしと要約を差し込む余地は大きくなります。逆に、応対の記録そのものが判断の一部を担っていて、担当者が何を重要と見たかを含めて残す必要がある業務では、要約に任せられる範囲は狭くなります。入電が少なく後処理も短い窓口では、投じた手間に見合う短縮幅が出にくいという見方もできます。
見落としやすいのは、要約が正しいかを後から確かめられる状態を作れるかどうかです。この事例のように元の文字起こしを保管しておかないと、管理者の確認作業がかえって増えかねません。まず手をつけるなら、直近の数件について「通話は何分で、記録に何分かかったか」を並べて眺めてみる。その差が大きい窓口ほど、効果は測りやすいはずです。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社サーバーワークス
AWS専業のクラウドインテグレーター。2009年にAWSに特化した事業を開始した東証上場企業で、AWS認定の最上位パートナー(AWS Premier Tier Services Partner)。AWS請求代行、AWS設計・構築支援、AWS運用・サポート、AWS活用支援などを提供し、Amazon Connectを活用したクラウドコンタクトセンター導入サービスや自社ソリューション「クラウドコンタクトワークスペース」による伴走支援を行う。
株式会社ヤオコー
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