実施 2025.11 ・ 更新 2026.08.15
日立、ウェアラブルカメラで危険箇所を音声通知する現場安全支援の運用開始
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランと新人で安全確認に差がある
- 危険箇所の注意喚起が貼り紙頼み
- 現場の作業状況が離れた場所から見えない
どのようなAIの取り組み?
ウェアラブルカメラとQRコードを組み合わせ、作業現場の危険箇所でスマートフォンから音声の注意喚起を流す安全支援の現場運用を始めたAI取り組み
業種
昇降機・建物設備の保守(建設・設備管理)
取り組み領域
現場作業の安全管理/設備保守
使ったAI
安全アラート機能(QRコード読み取り+音声通知、ウェアラブルカメラ)
主な成果
2025年11月下旬より現場運用を開始(数値成果は未公表)
日立製作所のコネクティブインダストリーズセクターと日立ビルシステムは、昇降機をはじめとする建物設備の保守にあたる現場技術者に向けて、作業時の危険を知らせるAI Safetyソリューションの開発を進めています。その第一弾となる安全アラート機能の開発が完了し、2025年11月下旬から現場での運用が始まります。仕組みそのものは簡素で、危険箇所に設置されたサイネージのQRコードを、技術者が身につけたウェアラブルカメラで読み取ると、業務用スマートフォンから音声で注意が流れます。従来から行われている指差し呼称を置き換えるのではなく、音声による再認識を重ねて安全意識を高める狙いです。あわせて、撮影映像に映り込んだ顔への自動マスク処理や保存期間の制限など、プライバシーの取り扱いも具体的に定められています。
出典:1114a.pdf 発行元:株式会社日立製作所/株式会社日立ビルシステム
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
背景にあるのは、建設業やビル管理業で進む人手不足と、それに伴う現場の顔ぶれの変化です。日立のビルシステム事業は約2万6千人のフロントラインワーカーを擁し、熟練者と経験の浅い技術者が混在する状況が増えています。作業時の危険認識は、これまで指差し呼称という技術者個人の所作に委ねられてきました。
編集部の見立てでは、困りごとの中心は危険を知らせる手段がなかったことではなく、危険の情報が現場の設備ではなく技術者個人の記憶と経験に紐づいていた点にあります。同じ建物、同じ機械室であっても、何度も足を運んだ技術者と初めて入る技術者とでは、目に入る危険の量が違う。人の入れ替わりが速くなるほど、この差は事故の確率として表面化していきます。
どうやって、うまくいったのか
危険箇所の情報を人ではなく場所の側に置いた設計が、この仕組みの核にあります。サイネージのQRコードという形で危険が現場に固定されていれば、そこに立ったのが誰であっても同じ注意が呼び出されます。経験の差を教育だけで埋めようとせず、情報の置き場所を変えることで差が効きにくい状態をつくったわけです。既存の指差し呼称を廃止せず、音声による再認識を上乗せする構成にした点も、現場の作法を壊さないための選択と読めます。
第一弾の機能を、読み取りと音声通知という一往復だけに絞り込んだ判断も効いています。ウェアラブルカメラを装着し、スマートフォンから音声が流れるという作業スタイルは、それ自体が現場にとって新しいもの。この段階で解析や判定まで盛り込めば、機器の扱いと業務の変化が同時に押し寄せ、慣れる前に敬遠されかねません。作業負荷を最小限に抑えて新しい所作への慣熟を優先しつつ、本体は機能拡充を見据えた拡張性のある設計にしておく、という二段構えが後から機能を足す余地を残しています。
ウェアラブルカメラを現場へ持ち込むうえで最大の障壁になるのは、建物を利用する一般の方や技術者自身が映ることへの抵抗です。撮影と同時に人物の顔へ自動でマスク処理を施し、映像は暗号化して業務用スマートフォンに保存し、取り出して閲覧できる範囲を管理部門または技術部門の管理者に限る。保存期間は最長一カ月、撮影範囲は対象設備とその周囲の必要な範囲まで、施設側から禁止された場所では撮影しない、技術者には目的を事前に説明する。こうした条件を運用開始と同じタイミングで明文化したことで、現場が判断に迷う場面が減っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
安全アラート機能は2025年11月下旬に現場での運用が始まる段階にあり、事故件数や作業時間に関する数値は公表されていません。現時点で示されているのは、ウェアラブルカメラで取得した情報を今後さまざまな安全施策へ広げていく前提が置かれている点です。加えて、遠隔地の上司や熟練監督者が作業映像をリアルタイムで確認し、必要に応じて指示や助言を行う仕組みも導入が予定されており、現場技術者を一人にしない支援体制づくりへ接続していきます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、危険な場所があらかじめ特定でき、同じ地点での作業が繰り返し発生する現場です。設備の保守、工場の機械まわり、倉庫の高所作業などは、危険の所在が図面や過去の記録としてすでに把握されていることが多く、それを現場に掲示して読み取れる形にするだけで仕組みが動き始めます。
一方、作業のたびにレイアウトが変わる業種や、危険が人や車両の動きとともに移動する現場では、掲示物の設置と更新にかかる手間が効果を上回りかねません。両手がふさがる作業や騒音の大きい環境では、音声そのものが届きにくく、通知の手段から考え直す必要も出てきます。カメラを使う以上、映り込みへの配慮をどこまで具体化できるかも、現場に受け入れられるかどうかの分かれ目になります。
小さく試すなら、いま貼り紙や口頭の申し送りで注意を促している地点をひとつ選び、そこだけ音声で伝える形に置き換えてみてはどうでしょうか。全社に広げる前に、その通知が本当に耳に入るのかを確かめられます。
この事例は2025年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社日立製作所、株式会社日立ビルシステム
IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和する社会の実現に貢献。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターと戦略SIBビジネスユニットの体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアにデータから価値を創出。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社618社。
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