実施 2026.06 ・ 更新 2026.08.15
AIが買い物を代行する時代のWebアクセシビリティ、CTCら3社連携の論点
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 自社サイトが誰にとって使いにくいか分からない
- 改善の費用対効果を説明できない
- サイト改修が一度きりで続かない
どのようなAIの取り組み?
障害当事者の声とデータを持つミライロ、デジタル実装を担うアリスマジック、システム基盤の構築を担うCTCの3社が、AIが人に代わってサイトを操作する時代を見据え、Webアクセシビリティの社会実装に向けた連携方針を共有した取り組み
業種
システムインテグレーション(IT・通信)
取り組み領域
Webサイト・アプリのアクセシビリティ対応
使ったAI
AIエージェント(作業を代行するAI)を見据えたWeb設計
主な成果
3社連携でWebアクセシビリティ支援を進める方針を共有(実践はこれから)
2024年4月の改正障害者差別解消法の施行により、民間事業者にも障害のある人への合理的配慮の提供が義務づけられ、障害者の法定雇用率も段階的に引き上げられています。この転換期に、障害当事者の声とデータを集めるミライロ、企業のデジタル戦略を提案から実装まで担うアリスマジック、システム構築とDX推進を手がける伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の3社が、Webアクセシビリティをどう事業に組み込むかを議論しました。話題の中心にあるのは、重要性が理解されながら施策が続かない理由と、その打開策です。AIが利用者に代わって買い物を進めるようになるという見通しのもとで、機械にも正しく処理される設計かどうかが企業の実利に関わるという論点も示され、3社は診断・実装・基盤構築というそれぞれの強みを組み合わせ、情報格差の解消に向けて連携を進める方針を共有しています。
出典:株式会社ミライロ 様 株式会社アリスマジック 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ 発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
支援する側に「Webアクセシビリティ対応をしたい」という相談が届いても、「何をどこまでやればよいのか」には明確に答えられない場面があります。障害の種類は多様で優先順位の根拠を持ちにくく、経営層に予算を求めるためのビジネスケースが描けない。診断で課題を可視化できたとしても、運用が部門ごとに分かれていたり、一部の修正がサイト全体に影響したりするため、改善と維持そのものが難しくなります。加えて、コントラストが低いと見えにくいと頭で理解していても、自分がそう見えた経験がなければ優先順位は下がっていく。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は知識や技術の不足ではなく、アクセシビリティが社内の誰の損益とも結びついていなかった点にあるのではないでしょうか。訴訟を避けるため、あるいは周囲がやっているからという動機で始まった施策は、担当者が代わればそこで止まります。数の多寡ではなく、投資判断の土俵に載せられる言葉を誰も持っていなかったことが、停滞の輪郭をつくっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
アクセシビリティを人への配慮としてだけでなく、機械が正しく読み取れるかどうかの設計品質として捉え直す視点は、この議論でもっとも実務的な転換点です。AIが利用者に代わってECサイトでの買い物を進めるようになれば、情報が整理されていないサイトはAI側でも正しく処理されない可能性がある、という指摘がその根拠として置かれています。ここで効いているのは、対応の理由を「善意」から「取りこぼしを防ぐための実利」へ置き換えた組み立て方であり、これなら予算を握る側にも通じる言葉になります。
継続する仕組みを、障害のある人と事業者の双方に価値が残る形から逆算して設計する考え方も注目に値します。障害者手帳をデジタル化したミライロIDは、当初は一地方のベンチャーの取り組みとして広がりにくかったものの、利用する人にとっての便利さと、受け入れる事業者側にとっての価値を同時に満たす設計であったことが普及の条件として語られています。片側の負担だけが増える構造では続かないという前提を先に置き、そこから機能を決めていく順序が、この設計思想の核心だと考えられます。
診断・実装・基盤構築を別々の主体が担う座組は、現場の実情に対する現実的な答えでもあります。付け焼き刃の改修はかえって運用コストを押し上げるリスクがあり、CMS、デザイン、コーディング、運用を横断する対応力が求められる領域では、一社が全工程を抱えるほど改善が滞りやすい。当事者の声を1人の意見ではなく規模のあるデータとして束ねる役割、それをWebの実装に落とす役割、大規模なシステム基盤として支える役割を分けたことで、提案の根拠から実装、運用までが一本の線でつながる形になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で示されているのは、連携を支える下地です。ミライロIDは4,200を超える事業者に導入され、約60万人の障害者ユーザー基盤と当事者の生の声が集まっています。CTCとはミライロIDに統合されたバリアフリー地図アプリ「Bmaps」で既に連携実績があり、3社はその延長線上でWebアクセシビリティを事業の核に据える方針を共有した段階です。この取り組み自体の数値成果はこれからで、業界の基準となる先進事例を実際につくり出せるかどうかが次の焦点になります。
うちでも使える?
この考え方が効きやすいのは、申込みや購入のように、人だけでなく機械にも読み取られる導線を抱えているサイトを運用している企業です。取りこぼしを防ぐという説明は投資判断の材料にしやすく、社内で優先順位をつける根拠にもなります。逆に、サイトの運用が部門ごとに分断され、CMSやデザインの管理主体が揃っていない状態では、診断結果を受け取っても直せる担当者が見つからないという事態に陥りがちです。この場合、改修そのものより先に、どの画面を誰が直せるのかという担当の線引きを決めておかないと、修正が別のページの不具合を呼び込みます。
まず試すなら、自社サイトの申込みフォームを、画面を見ずに音声読み上げソフトだけで最後まで進められるかを担当者自身で確かめてみてはいかがでしょうか。途中で止まった箇所が、そのまま最初に手を付けるべき場所になります。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:情シス・社内DX
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
インフラ構築やDX推進を手がけるシステムインテグレータ。機能性・利便性・堅牢性を強みに顧客企業のシステム構築を支援している。
株式会社ミライロ、株式会社アリスマジック
出典・参考情報
株式会社ミライロ 様 株式会社アリスマジック 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ
発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
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