実施 2024.03 ・ 更新 2026.08.14
キューサイの生成AI全社活用、利用率75%を支えた研修とRAG検索
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 調べものや案出しに時間を取られている
- 同じ質問が特定の部署に集中している
- AIを入れたが一部の社員しか使っていない
どのようなAIの取り組み?
生成AIパッケージ「AI-Starter」とRAGの導入により、全社員の生成AI活用を進め、社内利用率75%に達したAI取り組み
業種
健康食品・化粧品の製造販売(製造業)
取り組み領域
全社の生成AI活用/社内文書検索
使ったAI
生成AIパッケージ「AI-Starter」・RAG(複数LLM対応)
主な成果
社内の生成AI利用率75%(記事執筆時点)
青汁やスキンケア商品を手がけるキューサイでは、情報システム部門にあたるITDX推進グループが中心となり、クラスメソッドの生成AIパッケージ「AI-Starter」を導入しました。相談の始まりは2023年秋で、翌2024年3月に環境が構築され、同時に社内文書を検索するためのRAG(社内資料を検索して回答に使う仕組み)も整えられています。正式リリース前には有志による1か月のテスト期間を挟み、同年5月に全社へ展開しました。導入後は活用事例の発信や座学と実践を組み合わせた研修、独自に立ち上げた学習用アプリを使った社員参加型イベントなど、全社員へ向けた浸透策が続いています。RAGについても、資料をカテゴリごとに分ける形へ作り替え、回答の精度を高めてきました。
出典:キューサイ様事例|AI-Starter導入で生成AI活用を促進し社内利用率75%を達成|クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
同社ではリサーチやアイデア出しといった業務に一定の時間がかかっており、現場からは生成AIを業務で使いたいという声が上がっていました。もうひとつの困りごとが社内の問い合わせです。健康食品や化粧品の広告表現は薬機法や景品表示法などの規制を受けるため、テレビCMや会報誌を制作するたびに「この表現に問題はないか」という確認が法務部や考査部へ集中していました。
編集部の見立てでは、ここでの本質は問い合わせの件数そのものではなく、判断の根拠が探せる形で置かれていなかった点にあります。同じような判断は過去にも積み重ねられてきたはずですが、それが特定部門の中にとどまっていれば、制作を担う側は毎回人に聞くほかありません。足りなかったのは対応する人手ではなく、蓄積された判断へたどり着く経路だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
性質の異なる二つの要望を、ひとつの環境にまとめて解こうとした点が起点になっています。社内にあったのは「生成AIを業務で使いたい」という声と「社内文書を検索したい」という課題でしたが、RAGを組み込めるパッケージを選ぶことで、どちらも同じ入り口から扱える形になりました。加えて、最新のLLM(大規模言語モデル)を複数使い分けられることが選定条件に据えられています。どのモデルが最良かを先に決め切らず、業務に合うものを使いながら見定められる状態をつくるという判断の順序が、その後の使い道の広がりを許容したと考えられます。
浸透のさせ方も、興味のある社員任せにしない設計でした。全社展開の前には有志を募って1か月間それぞれの部署の実務で使ってもらい、活用方法や利点・欠点を聞き取ったうえで全社へ広げています。展開後は社内の活用事例をポータルサイトに掲載し、生成AIのプロンプト(AIへの指示文)で課題をクリアしていく独自アプリ「Q’sAI冒険門」を立ち上げ、個人別と部門別のランキングを設けた参加型イベントまで行いました。使い方を先に社内から集め、他の社員が真似できる形に整えて配るという順序が、道具を配るだけでは起きない広がりをつくった要因と見ています。
RAGの作り込みでは、失敗の中身に合わせて構造そのものが変えられています。導入当初は古い情報をもとにした回答や、健康食品について尋ねたのに化粧品の法律が返ってくるといったずれが起きていました。そこで採られたのは、すべての資料をひとつのRAGにまとめるのをやめ、カテゴリごとにRAGを分けるという設計変更で、AIに賢く探させるのではなく、探す範囲をあらかじめ絞る考え方です。構築を担ったクラスメソッド側が相談や細かな要望を随時受け止め、画面のレイアウト調整まで含めて手を入れ続ける役割分担も、この作り替えを可能にしています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AI-Starterのログから集計した社内の生成AI利用率は、記事執筆時点で75%に達しています。長期休暇明けに大きく落ち込むこともなく、ランキング形式のイベント後には利用率が約1.5倍に伸びました。RAGによる社内文書の検索は、法務部や考査部への問い合わせ負荷の軽減とナレッジの共有につながっています。人事・総務部の会員管理アプリやSCM部の社内販売向けECアプリのように、IT部門以外がアプリを開発する動きも生まれました。なお、商品画像やバナーの内製化は検証の段階、売上向上への展開は検討が続いている段階です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判断の根拠が文書として社内に残っていて、その内容を確かめる問い合わせが特定の部署に集まっている組織です。規制や社内基準に照らして表現や仕様の可否を確認する場面は、答えが資料のどこかに書かれている問い合わせであり、検索して回答に使う仕組みと相性がよい部類に入ります。
一方、判断の根拠が資料になっておらず担当者の頭の中にしかない領域では、同じ形は成り立ちません。文書が残っていても、更新されないまま古い版が混在していれば、この事例の初期に起きたようなずれが出やすくなります。カテゴリごとに分ける手法も、分ける軸が業務側で説明できて初めて効く点は押さえておきたいところです。まず試すなら、直近で法務や品質の担当者へ寄せられた問い合わせを数件たどり、その答えが社内のどの資料の何ページに書かれていたかを確かめてみる。そこで資料に行き着かない質問が多いなら、検索の仕組みより先に、記録の作り方を見直す順番になります。
この事例は2024年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
生成AIパッケージ「AI-Starter」を提供し、ChatGPTやAmazon Bedrockなどの各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援を行う企業。AWS総合支援や生成AIコンサルティングも提供している。
キューサイ株式会社
出典・参考情報
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