実施 2026.05 ・ 更新 2026.08.15
トランクルーム賃料をAIが自動算出、全国3,000物件で進む需要連動の価格設定
企業規模:100人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 値付けが担当者の勘頼み
- 拠点が増え価格見直しが追いつかない
- 繁忙期と閑散期の差が読めない
どのようなAIの取り組み?
需要などの市場環境に応じて賃料を自動で算出するAIシステムを構築し、全国3,000物件規模のトランクルーム運営に価格判断の基準を持ち込んだAI取り組み
業種
トランクルーム運営(不動産)
取り組み領域
賃料設定・価格改定
使ったAI
適正価格を自動算出するAIシステム(需要連動の価格変動)
主な成果
事業の収益性と安定性が向上
エリアリンクが運営するレンタルトランクルーム「ハローストレージ」では、需要をはじめとする市場環境に応じて「適正価格」を自動で算出するAIシステムが動いています。同社はこれをトランクルーム業界では初(自社調べ)となるダイナミックプライシング、つまり状況に合わせて価格を変動させるやり方の採用と位置づけています。対象となる物件は、屋内一棟型、屋内ビルイン型、屋外コンテナ型、バイク専用と形態が幅広く、2026年4月には習志野屋敷と嵐山菅谷の開業によって全国3,000物件を突破、同月時点で3,011物件・131,936室という規模に達しました。会社側は、この価格の仕組みによって事業の収益性と安定性が向上したと説明しています。
出典:日本最大級のトランクルーム「ハローストレージ」 習志野屋敷、嵐山菅谷の出店により全国3,000物件を突破! | エリアリンク株式会社のプレスリリース 発行元:エリアリンク株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
今回のリリースには、導入前に何が滞っていたかという説明は置かれていません。ただ、示されている事実の並びからは、値付けが難しくなる構造が読み取れます。全国47都道府県に広がる3,011物件・131,936室という数に加え、屋内一棟型から屋外コンテナ型、バイク専用まで商品の形態が異なり、さらに5月・6月にかけて片づけや趣味の荷物の収納で需要が高まるという季節の波もあります。
編集部の見立てでは、この事業で本質的に厄介なのは物件数の多さそのものではなく、適正な賃料が立地・商品タイプ・時期の組み合わせごとに別々に存在してしまうことではないでしょうか。組み合わせが増えるほど、一つひとつを人が検討して決めるやり方は精度と速度の両方で限界に近づきます。価格を人の判断から仕組みへ移した背景には、そうした事情があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
価格を決める行為そのものを、個別の検討ではなく自動算出の仕組みに置き換えた設計が、この取り組みの中核にあります。需要などの市場環境を手がかりに適正価格を導き出す形にすれば、値付けの根拠が担当者ごとの経験から切り離され、物件が増えても同じものさしで判断できます。規模の拡大と価格の最適化は本来ぶつかりやすい要求ですが、判断の自動化はその衝突を避けるための現実的な選択だったと見ています。
データ分析を自社の強みとして掲げ、その延長にAIを据えた組み立ても効いていると考えられます。外部の仕組みをそのまま当てはめるのではなく、自社が積み上げてきた分析の土台の上にシステムを構築したことで、収納スペースという商材固有の需要の癖を価格に織り込む余地が生まれたはずです。
新規出店から集客、解約までを一括で請け負うパートナー制度も、価格の仕組みと無関係ではありません。契約から清掃、トラブルの一次対応までを自社側で担う運営形態は、価格を動かした結果がそのまま自社の運営情報として戻ってくることを意味します。判断材料が事業者の手元に集まり続ける体制は、価格を継続的に見直すうえでの土台になります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
需要等の市場環境に応じて適正価格を自動算出する仕組みにより、事業の収益性と安定性の向上が実現したと説明されています。具体的な削減率や増加額といった数値は公表されていません。出店は続いており、2026年4月時点で3,011物件・131,936室、2029年末までに総室数20万室の展開を目指すという方針も示されています。価格の自動算出は、この拡大方針を支える運営基盤の一部として位置づけられていると読み取れます。
うちでも使える?
この考え方が移しやすいのは、同じような商品を数多く抱え、価格を比較的自由に動かせる事業です。駐車場、貸会議室、レンタル機材のように、在庫の数が多く、稼働しているかどうかが日々変わり、季節や立地で需要が振れる商売であれば、値付けの判断を仕組みに寄せる意味は大きくなります。
一方で、長期契約や取引先との関係で価格が事実上固定されている事業、値上げが顧客への説明を強く求められる事業では、そのまま持ち込むのは難しいはずです。物件や商品の数が少なく、担当者が全体を把握できている段階なら、自動化の効果より運用の手間が上回ることもあります。
手をつけるなら、まずは自社の主力商品について、今の価格が何を根拠に決まっているのかを一行で書けるかどうか試してみてください。相場なのか、原価なのか、稼働率なのか。その根拠がはっきり言葉にできるものであれば、数式や仕組みに落とせる可能性は十分にあります。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:外部・Web・SNSデータ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
エリアリンク株式会社
ストレージ事業、土地権利整備(底地)事業、オフィス事業、アセット事業を展開する東証スタンダード市場上場企業。日本最大級のレンタルトランクルーム「ハローストレージ」を全国47都道府県で運営し、2026年4月時点で3,011物件・131,936室を展開。資本金6,111百万円(2025年12月31日現在)。
出典・参考情報
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