実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.15
鹿島建設が社内AIの内製化へ、マイクロソフトと2週間の共同開発で進め方を学ぶ
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 外注頼みで開発スピードが上がらない
- 作った人が抜けると運用が回らない
- 社内に開発ノウハウが残らない
どのようなAIの取り組み?
マイクロソフトのアーキテクトと2週間のアジャイル開発を共にし、運用中の社内向け対話型AIの機能追加を題材に内製開発の進め方を身につけたAI取り組み
業種
総合建設業(建設・土木)
取り組み領域
情報システム部門/社内AI開発の内製化
使ったAI
Azure OpenAI を基盤とする社内向け対話型AI
主な成果
社内AIの月1回リリースが安定、内製開発ガイドラインとマップを整備中
鹿島建設は、Azure OpenAI を基盤とする社内向け対話型AI「Kajima ChatAI」を自社で構築し、2023年6月から鹿島および国内グループ会社の従業員2万人を対象に運用しています。ただし開発を担ったのはITソリューション部の若手メンバーで、必要な情報を自分たちで調べながら進めたため、手順もノウハウも個人の中に留まっていました。そこで2024年12月、マイクロソフトのソリューションアーキテクトが伴走する Microsoft Unified の AI Apps CodeWith プログラムの採用を決め、2025年1月から準備、2025年2月に実施しています。テーマは「Kajima ChatAI の機能追加、内製開発のベースづくり」。Azure 上で2週間のアジャイル開発(短い反復で計画から検証までを繰り返す進め方)を回しながら、設計の詰め方、コードレビュー、標準化やドキュメント化の勘所を実践の中で学ぶという組み立てでした。
出典:AI 活用による生産性向上に取り組む鹿島。Microsoft Unified の CodeWith を活用し、内製化に必要な開発プロセスの知識を習得 | Microsoft Customer Stories 発行元:Microsoft(Microsoft Customer Stories)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
鹿島建設では、各事業部門のシステム開発をITベンダーに委託する体制が敷かれてきました。社内データを渡さずに要望だけを伝えて開発してもらうことは可能でも、その進め方では多くの時間を要し、ビジネスの変化やスピードに応えにくい。加えて、独自開発した Kajima ChatAI についても、開発したメンバーが別部門へ異動した場合に運用が困難になるという懸念が挙がり、手順やノウハウのドキュメント化が求められていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は技術力の不足ではありません。知識もスキルもほとんどない状態から社内AIを作り上げた実績がすでにある以上、足りなかったのは「作れること」ではなく、「作り方を組織として再現できること」だったのではないでしょうか。一度目が個人の試行錯誤で成立してしまったからこそ、二度目を誰が担っても同じように回せる形にしないと内製化は広がらない。求めていたのは、成果物そのものよりも、その裏側にある判断の手順の言語化だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
学びの題材に、演習用の課題ではなく、すでに2万人が使っている Kajima ChatAI の機能追加を据えた点が、この進め方の要だったと考えられます。テーマを「機能追加と内製開発のベースづくり」と定めたうえで、必要な環境や知識を事前に整理し、不足する部分については勉強会を開いてから本番に臨んでいます。実際に運用しているシステムを対象にしたことで、扱う論点が仮想の課題ではなく、自分たちが日々つまずいている具体の判断になった。学んだ内容がそのまま翌日の業務に接続する構造です。
手を動かすのは鹿島側のメンバー、マイクロソフト側は支援役として常にそばで待機する、という役割を固定した設計も効いています。毎朝チームで集まって前日の進捗を確認し、その日の優先タスクを決めてから各自の作業に入る。詰まったときはオンラインで画面を共有しながらペアプログラミングを行い、Azure DevOps 上で共有したソースコードにレビューを重ね、エラーの解決策を一緒に導き出したうえで、対処するのは部門のメンバー自身という順序が保たれました。答えを受け取るのではなく解決の過程を共有する形にしたからこそ、判断の基準が手元に残ったのだと読み解けます。
さらに、内製開発を部門をまたいで回す前提が最初から組み込まれていました。事業部門の担当者をオブザーバーとして加え、スプリントレビューでフィードバックを得る仕組みを置いたこと。通常業務と並行して参加するメンバーのために、1回目のレビュー終了時点で振り返りの時間を確保するよう進め方を調整したこと。この二つは、短期集中のプログラムを社内の日常に着地させるための現実的な工夫でした。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
プログラム終了後、得られた知見は Kajima ChatAI の改善に活かされています。スプリントを取り入れて開発メンバーの共通認識を形成したことで進捗の共有とフォローがしやすくなり、月1回のリリースも安定してきました。事業部門とは月次定例会を開き、改善要望を聞いたうえで開発した機能を検証してもらい、フィードバックを反映するサイクルが回っています。あわせて、セキュリティ面で守るべきルールを定めた内製開発ガイドラインと、つまずきや解決の道筋を時系列で可視化した新人向けの内製開発マップの作成が進行中です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、すでに動いているシステムと、改善したい具体的な要望が社内に溜まっている場合です。題材が実在すれば、短期間の集中開発でも議論が抽象論に流れにくく、学んだ判断がそのまま次の改修に使えます。逆に、実装を担う人員を社内に置いていない、あるいは対象となるデータやシステムを自社で保有していない場合は、同じ形をなぞっても持ち帰るものが少なくなります。通常業務を抱えたメンバーを2週間の並行稼働に出せるかどうかも、実施前に見極めておきたい条件です。
外部の専門家と組む場合も、成果物を納品してもらうのか、解決の過程を共有してもらうのかで得られるものは変わります。今日できることとして、直近の開発でつまずいた箇所と、それをどう解決したかを一件だけ書き留めてみる。その一件が読んで再現できる粒度になっているかどうかが、内製開発を組織に残せるかの手がかりになります。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
鹿島建設株式会社
出典・参考情報
発行元:Microsoft(Microsoft Customer Stories)
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