実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.13
るるぶ約150冊分を構造化、LINEで旅行相談に応える対話型AIチャット
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 自社の情報が多すぎて客に届かない
- 問い合わせに24時間答えられない
- 紙の資料やカタログを活かせていない
どのようなAIの取り組み?
旅行ガイドブック「るるぶ」の情報を構造化し、LINE上で旅行やおでかけの相談に応じる対話型AIチャットの提供を始めた取り組み
業種
旅行ガイドブック出版(メディア・広告・コンテンツ)
取り組み領域
消費者向け情報提供/LINE上のチャット相談
使ったAI
ABEJA LLM Series(大規模言語モデル)
主な成果
LINE公式アカウントで対話型AIチャットの提供を開始
旅行ガイドブックやWebメディアを手がけるJTBパブリッシングは、2025年2月、LINE公式アカウント上で動く対話型サービス「るるぶ+AIチャット」の提供を始めました。実装を支援したのはABEJAで、約150冊分の「るるぶ情報版[国内]」を構造化してデータベースを構築し、ABEJA Platformに搭載された大規模言語モデル群「ABEJA LLM Series」と組み合わせています。ユーザーは生成AIキャラクター「るるブルくん」と会話しながら、行き先が決まっていない段階の相談も24時間持ちかけられます。回答はるるぶ情報版や観光・イベントデータベース「るるぶDATA」を情報源とし、過去のやりとりや居住地・属性に応じて内容が変わる作りです。利用は無料。
出典:ABEJA、JTBパブリッシングが提供する対話型るるぶ「るるぶ+AIチャット」の実装を支援 | 株式会社ABEJAのプレスリリース 発行元:株式会社ABEJA
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
情報収集の手段が紙からネットへ、本からスマホへと移り、ネット上には旅行やおでかけの情報があふれています。ところが選択肢が増えたぶん、その日の気分や状況に合う一件を探し当てるまでに時間と労力がかかる。JTBパブリッシングはこの負担を顧客体験価値の課題と捉え、早い段階から生成AIを含む最先端技術によるデジタルCXの実装に取り組んでいました。
編集部の見立てでは、困りごとの核心は情報の量そのものではなく、相談の出発点が定まらないことにあったのではないでしょうか。ガイドブックは行き先が決まった後の詳しい計画づくりには強い一方、「どこに行こうかな」と迷っている段階の相手にはなりにくい。検索も問いが固まっていなければ機能しません。旅の入口にあたる、まだ言葉になっていない迷いの時間が、そのまま支援の空白になっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
約150冊分のガイドブックを構造化し、データベースとして組み直す工程に手間をかけた設計が、この実装の土台になっています。生成AIに自由に語らせるのではなく、編集を経た自社コンテンツと観光・イベントデータベースを回答の拠りどころに据える組み立て方です。書籍として編集されてきた情報には、エリアごとに何を選ぶかという判断がすでに織り込まれており、それを機械が扱える形へ整え直したことで、対話の中でも取り出せる資産に変わったと考えられます。
もう一つの柱は、人とAIが協調する「Human in the Loop」(人が運用に関与しながらAIを仕上げていく考え方)を使い、キャラクターの話し方そのものを設計した点です。聞き直しへの応じ方、NGワードに触れたときの振る舞い、待たせすぎない返信の組み立てまで踏み込んでいます。この種の調整には唯一の正解がなく、実際のやりとりを見ながら人が判断を差し込むほかありません。モデルの性能ではなく会話の作法を作り込むという選択が、楽しさを保ったまま雑談混じりの相談を成立させる条件になったのではないでしょうか。
接点を新規アプリではなくLINE公式アカウントに置いた判断も見逃せません。友だち追加だけで使い始められる導線に、るるぶ+やるるぶ&more.、るるぶKidsといった既存メディアをつなぎ、居住地や属性に応じた配信も同じ窓口から流しています。相談の入口と、その後の読みものや計画づくりを一つの場所にまとめる狙いが読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公開時点で示されているのは数値の成果ではなく、サービスが実際に動き出したという事実です。LINE公式アカウント上で無料で使える形になり、旅先での詳しい計画づくりに加えて、行き先が決まっていない段階の相談にも応じられるようになりました。今後はライフスタイル関連コンテンツや海外旅行情報の拡充、宿泊予約機能との連携が予定されており、旅行やおでかけに限らず日常的に使われるプラットフォームへ育てることが視野に置かれています。
うちでも使える?
応用が利きそうなのは、自社に編集や検証を経た情報の蓄積がある場合です。この事例で効いているのは最新モデルそのものより、約150冊分の書籍情報を機械が扱える形へ整え直した準備の部分。カタログ、施工事例、商品知識といった資産が社内に眠っているなら、同じ発想は業種を問わず持ち込めます。相談の入口を、すでに使われているLINEのような場所に置く判断も、専用アプリを新設するより現実的な選択肢になりやすいでしょう。
反対に持ち込みにくいのは、答えが一つに定まる必要がある領域です。おでかけ先の提案は多少ぶれても会話として成立しますが、価格や在庫、契約条件のように誤りが許されない回答では同じ作り方は通用しません。会話の作法を人が調整し続ける体制を置けるかどうかも、試作で終わるか実運用に入れるかの分かれ目になります。
手始めに、自社の資料を1冊だけ選んでAIに読ませ、社員がふだん受ける質問をぶつけてみてはいかがでしょうか。その資料が「誰かが選び、整えた形跡のあるもの」かどうかが、そのまま手応えに表れます。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ABEJA
「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念に掲げ、「ABEJA Platform」を基盤に顧客企業の基幹業務プロセスを変革する「デジタルプラットフォーム事業」を展開。2012年の創業時よりABEJA Platformの研究開発を進め、多種多様な業界・業態の300社以上のデジタル変革をABEJA Platform上で実現。「Human In the Loop」をはじめとするノウハウで人とAIの協調を実現している。東証グロース上場。代表取締役CEOは岡田陽介。
株式会社JTBパブリッシング
出典・参考情報
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