実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.14
JFEケミカルの材料開発と設備保全にノーコードAI、月1定例会で進む人材育成
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを扱える社員が社内にいない
- AI活用が通常業務に押されて進まない
- 故障が少なく学習データが足りない
どのようなAIの取り組み?
ノーコードのAIプラットフォームと月1回の伴走支援を組み合わせ、材料開発と設備保全へのAI活用を各拠点で進めているAI取り組み
業種
化学(製造業)
取り組み領域
材料開発/設備の予防保全・異常検知
使ったAI
DataRobot(ノーコードのAI開発プラットフォーム)
主な成果
通常業務と並行してAI活用が継続し、材料開発では1回で最高記録を更新した事例が発生
石炭からしか取れない化合物を原料に、光学樹脂原料やリチウムイオン2次電池用負極材などを手がけるJFEケミカルは、材料の成分配合の最適化、製造プロセスの工程条件の見直し、そして設備の予防保全・異常検知という3つの領域にAIを使う道を選びました。採用したのは、データを読み込ませるだけで複数の機械学習が自動で走るAIプラットフォーム「DataRobot」です。プログラミングを書かずにモデルを作成・運用できること、正解データがなくても学習できる教師なし学習に対応することが選定の決め手になっています。導入して終わりにはせず、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の「AIサクセスサービス」による支援を受け、取り組むテーマの設定からモデルの構築と検証、実業務への適用までを毎月の定例会で進めています。本社・3工場・研究所という5拠点それぞれからメンバーが参加し、使い手を増やす取り組みも並走しています。
出典:DataRobotを採用したJFEケミカル株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ 発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
化学プラントは自動制御が効いた状態で安定して動くため、そもそも異常がめったに起きません。予兆を捉える仕組みを入れたくても、手本になる異常時のデータが手元にないという事情がありました。正解データをもとに判断するAIツールを試してうまくいかなかった経験も、この会社にはあります。研究開発の側でも、配合条件の要因分析や最適化を効率化したい一方で、AIモデルを作って運用できるエンジニアが各拠点にそろっているわけではありませんでした。
編集部の見立てでは、詰まりの本質は「AIを入れるかどうか」ではなく、材料開発も設備保全もデータ量が決して多くないという共通条件のほうにあったと考えられます。よく管理された設備ほど異常の記録は貯まらず、付加価値の高い材料ほど手元のデータは限られる。データが少ない前提と、専門人材が足りない前提を同時に受け止められる道具立てでなければ、最初の一歩すら踏み出せない状況だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
モデル作成をノーコードに寄せた選択は、AI活用の担い手を「プログラムを書ける人」から「材料や設備を知っている人」へと移し替えました。データを投入すれば複数の機械学習が自動で走るため、学習前の細かな設定を人が詰める工程が省かれます。専門家をそろえてから始めるのではなく、既に現場の文脈を持っている研究員や技術者がそのまま扱い手になれる。しかも、なぜその結論に至ったかを解釈できる出力が返るため、原理原則で物事を判断する製造業の技術者が、内容を吟味したうえで自分の検討に取り込めます。
異常データが乏しい現場に対して、教師なし学習という前提の異なる手法を選んだ判断も見逃せません。正解ラベルをそろえられないのであれば、「異常を教えて覚えさせる」という発想の延長線上に答えはなく、実際に過去の試みはそこで行き詰まっていました。現場の条件に合わせて技術の側を選び直すという順序が、この取り組みを机上の検討で終わらせなかった要因だと考えられます。
毎月の定例会を支援の骨格に据えた設計は、社内の力だけでは維持しにくい優先順位を外から支えるものでした。AI活用は一歩先を見据えた取り組みであるがゆえに、目の前の通常業務に押し出されやすい性質を持ちます。テーマを見つけるワークショップから計画づくり、モデルの構築と検証、実業務への適用までを一続きで支える体制に、進捗確認という定期的な区切りが組み込まれている。加えて、5つの拠点それぞれからメンバーが参加する形をとったことで、特定の担当者だけが詳しくなる状態を避ける流れが生まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
まず挙げられているのは、通常業務を抱えたままでもAIプロジェクトが止まらずに進んでいることです。CTCの支援がなければ途中で頓挫していた可能性もあった、という受け止めが現場から示されています。材料開発では、データ量が多くない条件下でも、1回でチャンピオンデータ(それまでの最高記録)を更新した事例が生まれました。判断の根拠が見える出力は、技術者にとって自分の見立てを確かめるセカンドオピニオンとしても働いています。各拠点でAIモデルを作成・運用できる人材の育成も、少しずつ進行中です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、扱えるデータの件数が多くない現場です。この事例が対象にしたのは、材料の配合条件と、めったに異常の起きない設備という、いずれも大量の学習データを前提にできない領域でした。正解ラベルを用意できないなら教師なし学習に切り替える、モデル作成はノーコードに寄せて現場の技術者が回す。この組み合わせは、専任のデータ分析担当を置けない企業にとっても検討の余地があります。
一方、そのまま真似しにくい部分もあります。この進め方は、社外の支援者が毎月の区切りを作り続けたことで動いていました。相談先がなく、社内の担当者が一人で兼務するだけの状態では、同じ形にはなりにくいでしょう。また、出力の根拠を見ながら技術者が最終判断するやり方は、良し悪しを測る物差しが社内にある領域だからこそ成立します。手始めに、「異常が起きないからデータがない」と諦めていた設備や工程を一つ思い浮かべ、正常時の記録だけで何を判定させたいのかを社内で言葉にしてみる。そこからでも十分に議論は始まります。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
AI活用推進を支援するITソリューション企業。世界中の優れた製品やサービスを発掘し、最適なソリューションに磨き上げる強みを持つ。AIプラットフォーム「DataRobot」の導入とあわせ、テーマ創出からモデルの構築・検証、ビジネス適用までをワンストップで支援する「AIサクセスサービス」を提供している。
JFEケミカル株式会社
出典・参考情報
DataRobotを採用したJFEケミカル株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ
発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
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