実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.13
全社員に生成AIとeラーニングを開放し、利用率98%に届いた商社のリスキリング
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 研修を用意しても現場で使われない
- 生成AIを配ったが一部しか使わない
- 社員に何を学ばせるか決められない
どのようなAIの取り組み?
eラーニングと生成AIのアカウントを全社員に同時に配り、学びと実務での実践を並走させた人材育成の取り組み
業種
エレクトロニクス商社(商社・流通)
取り組み領域
全社の人材育成・リスキリング
使ったAI
生成AIツール(全社員にアカウント付与)とeラーニング
主な成果
生成AI利用率98パーセント、年間一人あたり26時間以上の業務効率化
半導体を中心としたエレクトロニクス商社でありながら、電子装置の自社開発やケミカル事業の研究開発も手がける伯東株式会社の事例です。同社は2024年10月から、eラーニングのUdemy Businessと生成AIツールのアカウントを全社員に付与し、社員が自律的に学べる制度を整えました。中期経営計画「Hakuto2028」が掲げる「イネーブラー人材」の育成を軸に、情報システム部をデジタル戦略推進部へ改称し、国のデジタルスキル標準を土台にした独自の2層スキル標準を設定。その学習内容をラーニングパスに組み込み、社員が工夫したプロンプトは職層別に共有しています。導入1年目でUdemy Businessの受講率は85パーセント以上、生成AIの利用率は98パーセントに達し、年間一人あたり26時間以上の業務効率化を実現しました。
出典:全社員にUdemy Businessと生成AIのアカウントを付与!98%の社員が生成AIを活用し、ビジネスインパクトを創出するに至った仕組みに迫る | 導入事例 | Udemy Business 日本公式サイト | 法人向けeラーニング 発行元:ベネッセコーポレーション(Udemy Business 日本公式サイト)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
コロナ禍以降の世界的な半導体需要の拡大を受けて業績を伸ばした同社は、そこで得た「量的な転換」の次に、持続的な成長を支える組織への「質的な転換」を経営計画のテーマに据えました。その中心に置かれたのが、人材の力による変革です。顧客の声に耳を傾け、一つひとつの課題を解決することで信頼を築いてきたやり方から、積極的に次の一手を提案する動き方へ移すことが課題でした。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは人手や研修の量の不足ではなく、社員が学んだことを自分の業務で試し、その結果を持ち寄る回路が社内になかったことにあります。学びが個人の自己啓発の範囲で完結している限り、日々の業務の進め方は変わりません。聞き慣れない「イネーブラー」という語をあえてキーワードに選んだ判断も、意味を考える手間そのものを社員に引き受けてもらうための仕掛けだったと読めます。
どうやって、うまくいったのか
eラーニングと生成AIという二つのアカウントを、選抜せず全社員へ同時に配った設計が起点にあります。土台にあるのは、現場で実践し、振り返り、成果を共有し、概念化して次の実践につなげるという経験学習モデルの考え方で、学ぶ手段と試す手段が別々に配られていれば、このサイクルはどこかで途切れてしまいます。どの場面でどう生成AIを使えるのかをプロンプトまで含めて講座で学び、その日のうちに自分の業務で動かせる状態にそろえたことが、学習と実務を短い距離でつないだと考えられます。使う人をあらかじめ絞らない配り方は、利用が伸びなければ費用だけが残る賭けでもありますが、全員に機会を開くこと自体が会社の姿勢として伝わる面もあったのではないでしょうか。
学ぶべき内容を自社の言葉で定義し直した点も見逃せません。国のデジタルスキル標準(DSS)を基に、全社員が身につける「伯東DXリテラシー標準」と、専門人材向けの「伯東DX推進スキル標準」という2層で人材要件を示し、上位層にはデータ分析を担うデジタルデータアナリスト、現場のエンジニアリングを進めるデジタル自活エンジニア、コミュニケーションのハブとなるDX推進リーダーの3つの役割を置きました。さらにリテラシー標準の学習内容をUdemy Businessのラーニングパス(学習の道すじ)へ組み込み、何から学べばよいのかを探す段階でつまずかないようにしています。職層が細かく分かれた組織で、職層ごとの到達点と講座を対応づけた進め方は、どこまでやれば十分なのかという迷いを消す働きをしたはずです。
実践の成果を個人の手元にとどめない仕組みも組み込まれました。社内にデジタルスキルの情報を共有するプラットフォームを設け、どのプロンプトがどの業務に効いたのかを職層別に整理して横展開する運用は、経験学習でいう共有と概念化の工程を、組織の作業として肩代わりするものです。あわせて情報システム部をデジタル戦略推進部へ改め、全社員がデジタルで自分の業務を改革する「All-Hands Digital Innovation」を掲げてビジネス部門とバックオフィス部門をつなぐ役割に置き直したことで、旗を振る主体がはっきりしました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入1年目で社員の85パーセント以上がUdemy Businessを受講し、生成AIの利用率は98パーセントに達しました。生成AIに関する講座の受講などを通じて、年間一人あたり26時間以上の業務効率化を実現しています。現在も40パーセント以上の社員が継続的に学習を続け、社員アンケートには自分の業務が効率化したという声が上がっています。全部署へのヒアリングではDXに関して取り組みたい施策が60案以上集まり、今後はAIシステム開発など、売上に貢献する攻めの活用へ広げていく方針です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、メールの文案作成や画像からのテキスト化のように、生成AIの効き目が短時間で確かめられる作業が全社に薄く広く散らばっている組織です。職層や等級の区分がはっきりしている会社ほど、到達点を職層別に書き分ける進め方は機能しやすくなります。同社の執行役員が語るように、中堅規模だからこそ動きやすく、成果も見えやすいという面もあります。
一方で、全社員分のライセンスを先にそろえる形は、利用が一部の部署にとどまれば費用だけが残る構図です。学んだ内容を持ち寄る場や、有効だったプロンプトを整理して配り直す担い手が置かれていなければ、受講は個人の自己啓発で止まってしまいます。まず試すなら、同じ職層の数人に声をかけ、直近1か月で生成AIに任せられた作業を一つずつ持ち寄る短い会を一度開いてみるところから。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ベネッセコーポレーション
一生涯の学びを通して社会と人々の人生が豊かになるよう、社会人の学びを支援している。米国Udemy社とは日本における独占的業務提携を行っている。
伯東株式会社
出典・参考情報
発行元:ベネッセコーポレーション(Udemy Business 日本公式サイト)
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