実施 2024.06 ・ 更新 2026.08.15
社内問い合わせが3分の1に、クラウドストレージのAI機能で作った総務の相談窓口
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 総務への同じ質問に何度も答えている
- 社内規定がどこにあるか社員が分からない
- 外出先や客先から社内に確認できない
どのようなAIの取り組み?
クラウドストレージに備わる生成AI機能を使い、社内からの問い合わせに自動で回答する仕組みを全社に広げたAI取り組み
業種
システムインテグレーション(IT・通信)
取り組み領域
総務/社内問い合わせ対応
使ったAI
Box AI・Box Hubs(生成AI)
主な成果
総務課への問い合わせが約3分の1に減少
システム開発を手がける株式会社エスシーシーは、2023年4月に中期DX戦略を定め、社内からの問い合わせに生成AIが答える仕組み「SCCコンシェルジュ」の構築に着手しました。開発が始まったのは2024年6月で、開発を担うテクノロジーセンターと、回答のもとになる文書を用意する総務課からメンバーを集め、検証環境での小さな試行として進められています。2024年10月には、それまで検証に使っていた生成AIサービスを、クラウドストレージBoxに搭載された生成AI機能「Box AI」へ切り替え、保存された文書から必要な情報を自動で抽出して一覧表示する「Box Hubs」を回答生成に組み合わせました。利用画面には社員が日常的に使うビジネスチャットツールを採用し、2025年4月に管理本部で先行リリース、9月から全社員が使える状態になっています。導入にあたってはSCSKが支援に入っています。
出典:株式会社エスシーシー 様|お客様事例|SCSK株式会社 発行元:SCSK株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
当初想定されていたのは情報システム部門への問い合わせをAIに任せる形でしたが、管理本部や経営戦略室との相談を経て、全社的に需要の多い総務系の問い合わせから始め、徐々に適用範囲を広げる進め方に変わりました。その手前には、業務に関する質問をいつでもどこでも投げられる環境がなく、担当者が個別に答え続けていた状況があります。
編集部の見立てでは、困りごとの中心は問い合わせの数そのものではなく、規約や通達といった文書が発信元や種類ごとに異なる書き方のまま置かれ、社員が自分で読んで判断しにくかった点にあったのではないでしょうか。総務課で回答づくりが属人化していたことも、同じ構造から出てきた症状と読めます。加えて、当時のファイルサーバーはアクセス制御に手間がかかり、文書を扱う土台自体が重いままでした。
どうやって、うまくいったのか
適用範囲を総務系の問い合わせに絞り込み、検証環境のスモールスタートから始めた進め方が、この取り組みの土台になっています。開発を担うテクノロジーセンターと、回答の中身を持つ総務課の担当者を同じチームに置いた体制は、AIに何を読ませ、どう答えさせるかを決める作業を、開発側と業務側のあいだで往復させる形にしました。規約や通達は発信元や種類、内容に応じて表現を変える必要がありますが、その加工をAI側に任せられると分かったことで、担当者個人の書き方に依存していた回答づくりの負荷の置きどころが変わっています。
クラウドストレージへの移行と生成AIの活用を別々の案件にせず、一つの流れにまとめた判断も効いています。Boxを契約すれば標準機能のBox AIを追加料金なく、利用回数の制限もなく使えるため、予算に制約のある社内向けシステムでも、外部の生成AIサービスを別契約せずに組み立てられる構成が取れました。質問を単純な文字列に置き換えて検索し、取り出した文書から回答を組み立てる方式から、保存されたコンテンツより必要な情報を自動抽出して簡易ポータルに一覧化するBox Hubsを介する方式へ切り替えた点が、回答の確からしさを左右する分かれ目だったと考えられます。
入り口を新しく作らず、社員が普段使っているビジネスチャットツールに寄せた設計も見逃せません。Box APIによる連携で、Box Hubs自体がスマートフォンに対応していないという制約を迂回し、客先常駐者を含めて手元の端末から質問を投げられる形になりました。使う側に新しい画面と操作を覚えさせない選択は、社内システムが使われないまま終わるという典型的なつまずきを避ける、現実的な打ち手です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
全社員が時間や場所を問わず業務上の質問を行える状態になり、総務課への問い合わせは導入前のおよそ3分の1に減っています。ただし全社での運用開始から日が浅く、導入効果そのものは今後の検証を待つ段階にあります。利用内容を見ると、これまで総務課に寄せられていなかった些細な疑問や個人的な質問が目立ち、AI相手だからこそ表に出た潜在的な声を拾えている面もあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、規約・通達・手順書といった文書はすでに社内にあるのに、社員が自力で探して読み解けていない組織です。クラウドストレージの移行を検討している段階なら、標準搭載のAI機能を回答生成に使う構成は、生成AIの利用料を別枠で見込まずに試せる選択肢になります。
一方で、この形が効くのは「文書に書いてある答えを、聞き手に合わせて言い直す」種類の問い合わせに限られます。個人の事情ごとに判断が分かれる人事的な相談や、そもそも文書になっていない運用上の慣習は、回答のもとになる情報が存在しないため同じようには扱えません。回答文書を用意する部門を開発に巻き込めるかどうかも、実現できるかの分かれ目になります。
まずは自社の規約を1本開き、担当者の口頭の補足なしで社員が読んで判断できる書き方になっているかを確かめるところから。
この事例は2024年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社エスシーシー
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