実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.15
清水建設が生成AIを全社導入、約3,000名が使うまでの社内浸透の進め方
プロジェクト期間:2年 〜 3年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 全社にAIを入れたが使われない
- 社内の資料探しに時間がかかる
- 現場までAIを広げる進め方が不明
どのようなAIの取り組み?
AIアシスタントサービスの全社導入と少人数の教育活動を組み合わせ、約3,000名が日常的に生成AIを使う状態をつくった建設会社のAI取り組み
業種
総合建設業(建設・土木)
取り組み領域
全社の文書検索・社内DX
使ったAI
AIアシスタントサービス「Lightblue」(生成AI・RAG)
主な成果
全社導入から約3か月で約3,000名がアクティブに活用
清水建設は2023年に生成AIの利用を始め、セキュリティを重視したサービスを社内に用意しました。ただし当初は使いどころが定まらず、利用者数は伸び悩みます。2024年にはAI活用を中期DX戦略の中核の1つに据え、10月の組織改編では副社長兼CIOが室長を務めるDX経営推進室が発足しました。2025年2月には、社内のナレッジを参照して回答するRAG型の「マイアシスタント」機能、図や表を含む文書の読み取り、シングルサインオンなどを決め手として、株式会社LightblueのAIアシスタントサービスへの切り替えを決定。4月に全社導入し、あわせて少人数のハンズオンセミナーや社内SNSでの事例共有といった普及活動を、4名の担当チームが続けています。
出典:清水建設が挑む「生成AI全社活用」プロジェクト ~ボトムアップで現場と経営をつなぐDX戦略~ | Lightblue 発行元:株式会社Lightblue
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
2023年当時、建設業界には生成AIの利用に慎重な空気があり、清水建設の社内でもリスクを重視して活用を控える動きがありました。その後「安全に使える生成AIを積極的に活用していく」という方針が示され、セキュリティ面を重視したサービスの導入が始まります。ところが初期は効果的なユースケースを見出せず、利用者数は横ばいのまま推移しました。
編集部の見立てでは、ここでの詰まりはツールの性能ではなく、社員が「自分の担当業務のどこで使えるのか」を思い描けなかったところにあります。全社に配っただけの生成AIは、使い道の発見を各自の想像力に委ねる道具になりやすく、日々の仕事に追われる部署ほど試す動機が生まれません。利用者数の横ばいは、関心が低かったというより、業務と道具のあいだをつなぐ具体例が足りていなかった状態を映していたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
乗り換えの判断基準を「専門性の高い業務に耐えるか」に置いた点が、この取り組みの起点になっています。選定理由に挙がったのは、社内のナレッジを自由に追加して部門別・用途別のアシスタントを組めるRAG(社内データを検索してAIの回答に使う仕組み)、図や表を多く含む技術文書も読み取れる対応力、そしてシングルサインオンや管理者機能という全社運用の土台でした。汎用的な会話の巧みさではなく、技術文書や業務マニュアルという自社固有の資料をどこまで扱えるかで測った点に、使いどころを業務側へ寄せる意図が見て取れます。
経営層への働きかけを、資料説明ではなく実際の業務データを使ったデモから始めた設計も効いています。スライドで価値を語る代わりに、その場で触って結果を見てもらう順序へ組み替えたわけです。役員が従業員向けのハンズオンセミナーに参加する、個別説明の引き合いが増えるといった動きは、号令ではなく体験が関心を引き出した結果だと読み取れます。
普及活動を、4名の担当チームが回し続ける定常業務として設計した点も見逃せません。隔週で開くハンズオンセミナーが20名規模なのは、質問しやすく一人ひとりに目が届くサイズを意図した選択で、規模を追わない判断がそのまま定着の質につながっています。社内SNSでは新機能や活用事例を定期的に流し、良い事例は水平展開できるよう情報を更新し続ける運びです。全社公開のアシスタントについても、建築施工の技術文書を扱うものは文書を発行している部署が精度を検証したうえで正式展開する段取りを取り、標準化とルール整備を並走させています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年4月の全社導入から数か月が経った7月時点で、約3,000名がアクティブに活用する状態になりました。利用者からは「使いやすい」「実際に業務に役立つ」という反応が増え、社内SNSに開設したチャンネルは月間約1,000名が閲覧し、社内で最もフォローされているチャンネルの1つになっています。ハンズオンセミナーは応募開始と同時に予約が埋まる状況です。一方で利用者の大部分は内勤者にとどまり、作業所への展開が次の重要課題として位置づけられています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、技術文書や業務マニュアルのような参照資料が社内にまとまっていて、部署ごとに調べものの型がある程度決まっている組織です。部門別にアシスタントを分けるやり方は、資料の持ち主が精度を確かめてから公開するという運用とセットで意味を持ちます。逆に、参照資料が個人のフォルダに散らばっていたり、同じ業務のマニュアルが部署ごとに別々の版で存在したりする状態では、アシスタントが乱立して回答が食い違う恐れがあります。清水建設側も、ドキュメントの整備と業務の標準化、最新版を管理する運用体制を今後の課題に挙げています。
小さく試すなら、自部門で問い合わせの多い資料を1つだけ選び、その資料の担当者に「この内容でAIに答えさせてよいか」を確認するところから。全社展開の設計図より先に、資料の持ち主と品質を確かめ合う約束事を1件つくれるかどうかが、分かれ目になります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Lightblue
東京大学発のAIスタートアップ。AIアシスタントサービス「Lightblue」を提供し、RAGを用いたマイアシスタント機能、マルチモーダル対応、シングルサインオン(SSO)などのセキュリティ・運用管理機能を備える。
清水建設株式会社
出典・参考情報
清水建設が挑む「生成AI全社活用」プロジェクト ~ボトムアップで現場と経営をつなぐDX戦略~ | Lightblue
発行元:株式会社Lightblue
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
