実施 2022.10 ・ 更新 2026.08.14
車のナンバー認識システムに音声合成を組み込み、年25時間の管理作業削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 画面に出しても誰も見ていない
- 担当者が離席していて情報が届かない
- 拠点ごとのライセンス管理が手間
どのようなAIの取り組み?
車番認識システムに組み込み型の音声合成を搭載し、店舗スタッフへの自動音声での情報共有とライセンス運用の負担軽減を両立させたAI取り組み
業種
システム開発・販売(IT・通信)
取り組み領域
自社製品への音声合成組み込み/店舗の来店対応
使ったAI
RECAIUS 音声合成ミドルウェア ToSpeak(音声AI)
主な成果
ライセンス発行作業を年約25時間削減(単純計算)
カーディーラーの敷地に入ってきた車のナンバープレートをカメラで読み取り、顧客管理システムと照合して顧客名や来店目的を映し出す。株式会社ピー・エム・シーが開発する来店顧客管理システム「Vehicle Vision for Cardealership」は、カーディーラーを中心に全国約1,200ヵ所で使われています。同社は2020年7月、その情報をインカムと連携させ、合成音声で読み上げる仕組みを実装しました。ただし当初の音声合成は1ライセンスで話者が1人しか選べず、クラウドで動作するうえ辞書のデータサイズが大きく、高スペックのパソコンを必要としました。ライセンスがパソコンに紐づく方式だった点も負担になっていました。2021年7月に東芝デジタルソリューションズからのアプローチを受け、社内で評価と検証を行ったうえで、組み込み型の「RECAIUS 音声合成ミドルウェア ToSpeak」への切り替えを決定。2022年10月から、ToSpeakを実装したVehicle Visionの販売が始まっています。
出典:車番認識システムへの組み込みでCX(顧客体験)向上に貢献する「RECAIUS 音声合成ミドルウェア ToSpeak™」 | 事例紹介:デジタル事業 | 東芝 発行元:東芝デジタルソリューションズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
受付のモニターに顧客名や来店目的を表示する方式では、受付担当者が離席していたり、整備工場のエンジニアまで情報が行き渡らず、来店客を待たせてしまう場面が生まれていました。音声合成の側にも制約があり、男声か女声のどちらか一方しか選べず、話者を増やせば費用がかさむ。クラウド動作と大きな辞書データは高性能なパソコンを求め、ライセンスはパソコンごとに固定されるため、機器が壊れれば買い直しと発行作業が発生していました。
編集部の見立てでは、困りごとの中心は情報の不足ではなく、情報が置かれた場所に人がいないという配置の問題でした。顧客名も来店目的もすでにシステムの中に揃っていたのに、それを受け取れるのは特定の画面の前に立っている人だけ。音声合成をめぐる悩みも、性能そのものというより、組み込み先の店舗が増えるほど比例して積み上がっていく運用の摩擦だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
情報の届け先を画面からスタッフの耳へ移した設計が、この取り組みの起点にあります。車番認識と顧客管理システムをインカムにつなぎ、モニターに表示していた内容を合成音声で発話させる形にしたことで、受付を離れている人にも同じ情報が同時に届きます。手を止めずに受け取れる経路を選んだ判断が、フロアと整備工場という離れた持ち場を一本の線でつなぎました。
話者の選択を追加費用ではなく標準機能として備えるミドルウェアを土台に据えた判断も効いています。インカム越しでは女声の高い音が聞き取りづらい場面がある一方、親しみやすさから女声が好まれる場合もあり、適した声は店舗の環境やスタッフ構成によって変わります。男声と女声を最初から持つ製品を選んだことで、どちらを使うかという現場の判断が費用の制約から切り離されました。加えてピッチ(音の高さ)やタグによる制御で、顧客名だけをゆっくり読ませる、音量を上げるといった調整が発話の単位でできるため、インカムの機種差にも合わせ込めます。
選定の物差しを音質や機能だけでなく、拠点の数だけ繰り返し発生する運用作業に置いた見方も見逃せません。パソコンに固定されないライセンス、買い切りの契約形態、インターネット接続を前提としないスタンドアロン動作、メモリ消費を抑えた軽さは、一台単位では小さな差にすぎませんが、全国に分散して増え続ける組み込み先では意味合いが変わってきます。ベンダーの応答速度を評価項目に組み込んだ考え方も、同じ筋の上にあるものです。組み込み先の店舗から質問が届いたとき、技術的な答えを持つのはミドルウェアの提供元であり、そのやりとりの速さが自社のサポート品質をそのまま規定するからです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
ToSpeakを実装したVehicle Visionは2022年10月に販売が始まり、2024年1月時点で194店舗が音声合成をオプションとして導入、新規導入時にはほぼ必須の機能になっています。ライセンス発行には1拠点あたり10分程度かかっていましたが、年間の新規契約が約150店であることから、単純計算で年1,500分(25時間)の削減にあたります。年に4〜5台発生するパソコンの故障でも、入れ替えのたびに生じていた新規ライセンス料が不要になりました。タグ付けしたフィールドごとに発話を制御できる点は、カーディーラーへの提案材料としても働いています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、必要な情報がすでにシステムの中に揃っているのに、それを見られる場所に人がいない、という形の困りごとです。作業で手がふさがる現場や、持ち場が物理的に離れている現場では、画面をもう一枚増やすより、音声で流したほうが届く可能性があります。通信環境が安定しない場所や、データを外に出しにくい業務でも、端末側で完結する組み込み型の音声合成であれば検討の余地があります。
一方で、音声は流れて消えるため、伝える内容が長い場合や、複数の情報を見比べて判断するような場面には向きません。周囲の騒音や聞き手が使う機器によって聞き取りやすさは変わるので、読み上げ方を調整できない仕組みだと、現場の運用に乗らないまま終わるおそれもあります。まず試すなら、現場で伝えたい一文をそのまま音声合成に読ませ、実際の騒がしさの中で聞き取れるかを確かめるところから。声に出して成立しない文は、仕組みを入れても伝わりません。
この事例は2022年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
東芝デジタルソリューションズ
コミュニケーションAI「RECAIUS」の音声合成ミドルウェア「ToSpeak」を提供する国内ベンダー。手軽に導入可能なものから高品質で自然な合成音声を提供するものまで幅広いラインアップをそろえる。
株式会社ピー・エム・シー
出典・参考情報
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