実施 2024.09 ・ 更新 2026.08.16
RAGで社内文書検索を3カ月試作、経営層向け試験運用で生成AIの可能性を探る
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ファイルサーバーの書類が探せない
- どれが最新版か確かめるのに時間がかかる
- 生成AIを試したいが対象を絞れない
どのようなAIの取り組み?
AWSの生成AIサービスを組み合わせたRAGで社内文書検索アプリを3カ月で開発し、経営層向けの試験運用まで進めたAI取り組み
業種
システムインテグレーター(IT・通信)
取り組み領域
社内文書検索/情報システム
使ったAI
Amazon BedrockとAmazon Kendraを組み合わせたRAG(生成AI)
主な成果
3カ月でアプリを開発し経営層向けPoCで一定の成果を確認
福島県いわき市に本社を置くシステムインテグレーター、東日本計算センターが、社内文書の検索にRAG(社内のデータを検索して生成AIの回答に使う仕組み)を用いたアプリを開発しました。オンプレミスのファイルサーバーに蓄積された技術文書や申請書類のうち、交通費や出張旅費の計算など社員が頻繁に開く約30種類のファイルを対象に、チャットで質問すると該当する文書の内容を要約した回答が返る仕組みを構築しています。基盤にはAWSのAmazon BedrockとAmazon Kendraを採用し、開発はAWS専業のサーバーワークスが技術面から支援しました。2024年9月から11月までの3カ月間、経営層10数名を対象に試験運用を実施し、現在は全社展開と将来の外販化に向けて開発を継続しています。
出典:導入事例(株式会社東日本計算センター様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス 発行元:株式会社サーバーワークス
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
社内の文書は、システム開発の仕様書や設計書から日常業務の申請書類まで、オンプレミスのファイルサーバーに大量に置かれていました。ただしフォルダごとに散らばっているため、社員はどれが最新かを自分で確かめながら目当ての一枚にたどり着く必要があり、その手間が業務効率を落としていました。
一方で同社は、ChatGPTを早い段階で導入し、プロンプトエンジニアリング(AIへの指示文の工夫)のワークショップを開くなど、生成AIに触れる機会を社内につくってきています。経営トップからは、生成AIの技術を活用したサービスを顧客に提供していく方針も明確に示されていました。こうして並べてみると、この取り組みが解こうとした本当の課題は、文書が探しにくいことよりも、生成AIを売る側に回るための実装経験が社内に足りていなかった点にあったのではないでしょうか。手近な社内業務を最初の題材に選んだのは、失敗しても損失の小さい場所で経験を積むための選択だったと編集部は見ています。
どうやって、うまくいったのか
最初の一歩を、社内の全文書ではなく約30種類のファイルに絞り込んだ判断が、この取り組みの土台になっています。対象に選ばれたのは、交通費や出張旅費の計算など社員が日常的に開く申請系の書類でした。全社の文書をいきなり扱えば技術的にもコスト的にも壁が高くなりますが、利用頻度が高く様式も決まった文書群であれば、欲しい情報が取り出せたかどうかを使う側がその場で判断できます。検証の合否を誰でも見分けられる範囲まで問題を小さくしたことが、短い期間で答えにたどり着けた理由と考えられます。
もう一つの要因は、生成AI・RAG・チャットアプリを別々に組み上げるのではなく、パッケージ化されたサービスをそのまま使う構成を選んだ調達の設計にあります。他社の提案がそれぞれを構築してカスタマイズする形だったのに対し、採用されたのは低コストかつ短期間で仕上げる方式で、アーキテクチャ全体をカバーする技術サポートが付いていました。AWSのフレームワーク内でセキュリティ要件を満たせる点がAmazon Bedrock採用の理由に挙がっていることからも、作り込みの自由度より、最初に確かめたい問いへ早く到達することを優先した判断が読み取れます。
試験運用の設計も独特です。対象を経営層10数名に限り、検索のヒット率や回答内容の精度はあえて評価から外して、質問してから回答が返るまでのプロセスを見てもらうことに重きが置かれました。精度を問えば荒削りな初版は低い評価にしかなりませんが、生成AIがどう動くのかを方針を決める当事者が自分の手で体感すれば、それ自体が次の判断材料になります。評価軸を技術指標から意思決定者の納得へ振り替えた設計は、ナレッジ獲得という当初の狙いに照らせば筋が通っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
文書検索アプリは2024年9月から11月までの3カ月間で開発と検証を終え、経営層を対象とした試験運用では有益なフィードバックが得られています。手応えは社内にも伝わり、事業部からは実際に使ってみたいというリクエストが届き始めました。現在はアクセス権を制御する独自のACL(誰がどのファイルを見られるかを管理する仕組み)を実装するなど機能強化が進み、全社展開と将来の外販化を見据えた開発が続いています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内の書類がファイルサーバーに積み上がっていて、そのうち特定の何十種類かが繰り返し参照されている状況です。申請の手順や様式のように、答えが必ずどこかの文書に書かれている問いは、RAGの得意分野と重なります。ただし万能というわけではありません。図版やExcelシートを多く含む技術文書では全文検索で精度が出にくく、東日本計算センター自身も、ベクトル検索(言葉の意味の近さで探す方式)を使う別構成の検証を並行して進めています。文書の種類によって向いている検索の仕組みが変わる点は、着手前に織り込んでおきたいところ。
最初の一歩としては、直近1カ月で社内から寄せられた「あの書類はどこですか」という質問を10個ほど拾い出し、その答えがどのファイルのどこに書かれているかを並べてみてはどうでしょうか。並べた時点で、AIに任せられる問いと、そもそも文書化されていない問いの境目が見えてきます。
この事例は2024年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社サーバーワークス
AWSに特化した専門性の高いクラウドシステムインテグレーター。AWS認定の最上位パートナーであり、2009年にAWSに特化した事業を開始した東証上場企業。AWS請求代行、AWS設計・構築支援、AWS運用・サポート、AWS活用支援などのサービスを提供する。
株式会社東日本計算センター
出典・参考情報
導入事例(株式会社東日本計算センター様) - AWS伴走支援ならサーバーワークス
発行元:株式会社サーバーワークス
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
