実施 2026.04 ・ 更新 2026.08.15
AI要件定義に外部の品質検証を掛け合わせ、大規模基幹システムを不具合なく稼働
企業規模:500人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 大規模開発のテストを自社で抱えきれない
- 品質に問題がないと社内に説明できない
- テスト観点の抜け漏れが不安
どのようなAIの取り組み?
AIで要件定義を支援する開発に第三者による品質検証を組み合わせ、大規模な基幹システムを大きな不具合なく稼働させた取り組み
業種
AI開発プラットフォーム・SIコンサルティング(IT・通信)
取り組み領域
システム開発の要件定義・品質保証
使ったAI
AI要件定義「Acsim」(開発支援AI)
主な成果
大規模な基幹システムが大きな不具合なく安定稼働
システム開発の上流工程を支援するAI要件定義「Acsim(アクシム)」を提供する株式会社ROUTE06は、エンタープライズ企業を含む大規模な基幹システム開発を担当するにあたり、テストの網羅性という壁に突き当たりました。検証を自社で完結させず、テストの設計と実行を第三者に委ねる体制を選び、パートナーとして株式会社SHIFTを起用しています。SHIFT側は「重大な不具合ゼロでのリリース」という目標を受け、IPA(情報処理推進機構。IT分野の基準策定や普及を担う公的機関)の基準など客観的な指標を用いて、システム規模に応じたテストケース数や不具合の検出・改修の目安を定量的に示した総合テスト計画を提案しました。実行段階ではプロジェクトマネージャーとして体制管理とテスト全体の統括を担い、リスクが高いと判断した領域についてはテストケースを追加し、期間を約2週間延長する判断も行われています。
出典:株式会社ROUTE06様 導入事例 | 株式会社SHIFT 発行元:株式会社SHIFT
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
大規模な基幹システムの開発では、テストを自社だけで網羅することが現実的ではなくなります。発注する側にも「本当に十分なテストができているのか」という不安が生まれ、ROUTE06自身も、開発には強みを持つ一方でテスト観点の網羅性についてはノウハウが不足している部分を抱えていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は、テストの手が足りないことよりも、品質の十分さを当事者の言葉だけでは証明できないという構造にあったのではないでしょうか。作った本人が「問題ありません」と述べても、それは自己申告の域を出ません。まして上流工程をAIで支援するアプローチを掲げているなら、その成果物が本当に堅いのかという視線は、通常の開発以上に厳しく向けられます。品質を第三者の目と客観的な基準に接続する選択は、テスト工数の穴埋めというより、説明責任を果たすための仕組みづくりだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
AIによる上流支援を「完全自動化」に振らなかった設計判断が、この取り組みの土台にあります。数行の入力から設計書一式まで生成する海外製ツールもあるなかで、Acsimは人が介在することを前提に組み立てられました。企業ごとに設計用語の定義もドキュメントの形式も異なる以上、AIの側を現場の多様な仕様や複雑なプロセスに合わせて調整できる余地を残したほうが、大規模開発では扱いやすい。設計書をもとにスケジュールを指示すればガントチャートが自動生成されるという支援の置き方も、判断を人に残したまま作業の負荷だけを下げる発想として一貫しています。
品質の十分さを定量的な根拠へ翻訳したテスト計画の作り方も、効き目の大きい要素です。予算とシステム特性を踏まえたうえで、外部の客観指標を用い、規模に応じたテストケース数や不具合の検出・改修の目安を数字で示す。この進め方の要点は、テストの中身そのものより先に、「なぜ問題ないと言えるのか」に答えられる形式を用意した点にあります。大企業には社内稟議という関門があり、論理的に説明できる品質は、そのまま意思決定の速さへ跳ね返ります。
限られた予算と期間のなかで重点を見極め、必要に応じて配分を組み替える運用も見逃せません。仕様書を読み解いて「絶対に不具合を出してはいけない領域」を先に特定し、そこから優先順位を決める順序が取られています。新規開発の画面や複雑な機能で想定以上の踏み込みが要ると判断された場面では、率直な相談を経てテストケースが追加され、期間も約2週間延長されました。計画を守ることより、リスクの所在が分かった時点で計画のほうを直す。この組み替えが受け入れられた背景には、観点整理やケース設計が体系化され、追加の必要性を根拠付きで示せる状態があったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
テスト期間を延長し、不足していた部分まで検証を広げたことで、業務を支える基幹システムでありながら大きな不具合もなく安定稼働しています。発注元からの評価も良好で、今後は利用範囲の拡大が予定されています。観点整理とケース設計が体系化されているぶん品質が一定の水準に保たれ、アウトプットの網羅性も高く、プロジェクト全体の品質向上や手戻りの削減につながりました。要件や仕様の曖昧さが早い段階で見えるようになった点も、導入後の変化として挙げられています。
うちでも使える?
この組み合わせが効きやすいのは、成果物の品質を発注元や社内の決裁者に説明しなければならない開発案件です。自社の強みが開発側に寄っていて、テスト観点の整理にはノウハウが薄いという自覚がある場合、検証を外部へ切り出す判断は検討に値します。AIで上流工程を速く回すほど、下流で何をどこまで担保したのかを示す必要は増していく、という関係も頭に入れておきたいところ。
一方で、同じ形がそのまま当てはまらない場面もあります。仕様が固まりきらないまま短い周期で作り替えていく小規模な開発では、外部にテスト設計を委ねる前提となる仕様情報が揃わず、費用に見合いにくくなります。またこの事例では、リスクが判明した時点で予算と期間の追加を決めていますが、そうした途中変更を判断できる余地が契約や社内手続きに残っていなければ、重点の組み替えという肝心の部分が動きません。まずは直近のリリースで見つかった不具合を一件だけ取り上げ、どの工程なら発見できたはずかを言葉にしてみる。そこが、外部の目を借りるべき範囲を見定める入口になります。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:情シス・社内DX
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社SHIFT
ソフトウェアテスト・品質保証を中核に、AIソリューション、セキュリティ、UI/UX、DX、カスタマーサクセス、コンサルティングなどのサービスを提供する企業。本事例では第三者検証(QA支援)として総合テスト計画の提案、テスト設計・観点整理、プロジェクトマネジメントによるテスト統括を担当した。独自のテスト管理ツール「CAT」を保有する。
株式会社ROUTE06
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