実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.13
学生向け生成AI講座から教職員の利用へ、高等専門学校でのAI活用の広げ方
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを配っただけで誰も使わない
- 職員が何に使えるか分からない
- 情報の扱いが不安で導入を止めている
どのようなAIの取り組み?
学生向けの生成AI講座を起点に、教職員向けの生成AIサービス導入まで広げたAI取り組み
業種
高等専門学校(教育サービス)
取り組み領域
教職員の校務・文書作成業務
使ったAI
企業・行政向け生成AIサービス「GaiXer」
主な成果
2025年2月に教職員向け利用を開始し、活用方法は検討段階
株式会社FIXERが、三重県鈴鹿市の鈴鹿工業高等専門学校に、企業・行政向けの生成AIサービス「GaiXer(ガイザー)」を2025年2月3日から提供しています。取り組みは2025年8月までの予定で、利用の対象は教職員です。きっかけになったのは、2024年5月から約1年間にわたり同校で開講された生成AI講座で、FIXERが授業計画を策定し、社員が講師として参加して、学生にAI技術の基礎と応用を伝えました。この講座が校内で生成AI活用の機運を高める役割を果たし、教職員向けの導入につながっています。導入直後の2月5日には、教職員を対象に導入トレーニングを兼ねた生成AI活用セミナーを開き、基礎知識の習得とあわせて、文書作成業務などでの活用方法を検討しました。今後も導入トレーニングなどを通じて、活用方法の検討が続けられる予定です。
出典:GaiXer、鈴鹿高専で導入開始 ~生成AI講座での取り組みを契機に、教職員の生成AI活用を推進~ - 株式会社FIXER 発行元:株式会社FIXER
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
公表された内容には、特定の業務が回らなくなっていたといった具体的な困りごとは示されていません。示されているのは、約1年間の講座が校内の機運を高め、その延長線上で教職員向けの導入が決まり、導入後にあらためて活用方法を検討している、という順序です。
編集部の見立てでは、ここで解こうとしていた問題は「使えるツールがない」ことではなく、組織として生成AIをどう扱うかの共通認識が定まっていなかったことにあります。教育機関では、個々の教員や職員が関心を持っていても、どこまで業務に使ってよいのかが組織として決まらなければ、利用は個人の裁量の中に閉じたままになりがちです。導入してから用途を詰めていく進め方は、逆にいえば出発点で必要だったのが、用途の特定より先に、全員が同じ土俵で話せる状態をつくることだったことをうかがわせます。
どうやって、うまくいったのか
学生向けの講座を先に置き、そこを起点に教職員へ広げた順番に、この取り組みの設計意図が表れています。FIXERは授業計画の策定から関わり、社員が講師として約1年間教壇に立っており、製品を持ち込むより先に、校内で生成AIに実際に触れる場そのものをつくっています。契約や配布を出発点にせず、共通の話題と関心を校内に育ててから次に進んだ段取りが、教職員向けの導入を無理のない一歩にしたと考えられます。
導入開始の2日後に、導入トレーニングを兼ねたセミナーを置いた組み立ても効いています。基礎知識の習得と、文書作成業務などでの使い道の検討を同じ場でつないだことで、ツールを渡して終わりになりやすい社内展開の弱点を、最初の設計で塞いでいます。用途を上から決め打ちせず、使う側が自分の業務に引き寄せて考える時間を確保した点は、担当業務の中身が人によって大きく異なる組織ほど働きやすい方法でしょう。
選ばれたサービスの性格も、教育機関という利用環境に沿ったものでした。GaiXerはAzure OpenAI Serviceを軸に開発され、データ保護機能とアクセス制御機能を備えたうえで、複数の大規模言語モデル(LLM。文章を生成するAIの中核となるモデル)をメニューから選んで実行し、結果を比べられます。各自が思い思いに手元のツールを使う状態を避けながら、どのモデルがどの用途に向くかを使いながら見極める余地を残した構成といえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは、生成AI講座が校内の機運を高めて教職員向けの導入につながったこと、そして2月5日のセミナーで基礎知識の習得と文書作成業務などでの活用方法の検討が行われたところまでです。削減時間や利用率といった数値は示されていません。取り組みは2025年8月までの予定で、導入トレーニングを重ねながら活用方法を詰めていく段階にあり、効果の評価はこれからになります。
うちでも使える?
同じ進め方が効きやすいのは、学校や自治体、複数の事業所を抱える中小企業のように、構成員の業務内容がばらばらで、用途を一つに絞りにくい組織です。全員が触れる場を先につくり、その関心が高まったところでツールを入れ、使い道は入れてから詰めるという順序は、AIに縁がなかった部署を取り残さずに巻き込む手立てになります。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。この事例では外部の企業が授業計画から関わって約1年の助走をつくっており、そこまでの時間や講師役を確保できない場合、同じ順序は再現しにくいでしょう。特定の熟練者に閉じた業務が中心の組織や、期間を区切らず最初から恒常運用を前提とする組織でも、前提が変わってきます。まず試すなら、直近で自分の部署が作った文書を一本持ち寄り、生成AIに下書きさせるとどこまで使えるかを、会議の冒頭10分で全員が同時に確かめてみる。用途の議論は、その手応えを見てからでも遅くありません。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社FIXER
クラウド黎明期の2009年に創業したクラウドネイティブカンパニー。Microsoft Azureの本格提供開始前から日本のエンタープライズシステムのクラウド化を手がけ、現在はエンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」を行政・企業向けに提供している。
鈴鹿工業高等専門学校
出典・参考情報
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