実施 2023.04 ・ 更新 2026.08.14
ENEOS Xploraの技術文書電子化、1週間の取り寄せ待ちがほぼ0に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 倉庫にある書類の取り寄せに何日もかかる
- 過去の資料が見つからず作業がやり直しに
- 紙の劣化で貴重な記録が読めなくなりそう
どのようなAIの取り組み?
ロボティクスとAIを活用した文書電子化サービスで、紙の技術資料をクラウドへ移し、情報へのアクセスと検索性を高めたAI取り組み
業種
石油・天然ガス開発(エネルギー・インフラ)
取り組み領域
文書管理/技術文書の電子化・クラウド移行
使ったAI
文書電子化サービス「FromDoc」(ロボティクス+AI)
主な成果
文書入手のリードタイムが約1週間からほぼ0に短縮
国内外で石油・天然ガスの開発・生産を手がけるENEOS Xplora(旧JX石油開発)は、外部倉庫に預けた大量の紙文書が扱いにくいという問題を抱えていました。地層の特性や坑井の形状を深度ごとに記録した「坑井ログ」をはじめ、社外では手に入らない技術資料が紙のまま眠っていた状態です。同社は2023年4月、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の文書電子化サービス「FromDoc」を採用し、法務部とデジタル推進部が組んで電子化とクラウドへの移行に着手しました。FromDocは富士フイルムRIPCORDの文書電子化サービスを土台に、ロボティクス技術とAIで大量文書を高速にデータ化する仕組みで、文書管理のコンサルティングから電子化作業、BPO(業務の外部委託)までをパッケージで提供します。
出典:FromDocを採用したENEOS Xplora株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ 発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コロナ禍を経てテレワークが定着したことで、紙文書を前提にした業務の不便さが表に出てきました。必要な文書は委託先の倉庫から取り寄せる必要があり、本社に届くまでおよそ1週間。しかも届いた文書を読むには本社へ出向かなければならず、在宅で働く社員には手が届きません。毎月の倉庫保管料の高騰、オフィスのリニューアルや移転に伴うキャビネットの減少、そして紙である以上避けられない破損や変色も重なっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質はコストや置き場所ではなく、競争力を支えるはずの技術情報が使えない状態のまま保管されていたことにあります。当時の担当者が手書きで残したコメントのように、原本にしか存在しない情報も含まれます。取り寄せに1週間かかる資産は、日々の実務のうえでは存在しないのとほとんど変わりません。
どうやって、うまくいったのか
複数ベンダーの文書電子化ソリューションを比較したうえで、成果物のクオリティを最上位の判断基準に据えた選定が、この取り組みの起点になっています。A0サイズやロール紙の大型図面が多く、ホチキス留めの取り外しや付箋に書かれたコメントまで含めて、元の情報を落とさずにデータ化できるか。ここを詰めた点には、電子化を書類の片付けではなく資産化として捉える姿勢がうかがえます。品質が低ければ活用の幅が狭まるという判断軸は、電子化の目的を出口側から定義したものと言えるでしょう。
紙を単体でスキャンして終わらせず、関連するデータとあわせてクラウドへ移す設計も効いています。紙の情報を画像に置き換えるだけでは、探せない電子ファイルが増えるだけになりがちですが、関連データと束ねてクラウド上に配置すれば、検索や横断的な参照の対象にできます。生成AIを含む新技術との組み合わせを最初から見据えていたことを踏まえると、この移行はデータ活用の準備工程として位置づけられていたと考えられます。
文書管理を所掌する法務部とデジタル推進部が組み、電子化を終えた紙文書は破棄してよいとする社内規程の改定を先に進めた点も見逃せません。仕組みと規程を同時に動かしたことで、紙も電子も両方残る二重管理に陥る道が塞がれています。一方、電子化の可否を判断するには倉庫から文書を引き出し、中身を一つずつ確かめる棚卸が欠かせず、全社的な協力を仰ぐ場面では消極的な部署も出ています。作業そのものより各部署の負担をどう軽くするかが、実務上の焦点になっている構図です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
文書が手元に届くまで1週間程度かかっていたリードタイムは、ほぼ0に短縮されています。テレワーク中を含むあらゆる環境から技術情報にアクセスでき、検索性が高まったことで手戻りもなくなりました。紙の経年劣化や紛失のリスクも解消され、電子化とあわせて紙の破棄を進めた結果、キャビネットの収容量を半分以上削減した部署も生まれています。過去の技術評価や試行錯誤の記録を掘り起こして使えるようになったことは、保管コストの削減以上に、技術情報が資産として回り始めた変化として受け止められます。取り組みはまだ道半ばで、歴史的な資料の電子化が続いています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、紙のまま保管された資料そのものに事業上の価値があり、しかも探して使う場面が繰り返し発生する組織です。過去の測定記録や設計図、検査記録のように、後から参照されるほど価値が増す資料を抱えているなら、電子化は保管費の節約以上の意味を持ちます。逆に、保管しているだけでほとんど参照されない資料や、保存期間が過ぎれば廃棄できる書類が中心なら、電子化にかける費用に見合う効果は出にくいでしょう。図面や手書き注記のように、読み取り品質がそのまま活用可否を左右する資料が多い場合は、価格だけでベンダーを選ぶと後で使えないデータが残ります。
もう一点、この事例が示すのは、実作業の壁が技術ではなく現場の判断コストの側にあることです。どの文書を電子化するかを決めるには中身を一つずつ確認する人手が要り、その負担を引き受ける部署の合意が取れなければ作業は止まります。着手するなら、電子化を終えた原本を破棄してよいか、自社の文書管理規程がどう定めているかを確かめるところから。規程が紙の保存を前提にしたままでは、電子化しても紙は減りません。
この事例は2023年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
文書電子化サービス「FromDoc」を提供。富士フイルムRIPCORDの文書電子化サービスをベースに、ロボティクス技術とAIを活用して大量文書を高速にデータ化するスキャンニングサービスで、文書管理のコンサルティングから電子化作業、BPOサービスまでをパッケージで提供する。
ENEOS Xplora株式会社
出典・参考情報
FromDocを採用したENEOS Xplora株式会社 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ
発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
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