実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.14
AIチャットボットで問い合わせ急増を吸収、満足度を9%回復させたアパレルEC
プロジェクト期間:3年以上
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- お客様の困りごとがうまく聞き出せない
- 少人数で問い合わせ対応を回している
- チャットボットを置いたが使われない
どのようなAIの取り組み?
AIチャットボットと先回りの声かけ機能で、問い合わせが急増した時期も有人対応の増加を抑え、満足度を約9%回復させたAI取り組み
業種
アパレル・EC(小売・流通・EC)
取り組み領域
カスタマーサポート/ECサイトの問い合わせ対応
使ったAI
AIチャットボット(KARAKURI chatbot/KARAKURI hello)
主な成果
チャットボット対応数170%増でも有人対応の増加は80%に抑制、満足度は約1ヶ月で9%回復
幅広い年代の女性向けアパレルブランドを展開するストライプインターナショナルは、自社ECサイト「STRIPE CLUB」のカスタマーサポートで、2019年からカラクリのAIチャットボット「KARAKURI chatbot」を運用してきました。2023年には、閲覧しているページや行動から困りごとを察知して質問を提示するプロアクティブサポート機能「KARAKURI hello」を加え、問い合わせを待つ窓口から、潜在的な不安を引き出す窓口へと役割を広げています。運用はCRチーム2名体制で、毎日5分程度のAIトレーニングと月1回のログ分析を継続。サイトリニューアルに伴う全会員のパスワード再設定という混乱期には、会話カードに「再設定できない理由の選択肢」を用意し、その回答をもとに選択肢の階層や配置を組み替えました。
出典:AIの声かけで始まり、選択肢で導く ── ストライプインターナショナルが実現した"気づきを促す"サポート設計 発行元:カラクリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
「ログインができない」という一言の裏に、いくつもの異なる事情が隠れている。ストライプインターナショナルのカスタマーサポートが向き合っていたのは、そうした輪郭のはっきりしない相談でした。ネットショッピングに慣れていない60代・70代の利用者も多く、自分の状況を言葉にしきれないまま問い合わせに至る場面が少なくありません。加えて、せっかく設置したチャットボットに気づいてもらえず、受け身の問い合わせ対応にとどまっているという課題も抱えていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは問い合わせの件数ではなく、相談が「解ける形」になっていなかったことにあります。状況が整理されていない相談は、有人対応に回ってもまず聞き取りから始めざるを得ず、その場ではログインできる状態に戻すことが最優先になります。原因は残ったまま、次の問い合わせの種として積み上がっていく。件数を減らす前に、相談の入り口で状況を整理する仕組みが要る、という問題設定だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
パスワード再設定ができない理由を選択肢として並べ、顧客自身に選んでもらう会話カードの設計が、この取り組みの中心にあります。選択肢は回答へ導く道しるべであると同時に、どの状況でつまずいたのかを記録する仕掛けとしても働きます。有人対応では、まずログインできる状態に戻すことが優先され、原因の深掘りまでは手が回りません。窓口の手前に選択式のやり取りを置いた設計は、その取りこぼしを埋める位置に据えられています。
毎日5分のAIトレーニングと、月1回の不満ログの読み込みという、粒度を絞った運用リズムも見逃せません。回答できなかったログは必ずどこかの会話カードに質問パターンとして取り込む決まりになっており、答えられなかった質問がそのまま次の回答材料へ変わっていきます。2名体制で5年続いているのは、一回あたりの作業を数分に収まる大きさへ分解したからでしょう。改善の速さよりも、途切れないことを優先した組み立てと読めます。
閲覧ページや行動から困りごとを察知して質問を差し出す先回りの声かけは、チャットボットの存在に気づいてもらう役割も兼ねています。何をどう聞けばよいか分からない利用者にとって、提示された質問は「ここまで気軽に聞いていい」という範囲の提示にもなります。送料やクーポンのように、購入前に確かめたい疑問が表に出てきたのも、この入り口の作り替えがあってこそだと考えられます。セール期に送料無料の条件が変わる場面では、スケジュール機能で回答内容をあらかじめ切り替え、案内の食い違いを防いでいます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
サイトリニューアルに伴う全会員のパスワード再設定という混乱期には、チャットボットの対応数が170%増加した一方で、有人対応の増加は80%にとどまり、人員を増やすことなく乗り切っています。落ち込んだ満足度も、選択肢の階層や配置を見直したことで、わずか1ヶ月で約9%回復しました。24時間365日応答できる状態は、待たせたまま商品が売り切れてしまう事態に心を痛めがちな対応スタッフの負担を和らげる効果も生んでいます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、問い合わせの多くが会員登録やログイン、送料、クーポンのように条件が決まっていて、つまずき方をいくつかの選択肢に分解できる領域です。顧客が自分の状況を言葉にしにくい業種、たとえば会員向けサイトや各種の手続き窓口では、選択肢を並べて選んでもらうやり方がそのまま効きます。一方で、一件ごとに事情が大きく異なる相談や、交渉・謝罪を伴うやり取りは選択肢が枝分かれしすぎ、かえって迷わせる恐れがあります。導入した直後は選択肢の精度が上がらず、ログがたまるまで待つ期間が必要になる点も見込んでおいたほうがよいでしょう。
小さな一歩としては、自社サイトを顧客と同じ画面から開き、質問を始めるまでに何回クリックが必要かを数えてみてはどうでしょうか。その手数の多さが、先回りの声かけを試す価値があるかどうかの判断材料になります。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KARAKURI Inc.
AIチャットボット「KARAKURI chatbot」およびプロアクティブサポート機能「KARAKURI hello」、対話AI「GeN」などのカスタマーサポート向けAIサービスを提供する企業。
株式会社ストライプインターナショナル
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
