実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.14
姫路市が生成AIを庁内導入、職員の85%が業務時間の短縮を実感
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 文書づくりに一日が消えていく
- 議事録の作成が終わらない
- 誤字脱字の確認が人任せになっている
どのようなAIの取り組み?
生成AIサービスの庁内活用により、職員の約85%が業務時間の短縮を実感した自治体のAI取り組み
業種
市役所(公共・行政)
取り組み領域
庁内の文書作成・議事録・校正業務
使ったAI
生成AIサービス「GaiXer」(大規模言語モデル)
主な成果
利用経験のある職員72名のうち約85%が時間短縮効果を実感し、議会答弁原稿の作業時間は10分の1程度に短縮
姫路市が、職員の事務負担を軽くする狙いで生成AIサービス「GaiXer」を庁内で使えるようにし、2024年10月に利用経験のある職員72名へアンケートを実施、提供元である株式会社FIXERがその結果を分析して公表した取り組みです。用途は特定の業務に絞られておらず、議会答弁原稿や広報資料といった文書の草案づくり、文章の要約、議事録の作成、誤字脱字や言い回しの校正、さらにExcelのマクロ(VBA)のコード作成まで広がっています。サービスの基盤にはAzure OpenAI Serviceが使われ、データ保護機能とアクセス制御を備えたうえで、政府のセキュリティ評価制度に登録されたSaaSとして提供されています。アンケートでは効果の実感だけでなく、部署ごとの利用頻度の差や、使い方を学ぶ機会を求める声も拾い上げられています。
出典:生成AI「GaiXer」導入の姫路市、85%が時間短縮効果を実感 ~利用者アンケート・議会答弁原稿の作業時間が10分の1に~ - 株式会社FIXER 発行元:株式会社FIXER
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
市役所の仕事は、市民に向けた説明責任がそのまま文書量になって返ってきます。姫路市でも、日々の文書作成、議事録の作成、広報資料の作成が積み上がり、職員の事務負担をどう軽くするかが課題になっていました。そこで業務効率化の施策の一つとして生成AIが選ばれています。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は文書の「量」そのものより、一枚一枚が白紙から始まる点にあったのではないでしょうか。答弁原稿にしても広報資料にしても、書き出しの型はおおむね決まっているのに、実際には毎回ゼロから文章を起こし、そのうえで誤字や言い回しを人の目で確かめる工程が必要になります。量が多いから遅いのではなく、下書きと確認という誰でも同じ手順を踏む工程に人の時間が固定されていた、という構図です。
どうやって、うまくいったのか
まず注目したいのは、用途を絞り込まず、汎用の生成AIサービスをそのまま職員の手元に置いた点です。業務ごとに専用システムを作り込む道もあったはずですが、実際に使われている用途は、資料草案やメール、キャッチコピーの作成から、要約、議事録、校正、Excel VBAのコード生成まで横に広がっています。用途を先に定義してしまうと、定義から漏れた業務は永遠に対象外になりますが、汎用の道具を渡す形であれば、自分の担当業務のどこに当てはめるかを職員自身が見つけられます。専門知識が浅い職員でもコードを生成できるという使われ方は、まさにその副産物と言えるでしょう。
次に、行政が扱う情報の性質に耐える土台を先に固めていることが大きいと考えられます。GaiXerはAzure OpenAI Serviceを基盤に開発され、データ保護機能とアクセス制御を備え、政府のセキュリティ基準を満たすSaaSとして「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストに登録され、行政専用ネットワークであるLGWANでの利用にも対応しています。庁内で生成AIが止まる典型的な理由は性能ではなく「この情報を入れてよいのか」という判断の重さで、そこを制度と機能の両面であらかじめ潰しておく設計は、現場が使い始めるまでの心理的な距離を縮めます。加えて、業種別テンプレートによるプロンプト作成支援が用意されている点も、最初の一文をどう書けばよいか分からない利用者にとっては実務的な支えになります。
三つ目は、配って終わりにせず、使われ方そのものを測り直していることです。利用経験のある職員だけに絞った72名へのアンケートという設計は、全職員平均に薄まった数字ではなく、実際に触れた人の手応えと不満を取り出すことに向いています。そこから利用頻度の高い部署と低い部署の差や、プロンプトの組み立て方を体系的に学びたい、事例共有や勉強会がほしいといった要望が具体的に浮かび上がり、次に打つ支援策の材料になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
アンケート回答者72名のうち約85%が時間短縮効果を実感し、週1回以上の利用者は全体の68%にのぼりました。個別の例では、議会答弁原稿の草案や答弁要旨の作業時間が10分の1程度に、2時間かかっていた文書要約・議事録作成が15分に、1時間ほど要していたExcel VBAのコード作成とチェックが30分に短縮されています。教育委員会が実施した約1万4300人分の生徒向けアンケートの分類では、約237時間の作業が約50時間になり、その大半は個人情報のマスキング作業が占めています。校正面では誤字脱字や言い回しの修正により質の向上も確認され、今後は利用促進のための支援策を拡充する方針が示されています。
うちでも使える?
この事例の使いどころは、前例や型がある文書を数多く作る組織です。答弁原稿や広報文のように、ゼロから書くより「たたき台を直す」ほうが早い仕事であれば、規模や業種を問わず同じ効き方が期待できます。一方で、そのまま持ち込むと苦しくなる条件もはっきり見えています。約1万4300人分のアンケート分類で、短縮後に残った約50時間の大半が個人情報のマスキングだったという事実は、データを扱う業務ではAIに渡す前の下ごしらえがボトルネックになりやすいことを示しています。個人情報や機密が絡む業務ほど、前処理の手間とセキュリティ要件の確認を先に見積もっておく必要があります。
もう一つ、利用頻度の高い部署と低い部署の差が大きいという結果も見逃せません。道具を配っただけでは使う人と使わない人に分かれ、勉強会や事例共有の場がないと差は開いていきます。手始めとしては、直近一か月で自分が作った文書のうち前例をなぞって書いたものを二、三本選び、同じ内容の下書きをAIに作らせて手直しに何分かかるかを実測してみるあたりが現実的です。効いた文書の型が分かれば、それがそのまま庁内・社内で共有できる最初の事例になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社FIXER
クラウド黎明期の2009年に創業したクラウドネイティブカンパニー。Microsoft Azureの正式サービス開始と同時にエンタープライズシステムのクラウド化をプライムとして引き受け、日本のクラウド黎明期からAzure普及を担ってきた。エンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」を提供している。
姫路市
出典・参考情報
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