実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.15
沖縄県庁の生成AI活用、93%が「業務に活かせる」と回答した職員研修
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ツールを入れても社内で使われない
- 自分の仕事のどこにAIを使えるか分からない
- 機密情報を扱うのでAIを使いにくい
どのようなAIの取り組み?
行政専用ネットワークに対応した生成AIサービスの導入と、職員向けの実践型ワークショップ研修を組み合わせ、庁内での生成AI活用を定着させようとしたAI取り組み
業種
県庁(公共・行政)
取り組み領域
庁内の全般業務/職員向け研修
使ったAI
exaBase 生成AI for 自治体(生成AIサービス)
主な成果
研修参加者の93%が「業務に活かせる」と回答
沖縄県庁が、自治体向けの生成AIサービス「exaBase 生成AI for 自治体」を庁内業務に取り入れました。提供したのは株式会社エクサウィザーズで、行政専用の閉じたネットワークであるLGWANに対応し、機密情報のブロックやログの蓄積といった管理機能を備える点が採用の理由となっています。ただしサービスを配るだけでは職員が使いこなせないという前提に立ち、導入直後に職員向けの生成AIワークショップ研修が2日間にわたって開かれました。講義と2つのワークショップで構成された90分のプログラムでは、自分の業務からAIに任せられる作業を洗い出し、指示文の書き方を実際に試す時間が設けられています。研修後のアンケートでは、満足度と業務への活用可能性のいずれについても93%が肯定的に回答しました。
出典:沖縄県庁が「exaBase 生成AI for 自治体」を導入 〜職員向け実践ワークショップを開催し、生成AIの“自分ごと”化と業務変革を支援〜 - 株式会社エクサウィザーズ 発行元:株式会社エクサウィザーズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
地方自治体では業務効率化とDX(デジタル化による業務や組織の変革)の推進が急務となっており、沖縄県庁も職員の業務負担を軽くし、県民サービスを高める手立てとして生成AIの活用を検討してきました。選定の焦点になったのはセキュリティと利便性の両立で、行政専用ネットワークに対応した環境であることが導入の決め手となっています。一方で、生成AIはツールを導入するだけでは現場への定着が難しく、具体的な活用イメージを持ちにくいという課題も併せて認識されていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは「安全に使える環境がない」ことよりも、「目の前の業務のどこを任せられるのかが職員自身に見えていない」ことだったのではないでしょうか。環境の不足は契約すれば埋まりますが、業務と生成AIの接点を探す作業は、職員一人ひとりの担当業務に踏み込まないと前に進みません。
どうやって、うまくいったのか
ツールの提供と使い方の習得を同じタイミングに寄せた設計が、この取り組みの起点になっています。研修は導入直後に置かれ、そのゴールは機能を覚えることではなく、自らの業務で生成AIを組み込める領域を選定できること、そして質の高い出力を引き出す指示文(プロンプト)を自分で書けることの2点に定められました。ゴールを職員側の行動で定義した点が、研修が単なるツール説明会に流れることを防いだと考えられます。
研修の中身を「業務の洗い出し」と「指示文の実践」の二段構えにした構成も、実務への着地を支えています。前半では日々の業務と課題を書き出してタスクを構造的に分解し、面倒な作業をAIに任せられないかという視点で棚卸しを行い、講座報告書の一次チェック、マンネリ化した広報案のアイデア出し、音声データからの入力項目抽出といった案が挙がりました。後半は、条件を細かく指定する、AIに役割を与えるといった指示文のコツを手を動かして確かめる時間です。自分で見つけた作業に自分で書いた指示文をぶつける流れになるため、持ち帰る対象が抽象的な知識ではなく具体的な作業になります。
最初のつまずきを環境側で減らしておく設計も見逃せません。サービスにはAIの専門家が作成した指示文のテンプレートが標準で組み込まれ、禁止ワードの登録や機密情報のブロック、ログの蓄積とレポート化といった機能が、職員が判断に迷いやすい情報の取り扱いを仕組みとして受け止めます。講義の冒頭で、先行して導入を進めた埼玉県庁や兵庫県庁の実例を示す進め方も、活用イメージが湧かないという壁に正面から働いたはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
研修後のアンケートでは、全体の満足度について93%が「満足」「大変満足」と答え、業務への活用可能性についても93%が「活かせる」と回答しています。参加者からは、AIに役割を与えるだけで回答が専門的になった、意のままに動かす手応えを掴めた、といった感想が挙がりました。この数字が示しているのは業務量そのものの変化ではなく、職員が自分の担当業務との接点を見つけられた度合いであり、定着の入口を通過したことを表す指標と受け取るのが妥当でしょう。
うちでも使える?
応用しやすいのは、扱う情報に持ち出しの制限があり、なおかつ文書の下書きや報告書の一次チェックのような定型的な作業が部署をまたいで積み上がっている組織です。閉じたネットワークの中で使える環境を先に用意し、そのうえで各自が自分の担当業務から任せられる作業を選ぶ場を設ける、という順番はそのまま真似できます。
一方、判断そのものが業務の中心にあり、参照すべき過去の資料が個人のメモや個々のパソコンに散っている場合は、同じ進め方をしても手応えは得にくくなります。研修で活用領域を挙げられても、庁内規定や過去資料のようにAIへ渡せる材料が整っていなければ、出力の質は上がらないからです。研修直後の意欲は時間とともに下がるため、満足度の高さをそのまま定着の証と見るのも早すぎます。まずは手元の定型文書をひとつ選び、役割と条件を指定した指示文で下書きを作らせ、人が直した箇所を書き留めてみてはいかがでしょうか。次に何を仕組みへ落とすべきかが、そこから見えてきます。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社エクサウィザーズ
AIを利活用したサービス開発による産業革新と社会課題の解決を事業内容とする企業(証券コード4259)。自治体向け生成AIサービス「exaBase 生成AI for 自治体」などを提供。
沖縄県庁
出典・参考情報
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