実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.14
人材派遣の提案づくりを対話型AIで標準化、現場が自作したツール群
企業規模:500人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 提案の質が人によってバラつく
- 相場や価格の情報集めに時間がかかる
- ベテランのやり方を他の人に渡せない
どのようなAIの取り組み?
対話型の生成AIを提案づくりの壁打ち相手に据え、営業提案の標準化と相場リサーチの効率化に取り組んだ事例
業種
人材派遣・人材紹介(人材サービス)
取り組み領域
営業/提案作成・相場リサーチ
使ったAI
Generative Navigator(GeN)(対話型の生成AI基盤)
主な成果
提案準備の時間短縮と、提案づくりの標準化が進展
しゅふ層向けの時短派遣を軸に人材派遣事業を手がけるビースタイルスマートキャリア(ビースタイルホールディングス傘下)は、カラクリが提供する生成AI基盤「Generative Navigator(GeN)」を使い、営業提案の壁打ち相手となるツール「提案くん」を構築しました。相談内容や背景を入力すると、確認すべき点や追加の質問がAI側から返り、それに答えていくうちに提案が形になる仕組みです。ほかにも派遣の支払い時給の相場を見る「時給リサーチャー」、人材紹介向けの「年収リサーチャー」、記事コンテンツ作成ツール、求人依頼の内容から募集原稿や提案資料をつくるリード獲得支援ツールを用途ごとに構築し、現場の業務に組み込んで運用しています。検討段階ではChatGPTやGemini、Difyでの内製も試しましたが、安定した活用には至りませんでした。
出典:再現性ある提案を可能に。GeNが営業の“考える過程”をサポート 発行元:KARAKURI Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
人材派遣の時給相場は動きが早く、数円単位の違いが提案内容や利益に影響します。鮮度の高い情報をタイムリーに把握する手立てが求められる一方で、営業提案そのものにも経験や知識による質のばらつきがありました。とくに顧客課題を引き出し、それを提案へ落とし込む工程では一定のスキルが必要で、習熟の途上にあるメンバーは構築に時間がかかったり、内容が曖昧になったりすることもあったとされています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は情報や人手の不足ではなく、「何を聞き、どの順で組み立てるか」という考える手順が経験者の頭の中にしか存在しなかった点にあります。相場データが手に入っても、それを顧客の状況とつなげて提案に変換する工程が言語化されていなければ、質の差は残り続けます。標準化すべき対象が、成果物ではなくその手前のプロセスだったということではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIの側から追加の質問を投げ返す対話設計が、この取り組みの中核にあります。利用者が相談内容や背景を入力すると、確認すべき論点や足りない情報が問いとして返り、それに答えていくうちに提案の骨格が固まっていきます。ゼロから独力で構成を考えなくてよくなるのは、経験を積んだ営業が頭の中で踏んでいた思考の順序を、問いという形で外に取り出したからだと考えられます。
プロンプト設計の自由度を、回答内容ではなく「どういう視点で考えるか」という姿勢の指定に振り向けた点も効いています。自社の方針やスタンスをあらかじめ組み込んでおけば、使い手の慣れや文章力に差があっても、出てくるアウトプットの水準は大きくは崩れません。現場へ広く展開することを前提にするなら、出力の上限を伸ばすより下限を引き上げる設計のほうが実務的です。
参照する情報ソースを固定し、用途ごとにツールを切り分けた作り方も見逃せません。人材派遣の相場には支払い時給と請求時給という複数の金額が絡み、その関係や計算方法を汎用の生成AIに正しく理解させることが難しく、社内で試したChatGPTやGemini、Difyで組んだ入力フォームでは誤差や回答のばらつきが生じていました。提案づくりの「提案くん」、時給相場を見る「時給リサーチャー」、人材紹介向けの「年収リサーチャー」というように、扱う情報と目的を1ツール1用途へ絞り込んだ設計が、この不安定さを避ける現実的な解になったと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
提案準備にかかる時間が短くなり、検討段階での迷いが軽くなったことが効果として挙げられています。従来は情報を集めて整理し、構成を練るまでに相応の時間と労力がかかっていましたが、やり取りの中で方向性が整理されるため初動が早まり、提案内容も固まりやすくなりました。情報の引き出し方や構成のナレッジを都度教え込まなくても一定の形に落とし込めるようになった点は、提案の質が個人の経験に左右されにくくなったことの表れといえます。専門知識がなくても実務で使えるツールを自分たちで作れるという手応えから、他部署へも活用が広がっています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、成果物そのものより手前の「考える順序」に価値がある業務です。顧客への提案、見積の組み立て、企画の初期整理のように、熟練者なら自然に押さえる確認事項が決まっている仕事であれば、その問いをAI側に持たせる形は移植しやすいでしょう。参照する情報の出どころを一つに定められることも条件になります。
反対に、支払い時給と請求時給の関係のように、複数の数値がどう結びつくかを言葉で定義しきれないまま汎用の生成AIに投げると、この事例でも起きたように誤差や回答のばらつきが表面化します。また、問いの設計そのものを社内で書ける人がいない場合、標準化の土台が作れません。参照すべき情報が日々差し替わり、どれを正としてよいか決められない業務でも、出力の安定は望みにくいところです。
はじめの一歩としては、直近の商談で成績の良いメンバーが顧客に投げていた質問を、三つだけ拾って書き留めてみてはどうでしょうか。その三つが、AIに持たせる問いの原型になります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
KARAKURI Inc.
対話を通じて情報を深掘りし提案やリサーチを支援するAIツール「Generative Navigator(GeN)」を提供する企業。
株式会社ビースタイルホールディングス
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