実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.16
図表や手書き文書を読むRAGを富士通のAIサービスへ、検証精度は90%超
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 図や表が多い資料をAIが読めない
- 手書き書類から必要な記載を探すのに時間がかかる
- 社内文書が多すぎて答えにたどり着けない
どのようなAIの取り組み?
図表や手書きを含む非構造化ドキュメントを扱うRAG製品を、富士通の生成AIサービスに組み込んで提供を開始したAI取り組み
業種
総合ITサービス・AIプロダクト開発(IT・通信)
取り組み領域
社内文書の検索・回答生成/業務自動化
使ったAI
Super RAG(マルチモーダル対応RAG)
主な成果
金融業界の検証で精度90%超(提供元テストデータ)
AIプロダクトを手がけるシナモンAIは、自社の「Super RAG」を、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi Generative AI」に組み込み、2025年2月より提供を開始しました。Super RAGは、表や図を含む複雑な非構造ドキュメントを大量に取り込み、LLM(大規模言語モデル)による高精度な回答生成につなげる、マルチモーダル対応のプロダクトです。組み込み先のFujitsu Kozuchi Generative AIは、WebGUIとWebAPI群を備え、企業が保有するデータベースやアプリケーションと接続できる先進AIサービスで、利用企業はAPIを通じて既存の業務システムからドキュメント処理を呼び出せます。金融業界を対象とした検証では、図表を含む業務マニュアルを参照元にした回答生成が試されています。
出典:富士通株式会社 | Super RAG | すべての企業に、業務で使えるRAGを 発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
従来のRAG技術は、手書き文書やスキャン画像、図表のように形式の崩れた非構造化データを適切に処理することが困難でした。近年のマルチモーダルLLMは非構造化データそのものを扱えるようになってきたものの、大量のデータを横断して検索し、必要な部分を抽出して統合する処理までは担えていません。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは「AIが図や手書きを読めるかどうか」ではなく、読めたあとに続く工程が抜け落ちていた点にあります。企業内の文書は一枚で完結せず、何百本ものマニュアルや帳票の束として積み上がっています。一枚を読む力と、束から探し当てる力は別物であり、その分断が残る限り、現場で使える回答には届かなかったのではないでしょうか。富士通側からも、グラフや手書き文字を含む大量の非構造文書の活用が課題となり、目指した成果に結びつかないケースが多く発生していると述べられています。
どうやって、うまくいったのか
高度なドキュメント構造解析と独自の検索システムを一つの製品として組み合わせた設計が、この取り組みの中心にあります。図表や手書きを読み取る処理と、大量の文書群から該当箇所を探し出す処理は、技術的には別の課題です。この二つを分けたうえで両方を製品側に持たせ、LLMには最終的な回答生成を任せるという構成になっています。読む力と探す力の役割を分けた切り分けが、実務で扱う規模のドキュメントに耐える構造を生んだと考えられます。
単体のツールとして完結させず、接続経路を備えた基盤の上に載せた組み込み方も効いています。Fujitsu Kozuchi Generative AIはWebGUIとWebAPI群を持ち、企業の既存データベースや業務アプリケーションとつながる前提で作られたサービスです。文書処理のAIが現場で止まる原因は、精度そのものよりも「どこにある文書を、どの画面から渡すのか」が決まらないことにあります。接続の作法がすでに用意された基盤側へ機能を寄せる形は、その手前の詰まりを避ける選択だったと見ています。
参照元にFAQファイルではなく、図表を含む複数の業務マニュアルそのものを据えた検証の組み立ても見逃せません。整形済みのFAQを使えば見栄えのする条件は作りやすい一方、現場が実際に開くのは整っていない元資料のほうです。過去に実際に出た業務上の質問へ答えさせるという課題設定は、清書された想定問答ではなく、日々の運用に近い条件で製品を試す構えを示しています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
金融業界における検証では、FAQファイルではなく図表を含む複数の業務マニュアルを参照元として、過去の業務上の質問に回答を生成するタスクが実施されました。従来の一般的なRAGシステムでは精度が約40%にとどまったのに対し、Super RAGを用いた場合はシナモンAIのテストデータにおいて90%を超える精度が確認されています。これは提供元のテストデータ上で得られた検証値であり、導入企業の業務実績として示された数字ではない点は押さえておきたいところです。組み込み済みのサービスは2025年2月より提供されています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、判断の根拠が図表や手書き、スキャン資料の形で大量に蓄積され、しかもそれを日常的に参照している業務です。製造や金融のように、仕様書や業務マニュアルの束を都度たどる現場は、その典型に当たります。逆に、参照する資料がすでにテキストのFAQとして整理されているなら、複雑な文書解析まで持ち込む必要は薄く、従来型の仕組みで足りる場面も少なくありません。判断の根拠が文書ではなく担当者の経験や口頭のやり取りに載っている業務も、この方式の射程からは外れます。
検討の入口としては、直近で答えに詰まった問い合わせを数件持ち出し、その答えがどの資料の何ページの、どの表や手書き欄に書かれているのかを人手でたどってみてください。たどり着けるなら文書側の下地はあり、たどり着けないなら、整備すべきはAIより先に資料の所在のほうです。なお公表されている精度は提供元のテストデータに基づく値ですから、自社の文書で同じ水準が出るかは別途確かめる必要があります。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社シナモン(シナモンAI)
マルチモーダル対応のAIプロダクト「Super RAG」を提供するAI企業。表や図などを含む複雑な非構造ドキュメントを大量に取り込み、LLMによる高精度な回答生成を可能にする高度なドキュメント構造解析・独自検索システムを有し、RAGやAIエージェントなどの技術をベースにAIプロダクトの開発・提供を行う。
富士通株式会社
出典・参考情報
富士通株式会社 | Super RAG | すべての企業に、業務で使えるRAGを
発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
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