実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.13
鹿児島県鹿屋市が庁内に生成AIを導入、文書作成や議事録の効率化を図る行政DX
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 文書の下書き作成に時間を取られている
- 会議の議事録づくりが後回しになりがち
- 自由記述のアンケートを読み切れない
どのようなAIの取り組み?
行政専用ネットワークに対応した環境で生成AIを庁内利用できるようにし、文書作成や議事録整理、アンケート分析の効率化を図る行政のAI取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
庁内の文書作成・議事録・アンケート分析・議会対応
使ったAI
GaiXer(エンタープライズ向け生成AIサービス)
主な成果
定量的な成果は公表されておらず、行政事務の効率化を図る段階
鹿児島県鹿屋市は、2025年4月1日から、FIXERが提供するエンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」の庁内利用を開始しました。提供はNTTコミュニケーションズを通じて行われ、地方公共団体が使う高セキュリティの専用ネットワークであるLGWANに対応した環境で運用されています。想定されている使い方は、案件ごとの事情を反映した文書案の作成、会議内容の整理による議事録・報告書づくりの効率化、アンケートの自由記述などテキストデータの分析、議会対応に向けた情報収集や想定問答の準備の四つ。市のDX推進計画ではAI技術の活用が重点施策の一つに置かれており、今後は活用領域の拡大、職員向け研修プログラムの強化、RAG(外部の情報を検索してAIの回答に反映する仕組み)の全庁展開が計画されています。
出典:生成AIサービスGaiXer、鹿児島県鹿屋市にて活用開始 ~行政業務効率化と市民サービスの向上を推進~ - 株式会社FIXER 発行元:株式会社FIXER
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
鹿屋市がAI活用を推進計画の重点施策に据えた狙いとして示されているのは、行政手続きの迅速化と職員の業務負担軽減の二点です。どの業務がどれほど逼迫していたかまでは公開されていません。
ただ、庁内で最初に掲げられた用途が、文書案の作成、議事録や報告書の整理、アンケート自由記述の読み解き、議会対応の想定問答という顔ぶれである点は示唆的です。いずれも一件あたりの難易度が特別に高いわけではないものの、書式や前例を踏まえて体裁を整える手間がかかり、担当者の手が長く止まりやすい仕事。編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は件数の多さそのものよりも、政策の検討や住民との対話に向けたい時間が、形を整える作業に吸い取られていた点にあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
行政専用ネットワークのLGWANに対応した環境で使える形を先に整えたことが、この取り組みの土台になっています。自治体が生成AIに踏み出しにくいのは、扱う情報が住民の個人情報や未公開の内部資料に及ぶためで、最初に解くべきは技術の性能よりも「持ち込んでよい環境か」という問いだったのではないでしょうか。選ばれたサービスはデータ保護やアクセス制御の機能を備え、政府のセキュリティ基準を満たすSaaSとして「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストにも登録されており、可否をめぐる議論を利用開始前に片付ける順序が取られています。
最初の用途を、文書案づくり、議事録や報告書の整理、アンケートの自由記述分析、議会対応の情報収集と想定問答に絞った選び方も効いています。いずれも出てきた文章の妥当性を職員自身がその場で読んで判断でき、粗ければ手直しして使えるため、AIが外したときの損失が小さい領域。制度の判断や住民への確定回答そのものをAIに委ねる形から入っていない点に、対象選定の慎重さが表れています。
複数の大規模言語モデル(LLM)から選んで実行できる仕組みや、業種別テンプレートを使ったプロンプト作成支援は、指示の書き方に慣れていない職員でも初日から扱えるようにするための作り込みです。そのうえで研修プログラムの強化とRAGの全庁展開を後段の計画に置いた組み立ては、まず触れる人を増やし、庁内文書を参照させる踏み込んだ使い方は体制が整ってから、という順序を意図したもの。提供経路をNTTコミュニケーションズが担う形も、自治体が慣れた調達の流れに乗る分だけ、手続き面の摩擦を減らします。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公開されている情報の範囲では、削減時間や削減率といった定量的な成果はまだ示されていません。2025年4月1日にLGWAN対応環境での利用が始まった段階で、文書作成やデータ分析を通じて行政手続きの迅速化と職員の負担軽減を図っていく途上にあります。今後は、より専門的な分野への活用領域の拡大、全職員が生成AIを使いこなせるようにする研修の強化、RAGの活用方法を確立したうえでの全庁展開が計画されています。
うちでも使える?
この形が応用しやすいのは、扱う情報の機密性が高く、外部サービスを使うこと自体が長く議論の的になってきた組織です。ネットワークの条件や第三者の登録制度の要件を満たすサービスを選べば、話の中心は「使ってよいか」から「どの業務から使うか」へ移ります。用途の選び方も参考になります。書式や前例がある程度決まっていて、出来上がりの良し悪しを担当者が読んで判断できる文書仕事は、最初の対象として無理がありません。
逆に持ち込みにくいのは、AIの出力がそのまま外部への確定回答になる業務や、根拠となる資料が紙のまま散らばっていて参照先を用意できない業務です。鹿屋市がRAGの活用方法の確立を後続の課題に置いていることからも読み取れるように、庁内の文書をAIに参照させる段階には、別の準備と手順の整理が必要になります。まずは、この一か月に作った文書のうち書式が決まっているものを三件ほど選び、同じ条件でAIに下書きさせて仕上げまでの手数を比べてみるところから。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社FIXER
クラウド黎明期の2009年に創業したクラウドネイティブカンパニー。Microsoft Azureの正式サービス開始と同時にエンタープライズシステムのクラウド化を引き受け、日本のクラウド普及を担ってきた。エンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」を提供している。代表取締役社長は松岡清一。
鹿児島県鹿屋市
出典・参考情報
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