実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.13
SOMPOの介護ノウハウをRAGで再現、排泄ケアを助言する生成AIをトライアル提供
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの勘に頼った判断が続いている
- 記録や書類の入力に時間を取られている
- AIの回答が正しいか不安で使えない
どのようなAIの取り組み?
ベテラン職員の判断の道筋をRAGで再現し、介護現場の排泄ケアの相談に答える生成AIの機能構築を支援した事例
業種
介護サービス(介護・福祉)
取り組み領域
介護現場の排泄ケア支援/介護記録の入力
使ったAI
介護特化型の生成AI(RAGを用いたLLM)
主な成果
無償トライアル版の提供を開始し、介護事業者と価値を検証中
SOMPOホールディングスが実証実験を行い、SOMPOグループとして提供を始めたのが、介護特化型生成AI「教えて!排泄ケア」です。介護向け生成AIソリューション群「教えて!KAiGO」の第一弾にあたり、職員の負担が大きい排泄ケアに絞って現場の相談に答えます。SOMPOケアが蓄えてきたマニュアルや介護事例、文献に加え、現場調査とインタビューで拾い上げた言語化しにくい経験知まで反映させた点が特徴です。ABEJAは自社基盤であるABEJA PlatformのLLM関連のノウハウを持ち込み、RAGで回答の根拠を内部ナレッジに限る仕組みと、お薬手帳やフェイスシートから重要情報を取り出す仕組みの構築を技術面から支えました。2025年12月17日からはトライアル版が無償で公開されています。
出典:ABEJA、SOMPOグループが提供する新たな介護特化型生成AIソリューションの機能構築を支援 | 株式会社ABEJAのプレスリリース 発行元:株式会社ABEJA
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
介護人材の不足が深刻化するなかで、限られた人員のまま幅広いケアに向き合わざるを得ない状況が続いています。そこでSOMPOグループが着目したのが、多くの職員が特に負荷が高いと感じている排泄ケアでした。体調の変化にどう対応するかという判断には、服薬情報や既往歴、日常生活動作の能力、排泄に関する情報といった断片的な材料を突き合わせる必要があり、そのうえで記録業務の入力そのものにも手間がかかります。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は作業量の多さというより、判断の質が誰が担当するかで揺れてしまう点にあったのではないでしょうか。経験のある職員なら見落とさない要因も、経験が浅い職員には視野に入らない。数を減らす発想ではなく、判断の材料と考え方をそろえる方向に手を打った点に、この取り組みの起点が表れています。
どうやって、うまくいったのか
教材の範囲をマニュアルや文献にとどめず、現場調査とインタビューで暗黙知まで拾い上げた設計が、このサービスの性格を決めています。排泄ケアの判断は書かれた手順だけでは埋まらない部分が大きく、経験のある職員は本人の様子や前後の情報から見当をつけていきます。その見当の付け方まで言語化して取り込んだからこそ、原因を一つに決め打ちせず、背景にある複数の要因を「影響分析&アドバイス」として並べ、対策を複数示す出力の形が成立したと考えられます。
回答の参照先を内部のナレッジデータに限定するRAG(社内の文書を検索してAIの回答の根拠に使う仕組み)の使い方も、この領域では単なる技術選択以上の意味を持ちます。介護の相談は利用者の体調に直結するため、もっともらしいだけで根拠のない回答が一度でも混じれば、現場での利用は続かなくなるはずです。参照範囲を絞ることは回答の自由度を下げる判断でもありますが、使い勝手より先に信頼性を確保する側に振った設計と読めます。
書類の読み取りで最終判断を人に残したHuman in the Loop(AIの処理の要所に人の確認を組み込む方式)の業務プロセスも、同じ考え方の延長にあります。薬剤名や既往歴は記載ミスが許されない情報であり、フォーマットも専門用語もばらつきます。全自動にせず、AIが下ごしらえをして人が確かめる形に工程を分けたことで、精度を落とさずに入力の手間だけを削る道が開けたのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは、完了した数値成果ではなく、サービスが世に出た段階までです。2025年12月17日からトライアル版が無償で公開され、価値を一緒に検証する介護事業者の募集が始まりました。目指しているのは、記録業務における情報入力の負担軽減と、蓄積したデータを幅広く使える状態にすること、そして施設全体のケアレベルの底上げです。効果の検証はこれから、というのが正確な現在地になります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判断の手がかりが社内の文書としてある程度残っていて、なおかつ相談の範囲を一つの業務に絞り込める場合です。参照先を限定するRAGの構成は、規程やマニュアル、過去事例がそろっている領域ほど噛み合います。一方で、この事例で効きどころになっているのは、既存資料に加えて現場での聞き取りから経験知を文書の形にした工程です。そこを省いて手元の資料だけをAIに読ませると、手順書の検索にとどまり、迷ったときの相談相手にはなりにくいでしょう。誤りが人の安全に関わる業務であれば、読み取りや判断のどこを人が引き受けるかを先に決めておく必要もあります。
小さな一歩としては、社内で相談が集中している業務を一つ選び、ベテランがその相談に答えるとき何を確認して結論に至っているのかを、実際のやり取りの場で聞き取って書き留めてみる。AIに読ませる材料は、たいていそこから生まれます。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ABEJA
「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、ミッションクリティカル業務へのAI導入支援のため、基盤システムとなるABEJA Platformの開発・導入・運用を行う「デジタルプラットフォーム事業」を展開。2012年の創業時よりディープラーニング、2018年からLLM、2019年から量子コンピューティングなどの研究開発を行い、その成果をABEJA Platformに搭載している。代表取締役CEOは岡田陽介、東証グロース上場。
SOMPOホールディングス株式会社
出典・参考情報
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