実施 2023.10 ・ 更新 2026.08.14
オルビスの購入前チャット接客、満足度61%→78%を生んだAI運用の設計
プロジェクト期間:3年以上
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ECで購入前の不安を解消できていない
- 商品ページの情報量にばらつきがある
- お客様の声を改善に活かしきれていない
どのようなAIの取り組み?
閲覧中のページや行動から疑問を察知してAIが質問を提案する仕組みを取り入れ、チャット体験の満足度を61%から78%へ引き上げたAI取り組み
業種
化粧品通販(小売・流通・EC)
取り組み領域
ECサイトの購入前チャット接客・顧客サポート
使ったAI
AIチャットボット(KARAKURI chatbot/KARAKURI hello)
主な成果
チャット体験の満足度が61%から78%へ向上
化粧品や栄養補助食品を通信販売するオルビスは、通販売上の約8割をオンラインが占めるなかで、チャットの役割を「問い合わせ対応」から購入前の迷いに応える接客へと位置づけ直しました。2022年から運用してきたKARAKURI chatbotに加え、2023年10月には、顧客の閲覧ページや行動から困りごとを察知してAIが自動で質問をサジェストするオプション機能「KARAKURI hello」のPoC(小規模な試験導入)を実施。肌タイプの適合や商品同士の違いといった、人によってばらつく相談にどこまで納得感をもって応答できるか、また商品詳細ページの情報量に差がある商材でも案内が成り立つかを検証しました。あわせて、チャットに寄せられた顧客の声をページごとの購買導線に沿ってマッピングし、社内で「世界地図」と呼ぶ一枚のシートに可視化する運用を組み立てています。
出典:AIチャットボットは「察する接客」ができるか?オルビスが満足度78%で証明した購入前サポートの新境地 発行元:KARAKURI Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コロナ禍を経て非対面チャネルの重要性が高まる一方、既存の仕組みでは問い合わせフォームや電話への誘導に頼らざるを得ない場面が残っていました。ボットの運用を外部に委託していたためチューニングの自由度にも限界があり、購入前の相談は定型では受けきれず、商品ページの情報量にも差がある。特に食品カテゴリーなど一部の商材は、ほぼ説明がない状態でした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は問い合わせの量ではなく、「問い合わせをさばく仕組み」と「購入前の迷いに寄り添う仕組み」がそもそも別物だった点にあります。前者は想定問答の網羅で足りますが、後者が扱うのは、まだ言葉になっていない段階の迷いです。加えて、改善の手綱を自社で握れていなかったことが、気づいても直せないという二重の停滞を招いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
ページごとに想定問答を作り込むシナリオ型から、閲覧している文脈を読み取ってAIの側から質問を差し出す方式へ軸足を移した設計が、購入前の相談という扱いにくい領域を実運用に乗せた最大の要因と考えられます。購入前の迷いは、本人がまだ言語化できていないことも多く、問いが立ってから答える仕組みでは取りこぼしが生まれます。事前にすべての困りごとを列挙しなくても対話が始まる構造にしたことで、説明が乏しい商品ページのように、設計者が想定しづらい場面にも手が届くようになりました。
導入と同時にすべてをAIへ委ねない段取りも効いています。まずシナリオで基本的な想定問答を組み立て、数ヶ月の運用データが蓄積してからKARAKURI helloへ切り替える流れをとり、初動の体験が重くのしかかる新商品では公開のタイミングにも神経を配る。この順番は、AIが参照する材料を現場のやり取りから確保しつつ、応答が安定しない時期を顧客の目に触れさせないための、二重の安全弁として働いています。
顧客の声を購買導線に重ねて読む運用は、改善対象の取り違えを防ぐ装置になりました。ポイントに関する声は当初、最終確認画面の問題として扱われていましたが、全ページと問い合わせ内容をマトリクスにした「世界地図」と、ページごとの会話カードの利用状況を突き合わせたことで、つまずきが買い物の入り口から連なっていることが浮かび上がります。毎月のレポートでは、よく見られている会話カード、自由入力の質問、離脱の傾向、埋もれやすい重要情報の見極めまで踏み込み、新商品では公開直後の短期間で集まった声を制作物へ反映し、修正が難しい箇所は会話カードで補う分業も組まれている。ツールを提供するKARAKURI側の機能と、自社で回す分析・改善の実務が噛み合った形です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
PoC期間中、チャット体験後の満足度は61%から78%へ大きく改善し、本格導入後もその水準が維持され、設置場所の拡大により2025年7月時点では約83%まで伸びています。説明がほとんどない状態だった食品カテゴリーで特に高い満足度が記録された点は、情報の不足をチャットが補ったことの裏づけと読めます。運用面では、ポイントや定期契約に関する問い合わせが目に見えて減少し、新商品の詳細ページ改善では、カート投入率が前年同月比で約4ポイント向上しました。同社は要因がチャットだけではないとしたうえで、事前の設計と公開後の素早い改善が成果に寄与していると捉えています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、購入前の疑問がページ単位ではっきり分かれるオンライン販売で、どのページでどんな声が出たかを結びつけて見られる場合です。商品数が多く、ページによって説明の厚みに差がある事業では、薄いページをチャットで補うという役割分担がそのまま効いてくるはずです。
一方で、扱う商品が少なく、寄せられる声の母数が小さい事業では、ページと声を掛け合わせたマトリクスが埋まらず、優先順位を判断できるほどの傾向は見えにくくなります。この事例の成果は、可視化した声を受け取ってページや文言を直せる制作・改修の体制が並走していたからこそ形になったもので、声を集める仕組みだけを入れても気づきが溜まるだけで終わりかねません。まず試すなら、次に出す商品のページを一つ選び、公開直後の数日間だけチャットを置いて、寄せられた質問をページのどの部分に対するものか分類してみる。それだけでも、説明が届いていない箇所は驚くほど具体的に見えてきます。
この事例は2023年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KARAKURI Inc.
AIチャットボット「KARAKURI chatbot」やプロアクティブサポート機能「KARAKURI hello」などを提供する企業。
オルビス株式会社
出典・参考情報
AIチャットボットは「察する接客」ができるか?オルビスが満足度78%で証明した購入前サポートの新境地
発行元:KARAKURI Inc.
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