実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.16
図表入り資料もAIが参照、回答精度3倍となった調達ヘルプデスクのRAG活用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 図や表の多い資料をAIがうまく読めない
- 問い合わせ対応で資料探しに時間がかかる
- AIの回答を毎回人が確認していて手間
どのようなAIの取り組み?
図や表を含む複雑な文書をAIが参照できるようにし、ヘルプデスク業務での回答精度を従来比3倍へ高めた取り組み
業種
ヒューマンキャピタル領域のコンサルティング(士業・コンサルティング・他)
取り組み領域
調達システムのヘルプデスク/問い合わせ対応
使ったAI
Super RAG(独自RAGシステム)+LLM
主な成果
LLMの回答精度が従来比3倍(同社計測値)
独自のAIプロダクトを手がける株式会社シナモン(シナモンAI)が、独自のRAGシステム「Super RAG」をNTT ExCパートナーへ提供したことを、2025年4月に公表しました。対象は、NTT ExCパートナーが提供する調達システムのヘルプデスク業務です。この現場では、オペレーターが顧客からの多様な問い合わせに答える際に、すでにLLM(大規模言語モデル)を使っていました。そこにSuper RAGを組み込んだことで、図や表を含むマニュアルや仕様書といった非構造ドキュメントを高い精度で参照できるようになり、回答精度は従来比3倍(同社計測値)となっています。大量の資料を素早く正確に検索できるようになった結果、オペレーターが回答内容を確かめる作業の効率化にもつながりました。
出典:「Super RAG」をNTT ExCパートナーに提供 | 株式会社シナモン(シナモンAI) 発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ヘルプデスクのオペレーターは、調達システムを使う顧客から寄せられる幅広い問い合わせに答える立場にあり、その支えとしてLLM(大規模言語モデル)がすでに使われていました。ただし参照しなければならない資料には、図や表が組み込まれたマニュアルや仕様書が数多く含まれます。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「AIを使っているかどうか」ではなく、AIに読ませる資料が人間の目で見ることを前提に作られていた点にあります。手順が表で整理され、全体像が図で示された文書は、担当者にとっては分かりやすい一方、文字列として平坦に取り込むと行と列の対応や図が示す関係が抜け落ちてしまう。参照先があやふやなままでは、返ってきた回答をオペレーター自身が資料に当たって確かめる手間が残り、AIを使っていても最後のひと手間が消えません。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、検索して答えを作る前段に、ドキュメントを解析して構造化する工程を挟んだ設計です。Super RAGは、表や図を含む文書を独自の解析技術で読み解き、コンテンツの種類に合わせた形へ整えたうえでLLMに参照させます。企業が保有するデータの8割を占めるとされる非構造化データを、そのまま検索対象に放り込むのではなく、読める形に直してから渡す順序へ置き換えた点が、複雑な資料を前提とする現場と噛み合ったのではないでしょうか。
もう一つの要因は、モデルの再学習を伴わずに構築できる方式を選んだことにあります。ノーチューニングで組み上がる仕組みであれば、すでにLLMを組み込んで動いているヘルプデスクの流れを止めることなく、参照の精度だけを入れ替えられます。学習用データの整備や再学習の運用まで現場が抱え込まずに済む構成は、問い合わせが日々届き続ける業務へ後から手を入れるときの、現実的な落としどころ。
適用先を調達システムのヘルプデスクという具体的な業務に絞り込んだことも見逃せません。オペレーターを置き換えるのではなく、資料を探して確かめる部分を支える位置にAIを据えたため、顧客に何を伝えるかという判断は人の側に残ります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
組み込みの結果として示されているのは、LLMの回答精度が従来比3倍(同社計測値)へ高まったという数字です。あわせて、大量の資料を短時間で正確に検索できるようになり、オペレーターの回答確認作業も効率化されています。NTT ExCパートナーは今後、暗黙知や経験が求められるヘルプデスク業務でのパフォーマンス向上にSuper RAGを役立てるとともに、シナモンAIと協業して他業務への導入も検討していく方針を示しています。
うちでも使える?
相性が良さそうなのは、答えの根拠が図表入りのマニュアルや仕様書に集中していて、担当者が「どのページを見ればよいか」を探すところで時間を使っている業務です。問い合わせの幅が広く、資料の量が多いほど、文書を構造化してから検索させる方式の効き目は出やすくなると考えられます。
一方で、今回の前提には、参照すべき資料がすでに文書として存在していたことがあります。回答の根拠がベテランの記憶や個別のやり取りにしか残っていない業務では、まず何が資料として形になっているかが問われます。精度が上がっても最終確認を人が担う運用は残るため、そのまま人員削減の計画に結びつける話とは切り分けておいたほうが安全です。
手はじめに、直近の問い合わせをいくつか取り出し、回答の根拠になった資料が文章のページだったか、表や図のページだったかを分けて数えてみてはいかがでしょうか。後者が多いなら、今回の方式が効く余地があります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社シナモン(シナモンAI)
独自RAGシステム「Super RAG」を提供するAI企業。表や図など複雑な非構造ドキュメントを解析し、高精度な回答を生成するLLMをノーチューニングで構築できる独自AIプロダクトを展開している。
株式会社NTT ExCパートナー
出典・参考情報
「Super RAG」をNTT ExCパートナーに提供 | 株式会社シナモン(シナモンAI)
発行元:株式会社シナモン(シナモンAI)
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