実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.15
生成AIで過去事例の検索時間が半減、日立建機の海外技術サポート改革
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の対応事例を探すのに時間がかかる
- ベテランがいないと若手が答えられない
- 海外からの英語の問い合わせが負担
どのようなAIの取り組み?
生成AIと文章の意味で探す検索を組み合わせ、海外代理店からの技術的な問い合わせ対応にかかる時間を半分に短縮したAI取り組み
業種
建設機械製造(製造業)
取り組み領域
海外代理店向け技術サポート/問い合わせ対応
使ったAI
Lightblue 生成AI+ベクトル検索(意味で探す検索)
主な成果
若手の事例検索時間が1/2に短縮
日立建機のコンストラクションビジネスユニット サービス統括部 テクニカルサポート部は、世界中の顧客や販売代理店に対し、建設機械の操作・メンテナンス・修理に関する技術サポートを担っています。その入口となるのが、約20年分のアフターサポート事例が蓄積された社内システム「FIR」です。同部はこのFIRを使った問い合わせ対応業務に生成AIを組み込み、英語で届く問い合わせの翻訳と要約、文章の意味の近さで過去事例を探す検索、回答ドラフトの自動提示という三つの使い方から活用を始めました。企画の軸に置かれたのは、ベテランが積み上げてきた業務ノウハウをどう生成AIに移すかという視点です。記事を公開した東京大学発のAIスタートアップ、株式会社Lightblueがプロジェクトに関わっています。
出典:探す時間を半減!日立建機が挑む「生成AI × ベテラン知見」による問い合わせプロセス改革と業務品質向上プロジェクト | Lightblue 発行元:株式会社Lightblue
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
問い合わせ対応は担当者の1日の3〜5割、若手スタッフでは8割を占めることもある重い業務でした。問い合わせは長文の自由記述で、しかも主に英語。過去事例が入ったFIRシステムの検索はキーワードが主体で、的確な言葉を選ぶには長年の経験が要り、経験の浅いスタッフでは必要な情報にたどり着くまでに1時間以上かかることもありました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は情報が足りないことではなく、20年分の資産が「探せない形」で眠っていたことにあります。書式を揃えて記録するのが難しい業務の性質上、同じ内容でも書き手ごとに表現がばらつく。そこにキーワード一致の検索を重ねれば、答えに届けるのは適切な語を思いつける人だけになります。属人化の正体は知識量の差というより、検索語を当てる勘の差だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
まず効いているのは、蓄積の器であるFIRシステム自体には手を入れず、その手前と後ろに生成AIを重ねた切り分けです。検索機能の向上を狙ってシステムをリニューアルしようとすれば、要件定義から開発まで多大な時間とコストがかかり、現場の負担は当面変わりません。データを持つ基盤は据え置き、探し方と答えの作り方だけを差し替えるという判断が、改善までの距離を大きく縮めています。
次に、企画の立て方そのものです。この取り組みは「便利なツールを入れる」ではなく、「経験豊富なベテランスタッフの業務ノウハウをいかに生成AIに落とし込むか」という問いから組み立てられました。推進担当者が中心となってこの視点を貫いたことで、AIの役割が汎用的な文章生成ではなく、熟練者が頭の中で行っていた判断の代替に寄っています。
三つ目は、対応工程を分解して用途を割り当てた設計です。英語の長文を翻訳・要約して状況把握を短縮する、意味を理解する検索で類似事例を引き当てる、集めた事例をもとに回答ドラフトと補足情報を提示する。表現がばらつく自由記述に対してキーワード一致ではなく意味の近さで探す方法を選んだ点は、データを整形し直さずに使えるという意味でも現実的な選択です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
若手スタッフが過去事例の検索と情報抽出に充てていた時間は、20〜60分から10〜30分へと半分になりました。1件あたりの総対応時間も、1〜4時間かかっていたものが0.5〜2時間まで短縮されています。検証では約7割の問い合わせ対応で品質向上が見込めるという結果が出ており、経験に頼っていた業務の標準化も進みました。部署全体に浸透した場合の月間400時間以上の工数削減、代理店への提供による問い合わせ件数8割減は、いずれもまだ試算・検証段階の見通しです。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、過去の対応履歴が長期間まとまって一か所に残っている業務です。書式が統一されていなくても、意味の近さで探す検索なら記録の揺れをある程度吸収できるため、自由記述の山を抱えた窓口ほど相性が良いと考えられます。翻訳・要約、検索、ドラフト作成と工程ごとに用途を割り当てる進め方も、既存システムを触らずに済むぶん、着手のハードルは低いはずです。
一方で、対応履歴が個人のメールや手元のファイルに散らばっていたり、件数そのものが少なかったりする場合、意味検索は参照先を持てず効果が出にくくなります。現物を見なければ切り分けられない不具合や、その場の交渉判断が要る対応も、ドラフト生成の射程外です。日立建機の事例でも部内の利用率はまだ2割程度で、成果を出すことと社内に広げることは別の課題として残っています。
はじめの一歩としては、直近に対応した数件について、状況把握・事例探し・文章作成のどこで何分使ったかを工程ごとに測ってみること。時間が偏っている工程が、そのままAIを当てる場所になります。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Lightblue
東京大学発のAIスタートアップ
日立建機株式会社
出典・参考情報
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