実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.15
山形市の健康ポイント事業が9年で健康寿命0.86年延伸、AI採点機能も追加
プロジェクト期間:3年以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 一律の案内では関心の薄い人に届かない
- 集めた健康データを活かしきれていない
- 参加者数が途中で頭打ちになる
どのようなAIの取り組み?
健診データと歩数から1年後の検査値悪化リスクをAIが毎週推定する機能を、市民向けの健康ポイント事業に組み込んだ自治体の取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
市民の健康づくり/健康ポイント事業
使ったAI
AI健康アドバイス(健診・歩数データを分析するAI)
主な成果
9年間で健康寿命が男性0.86年、女性0.61年延伸
山形市は2019年9月、市民が歩数やイベント参加、健診の受診でポイントをためられる「山形市健康ポイント事業SUKSK(スクスク)」を開始し、その基盤にNTTドコモビジネスの「健康マイレージ」を採用しました。低山の頂上や民間イベントの会場にQRコードを置いて対象を広げたり、テーマを設定したウォーキングマップを住民団体と一緒に作ったりと、歩く機会そのものを増やす運用が重ねられています。2025年2月には、AIを使う新機能「AI健康アドバイス」が加わりました。健康診断のデータとスマートフォンにたまる歩数やBMIから、いまの生活習慣が続いた場合の1年後の検査値悪化リスクを毎週推定し、採点結果を届ける機能です。事業全体では、9年間で健康寿命の延伸が確認されています。
出典:山形県山形市 | NTTドコモビジネスソリューションズ 導入事例 発行元:NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
山形市が出発点に置いたのは、市民の健康を損なう原因の約8割が認知症、運動器疾患、脳血管疾患に集中しているという分析でした。ここから食事・運動・休養・社会参加・禁煙をまとめた「SUKSK(スクスク)生活」が組み立てられ、歩数やイベント参加でポイントがたまる事業へとつながっています。ただしポイント制は、集団に一律に働きかけるポピュレーションアプローチと呼ばれる考え方に沿ったもので、健康に不安を抱える一人ひとりの事情までは踏み込めません。編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は参加者の数ではなく、日々たまっていく歩数や健診の数値が本人に返らないまま蓄積されていた点にあります。頑張った量は見えても、自分の体がこの先どこへ向かうのかは見えない。その距離を埋める手立てが足りなかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
ポイントを得られる場所を市の事業だけに閉じず、民間からの申請を審査したうえで対象事業として認定し、QRコードを発行する運用が、この取り組みの土台になっています。低山ハイキングで親しまれる千歳山や盃山の頂上にコードが置かれ、市主催の健康講座や祭り、さらにはコンサートのような民間の催しまでが同じ仕組みに乗ります。コードを置くだけで対象を増やせるため、拡張の手間が小さいまま参加の入口だけが広がる。イベントを開く側から見れば集客の道具にもなるので、市が企画を用意し続けなくても事業が育つ構造です。
ウォーキングマップの作り方にも、機能をそのまま配るのとは違う判断が見えます。市が独自に用意するルートに加え、ボランティア団体である山形市健康づくり運動普及推進協議会と協力して作るマップがあり、さまざまな地域に住む参加者の土地勘が反映されるため、地元の人しか知らない景色や史跡が経路に組み込まれます。「山寺の歴史と街並みを訪ねる」のようにテーマを設定できる仕様と住民の知識を掛け合わせた設計は、歩く動機を歩数という数字の外側に置き直す働きをしていると考えられます。
2025年2月に加わったAI健康アドバイスは、集団への働きかけとは別系統の役割を持たせる形で組み込まれました。健康診断のデータとスマートフォンに蓄積される歩数やBMIを突き合わせ、いまの生活習慣が続いた場合に1年後の検査値がどう悪化しうるかを毎週推定する設計で、健康課題のある個人に個別に働きかけるハイリスクアプローチを、既存のポイント事業の内側に持ち込んでいます。実装はNTTドコモビジネスが担い、既存機能をそのまま流用せず、デザインや用語について100件を超える要望を受けて山形市向けに作り替えており、スマートフォンの限られた字数の中で「どう動けばよいのか」が伝わる表現に落とし込む作業が重ねられました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
健康ポイント事業を軸に介護予防なども含めた施策を市全体で進めた結果、2013年から2022年の9年間で健康寿命は男性0.86年、女性0.61年延びています。平均寿命の延び(男性0.78年、女性0.53年)を上回り、不健康な期間が縮みました。2025年5月時点の累計登録者は1万8,000人で、18歳以上を対象とする事業としての累計参加率は10%弱です。2023年には第12回健康寿命を伸ばそう!アワードで厚生労働大臣最優秀賞を受賞。AI健康アドバイスは2025年2月に始まったばかりで、周知の不足や登録手続きの分かりにくさが課題として残っています。
うちでも使える?
応用のしやすさを分けるのは、参加者から継続的にデータが集まる流れが先にあるかどうかです。山形市の場合、歩数と健診結果という更新され続ける2種類の数値が揃っていたからこそ、1年後のリスクを毎週推定するという使い方が成り立ちました。年に一度しか数値が動かない領域や、個人に紐づけて記録を追えない業務では、同じ形の助言は組み立てにくくなります。さらにこの機能はマイナンバーカードとの連携を伴う登録の上に成り立っており、その分かりにくさが利用を広げる際の壁として挙げられています。個人データを扱う以上、使い始めるまでの手続きが重くなる点は織り込んでおきたいところです。
一方で、集団に向けた一律の施策と、個別に踏み込む助言を別々の機能として重ねるという考え方は、健康分野の外にも持ち出せます。手元にある顧客や従業員の記録のうち、集めているのに本人へ返せていない数値はどれか。まずはその一つを選び、どんな間隔で何を伝えれば相手が動くのかを、AIを使う前に紙の上で決めてみる。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:機械・設備・位置
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
全国のお客さまへ営業活動を行うNTTドコモビジネス株式会社のグループ会社。2025年7月の社名変更により、ドコモビジネスソリューションズからNTTドコモビジネスソリューションズへ商号変更した。自治体向けの健康ポイントサービス「健康マイレージ」を提供し、2025年3月時点で導入自治体数は累計151自治体、累計利用者数は75万人以上。
山形県山形市
出典・参考情報
山形県山形市 | NTTドコモビジネスソリューションズ 導入事例
発行元:NTTドコモビジネスソリューションズ株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
