実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.14
住友商事の法務部、契約ナレッジ自動蓄積とAI契約レビューで社内基準を共有
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランのノウハウが個人任せ
- 過去の契約書を探すのに時間がかかる
- 中途入社の人に社内の基準が伝わらない
どのようなAIの取り組み?
契約書のナレッジを半自動で蓄積する仕組みと、自社データを参照するAI契約レビューによって、法務部の知見共有を進めたAI取り組み
業種
総合商社(商社・卸売)
取り組み領域
法務部門/契約レビュー・ナレッジ管理
使ったAI
MNTSQ CLM(AI契約レビュー・ナレッジ検索)
主な成果
契約ナレッジが自動で蓄積され、過去案件を即座に検索・参照できる環境を構築
住友商事の法務部は約50名の体制で、9つの営業グループからの相談に応じ、再生可能エネルギーから鉄鋼、自動車まで幅広い領域の契約を扱っています。担当者ごとに過去の契約書やノウハウが手元に残り、全社で共有する手立てが限られていた状況を変えるため、MNTSQ株式会社が提供する契約・ナレッジ管理サービスを導入しました。案件管理に紐づくメール連携により、営業部門とやり取りした契約書がデータベースへ半自動的に取り込まれる形をとり、蓄積した自社ナレッジを参照するAI契約レビュー機能も早い段階で採用しています。この機能はWordのアドインとして提供され、通常のレビュー作業の流れの中で、類似条項の確認やひな型との比較ができる環境が整えられました。
出典:「住友商事らしい法務」をナレッジマネジメントとAI契約レビューで実現 | 導入事例 | MNTSQ株式会社 発行元:MNTSQ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
法務部が直面していたのは、ノウハウが足りないことではなく、豊富にあるノウハウが個人の手元に留まっていたことでした。中途採用で加わる人、他部署から戻る人、育休を経て復帰する人と、経歴の異なる担当者が増えていく一方で、住友商事の法務として積み上げてきた実務のかたちを伝える手立ては限られていました。全社的なクラウドストレージはあったものの、毎回手作業でファイルを格納する必要があり、検索性にも制約が残っていた。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は保管場所の不足ではなく、蓄積という行為が担当者個人の手間と善意に依存していた点にあります。人権や環境、経済安保といった新しい論点まで法務の守備範囲が広がり、業務が逼迫している状況で、後から誰かのために資料を整えておく作業が真っ先に後回しになるのは避けがたい。共有されない知識の問題は、意識づけではなく仕組みの問題として立ち現れていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
契約書が集まる経路を、担当者の追加作業ではなく日常業務の副産物として設計した点が、この取り組みの核心と考えられます。法務部から営業部へレビュー結果をメールで返す際、CCにサービスのアドレスを入れておくと、やり取りされた契約書がそのままデータベースへ取り込まれていきます。以前試したRPA的なツールは、契約書の種類ごとの自動振り分けはできても、フォルダへ入れる作業自体は人が担う必要がありました。蓄積の起点を、業務上どのみち必ず行われる行為の上に置いたことが、忙しさに左右されずデータが増え続ける状態を生んでいます。
AIによる契約レビューの参照先を、一般的なリスク指摘ではなく自社の蓄積に向けた設計も見逃せません。事業領域が多岐にわたるぶん定型的な契約が少なく、教科書的な注意喚起だけでは実務の判断材料になりにくい。過去に類似案件でどのような条項を組み立ててきたかという社内固有の判断こそが求められる領域に、参照先を合わせた形と整理できます。ノウハウのデータベース化を先に済ませ、その土台の上にAIを載せるという順序の選択が、この参照のしかたを成立させたのでしょう。
利用の入り口をWordのアドインに置いた工夫は、定着を左右する部分です。従来は別の画面でキーワードを考えて検索する必要がありましたが、契約書を開けば参考になる条項が提示されるため、レビュー業務の延長線上で無理なく使えます。ツールを起動するかどうかの判断を都度させない導線は、担当者の習熟度に関わらず利用の裾野を広げる方向に働きます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
ナレッジが自動的に蓄積される状態が整い、営業部門との会議中に過去の案件情報が必要になった場面でも、キーワード検索ですぐに参照できるようになりました。先例やサンプルを起点に文書を組み立てられるため、ゼロから書き起こす負担も軽くなっています。案件の引き継ぎでは担当者欄に名前を加えるだけで過去のデータを見られるようになり、引き継ぎがしやすくなったという声が部内から上がっています。AI契約レビューについては、一般的な条項に慣れていない担当者が同種事案を参考にでき、慣れない契約類型でもひな型との比較で抜け漏れを点検できる使われ方が生まれています。
うちでも使える?
同じ発想が効きやすいのは、成果物のやり取りが必ずメールや特定のシステムを経由する業務です。契約書に限らず、見積書や仕様の確認依頼のように、社外や他部署へ何かを返す工程が決まっているなら、その通り道に取り込み口を置く考え方は移植できます。逆に、判断の材料が対面のやり取りや個人のメモに残り、成果物として形にならない業務では、そもそも通り道が存在しないため同じ手は使いにくいでしょう。
参照先を自社ナレッジに寄せる設計についても、条件があります。過去案件がある程度の量と傾向の共通性を持ってはじめて、AIが返す参考例が実務の判断に耐えるものになる。案件ごとに条件がばらばらで参照できる先例がまだ薄い組織なら、一般的なひな型との比較から入るほうが現実的です。手をつけるなら、直近1か月に自部署が社外へ送った書類が、どの経路を通って外に出たかを確かめるところから。経路が1つに定まっているなら、そこが最初の取り込み口の候補になります。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
MNTSQ株式会社
契約書などのナレッジをデータベースに半自動で蓄積・検索できるリーガルテックサービス「MNTSQ CLM」を提供する企業。案件管理やAI契約レビュー機能を提供し、長島・大野・常松法律事務所が運営に関与している。ISO 27001(IS 798405)認証を取得。
住友商事株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
