実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.15
ドローン空撮画像を生成AIで一次判定、災害調査を数時間規模へ短縮する検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 現場写真の目視確認に時間がかかる
- 急ぎの判断なのに解析結果が数日後
- 大量画像の一次チェックを自動化したい
どのようなAIの取り組み?
生の空撮画像を生成AIに直接読ませて損傷箇所を一次判定し、数日かかっていた被害把握を数時間規模へ短縮できる見通しを得たAI取り組み
業種
ドローン開発・空撮画像解析(IT・通信)
取り組み領域
災害時の被害調査/画像解析
使ったAI
Gemini、Gemini Enterprise Agent Platform(生成AIによる画像解析)
主な成果
被害箇所の特定が2〜3日から数時間〜半日に収まる目処(PoC段階)
ドローンの開発から空撮データの解析までを手がけるエアロセンス株式会社が、Google Cloud のパートナーである株式会社G-gen の支援を受け、災害時の被害調査に生成AIが使えるかを確かめました。従来は、撮影した膨大な画像からまず地形の歪みを補正したオルソ画像(地図のように見られる形につなぎ合わせた画像)をつくり、そこから被害箇所を目視で探す流れで、この変換だけで2〜3日を要していました。今回はその工程を飛ばし、撮影したままの画像を Gemini に直接読ませて、山崩れや道路の損壊といった損傷を検出させる方式を試しています。指示文の構造化や検証観点の設計は G-gen が担い、精度と処理速度の両面を確かめる PoC(概念実証)として実施されました。
出典:エアロセンス株式会社様 - 導入事例 - 株式会社G-gen(ジージェン) 発行元:株式会社G-gen
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
2024年1月の能登半島地震では、エアロセンス株式会社の VTOL 型ドローンが人の進入が難しいエリアの奥まで自動で飛び、被害の様子を撮影しました。ところが、そこから先が進みません。撮影された膨大な画像は、まず地形の歪みを補正したオルソ画像に変換され、担当者がその画像を目で追って被害箇所を見つけていく流れで、変換だけで2〜3日かかっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は撮影の速さでも画像の量でもなく、「人が見て判断できる形に整えてから探す」という工程の順番そのものにあったのではないでしょうか。データ自体は災害の直後に手元へ届いているのに、使える情報になるまでに数日が挟まってしまう。一刻を争う現場で失われていたのは解析能力ではなく、その間の時間だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
検証の出発点になったのは、オルソ画像をつくる前処理をいったん外すという工程の組み替えです。地形の歪みを補正して1枚の地図のようにつなぐ作業は、人が全体像を俯瞰して被害箇所を探すために必要な準備であって、画像を1枚ずつ読むAIにとっては必ずしも前提ではありません。撮影したままの生画像を Gemini に直接渡すという割り切りは、この工程が誰のためのものだったのかという問い直しから生まれたものと見ることができます。
AIの役割を一次判定に絞り込んだ設計も、実運用への距離を縮めています。損傷箇所を囲む枠の精度にはまだ課題が残ると当事者自身が認めていますが、「この画像は怪しい」と早い段階で示せれば、確認すべき画像を人が絞り込めます。完璧な検出結果を出させるのではなく、人の目の前段に当たりをつける層を一枚差し込む。この役割分担であれば、精度の限界がそのまま使えない理由にはなりません。
自社でモデルを作り込まず、検証の設計にノウハウを持ち込んだ進め方も要因として大きいはずです。同社は以前から TensorFlow 等でAI開発に取り組んでいましたが、今回はモデルの開発と運用を自前で抱えず汎用モデルを使う道を選び、G-gen が指示文(プロンプト)の構造化や、5〜6の異なる観点にわたる検証パラメータの設定を担いました。生成AIの経験が浅い側が手探りで試行回数を重ねるのではなく、どこを変えると精度が動くかを知る側が検証の型を用意する分業になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
検証では、山崩れや道路の損壊といった損傷を言い当てる精度が97%に達し、解析速度は1枚あたり最速3秒まで上がりました。並列処理の実験では1枚あたり0.数秒というポテンシャルも見えており、従来2〜3日を要していた被害箇所の特定が、最速で数時間から半日以内に収まる目処が立っています。現場からは、その場で当たりをつけられることへの驚きや、自治体など関係機関への情報提供が早くなるという声が出ています。いずれも PoC 段階での結果であり、サービスへの組み込みはこれからです。
うちでも使える?
応用しやすいのは、大量に集めた画像や記録の中からまず怪しいものを絞り込む工程が、業務の前段にある場合です。設備や建物の点検写真、店舗のカメラ映像、次々に届く報告書の束など、人が最初に一通り眺めて振り分けている作業があるなら、その振り分けだけをAIに任せる考え方は移しやすいでしょう。あわせて、人が見るために挟んでいる整形や変換の工程が、AIにも本当に必要かを疑ってみる価値があります。
一方で、見落としが安全や法令違反に直結し、人の再確認を挟む余地がない工程には、この形をそのまま持ち込めません。今回の検証も、最終的に人が画像を確認する前提があるからこそ、枠の精度に課題を抱えたまま前へ進めています。手元にある写真やファイルを数十枚ほど選び、いま担当者が使っている判定基準を文章にして生成AIに同じ判断をさせてみる。人の判断とどれだけ一致するかを見るだけでも、自社の業務がこの手法に乗るかどうかの見当はつきます。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社G-gen
Google Cloud(旧称GCP)プレミアパートナー。請求代行、システム構築から運用まで顧客のニーズに合わせたサービスを提供し、生成AIを活用した「Gen AI PoC パッケージ」も提供している。
エアロセンス株式会社
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