実施 2024.07 ・ 更新 2026.08.13
パナソニックが70か国のアプリレビューをAI翻訳、評価スコアが大きく向上
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 海外からの声を訳すのに手間取る
- レビューが多すぎて読み切れない
- 低評価の理由が分からず改善に迷う
どのようなAIの取り組み?
自動翻訳と自然言語解析で世界70か国以上のアプリレビューを集約・可視化し、評価スコアの向上につなげたAI取り組み
業種
総合電機メーカー(製造業)
取り組み領域
アプリのユーザーレビュー分析/デジタルマーケティング
使ったAI
自動翻訳API・自然言語解析API(Google Cloud)
主な成果
アプリストアのレビュースコアが大きく向上
パナソニックの空質空調社は、日本を除く世界70か国以上で提供している空調機器の操作アプリ「Panasonic Comfort Cloud」について、アプリストアに寄せられるユーザーレビューを集約・分析するダッシュボードを構築しました。基盤にはGoogle Cloudを採用し、多言語で投稿されたレビューをCloud Translation APIで翻訳したうえで、Natural Language APIによりキーワードやセンチメント(書き手の感情の傾向)を抽出しています。基幹システムのデータやWebサイトのトラフィック、アプリストアのダウンロード状況、レビュー点数もBigQueryに取り込み、Looker Studioの画面から一体的に確認できる形にまとめました。バックエンドの開発を担ったのは、企画段階からパナソニックと協働した株式会社イー・エージェンシーです。
出典:パナソニック株式会社 の導入事例 | Google Cloud 発行元:Google Cloud
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
レビューは改善のヒントが詰まった情報源であるにもかかわらず、Comfort Cloudではそれを活かしきれない状態が続いていました。70か国以上から多様な言語で届く投稿を日本語へ正確に訳すのは簡単な作業ではなく、件数の多さから運用コストも重くのしかかります。加えて、低い評価が付いた背景には言語の違いの奥にある文化的な要素があり、日本側の感覚では問題の本質を読み解きにくいという難しさも抱えていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は翻訳作業の負担そのものではなく、届いた声を国や地域という単位で並べて比べる土台がなかったことにあります。一件ずつ訳して読んでいる限り、低評価は「その人の不満」で終わってしまい、どの国で何が起きているのかという全体像には届きません。全体を俯瞰して初めて気づけることがある、という現場の実感は、その構造をよく言い当てています。
どうやって、うまくいったのか
翻訳と意味の抽出を別々の処理として組み立てた設計が、レビューを「読み物」から「集計できるデータ」へと変えています。Cloud Translation APIで多言語の投稿を日本語に揃え、そのうえでNatural Language APIがキーワードと書き手の感情の傾向を取り出す。この二段構えによって、担当者が一件ずつ目を通さなくても、どの機能にどんな評価が集まっているのかを件数として扱えるようになります。
レビューを単体で見せず、事業のデータと同じ画面に並べた構成も効いていると見ています。基幹システムのデータ、Webサイトのトラフィック、アプリストアのダウンロード状況、レビュー点数までをBigQueryに取り込み、Looker Studioから一気通貫で確認できる作りです。さらに居住国や利用言語で絞り込め、アプリのアップデートが評価に与えた影響まで追えるようにしたことで、「評価が下がった」で止まらず、どの国のどの機能に手を入れるべきかという判断まで一段進みます。見える化そのものを目的にせず、ユーザーがどの文脈で個々の機能を評価しているのかまで踏み込もうとした狙いが、フィルタや分析軸の作り込みに表れています。
作り込みを最小限に抑え、既製のサービスを組み合わせた進め方も見逃せません。Cloud Functionsがさまざまなライブラリを扱えるため、多くの処理はAPIを呼び出すだけで成立し、リソースの管理もクラウド側に委ねられます。翻訳や感情分析のモデルを自前で用意しないというこの割り切りが、実装期間2〜3か月という短さと運用の軽さを同時に成り立たせた要因ではないでしょうか。Googleアカウントがあれば海外のメンバーもすぐ画面を開ける構成も、各国と分析結果を共有しながら進める業務によく合っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
Google Playストアにおけるレビュースコアは、アプリのリリース当初から大きく向上しました。データ分析にかかっていた運用コストもかなり削減されています。クレームの多い機能を優先して改善したり、新機能を検討する際にレビューと突き合わせて要望に沿っているかを確かめたりする進め方が根づき、ダッシュボードは開発チームや企画チームとも共有されています。部門の垣根を越えたデータ共有や、社内でデータ分析への関心が高まるといった波及効果も生まれ、他の家電サービスや他事業への横展開、顧客ファネル(購入に至るまでの各段階)全体の可視化が次の狙いとして挙げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、顧客の声が文字で、しかも継続的に集まってくる業務です。アプリストアのレビューに限らず、通販サイトの商品評価、宿泊施設の口コミ、問い合わせフォームの自由記述なども、翻訳と感情分析のAPIをつなぐだけで、まず「量として数える」段階までは持っていけます。複数の言語圏に向けて展開している事業なら、この事例に近い形が組めるはずです。
一方、届く件数がもともと少ない場合や単一言語だけの場合は、集計しても傾向が浮かび上がらず、可視化にかける手間に見合いません。声を機能改善につなげるには、この事例のようにどの機能への評価かを紐づけられること、そして受け取った内容を直しにいく開発・企画側の動きがあることが前提になります。誰がいつ見るのかを決めないまま作れば、更新されない画面が一つ増えるだけ。手始めに、直近数か月ぶんのレビューを国別・言語別に並べ、翻訳にかけて不満の多い項目を数えてみる。それだけでも、自社のデータに傾向が現れるかどうかは見えてきます。
この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社イー・エージェンシー
1999 年設立。データ ドリブン マーケティング、マーケティング支援プロダクト、E コマース支援事業の 3 つの事業を核に、企業のデジタル マーケティング支援を展開する Google Cloud パートナー。Google Cloud と Google マーケティング プラットフォームを利用した企業のデータ活用支援事業を手掛ける。
パナソニック株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
