実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.14
契約相談の脱メールと紙契約書のデータ化、計測器メーカーの法務ナレッジ集約
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の契約の経緯が追えない
- 相談がメールに埋もれて残らない
- 契約の判断がベテラン頼み
どのようなAIの取り組み?
AI契約レビュー機能を備えた契約管理システムに法務相談と紙の契約書を集約し、脱メールと全社での検索・閲覧を実現した取り組み
業種
電気計測器製造(製造業)
取り組み領域
法務・契約業務
使ったAI
AI契約レビュー機能を備えたCLM(契約管理システム)
主な成果
法務相談と契約書をシステムに集約し脱メールを実現
長野県上田市に本社を置く日置電機は、電気計測器を手がける東証プライム市場の上場企業です。海外事業の拡大にともなって2024年から知財法務部の業務範囲が広がり、法務のナレッジマネジメントの立て直しに本格着手しました。導入したのは、MNTSQ株式会社が提供するCLM(契約の依頼から締結・保管までを一つの仕組みでつなぐ契約ライフサイクル管理)で、契約管理・案件管理・AI契約レビュー機能を利用しています。それまでメールでやり取りされていた法務相談をシステム上へ移し、紙で保管されていた過去の契約書もデータ化して同じ場所に集約。海外拠点を含む全社から検索・閲覧が完結する状態づくりを目指した取り組みです。
出典:紙とメールからの脱却へ:創業90年の日置電機が実現した契約業務DX | 導入事例 | MNTSQ株式会社 発行元:MNTSQ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
契約書のレビューや作成は、似た過去の契約を探して真似れば、ある程度の形にはなります。ところが、その契約がどんな経緯で結ばれ、どんな基準で審査されたのかはメールのやり取りの中にあり、後から汲み取ることができませんでした。窓口を一本化して案件情報を法務部内で共有するシステム、AIレビューツール、電子契約と、課題ごとに個別の手は打たれていたものの、法務相談の半分は従来どおりメールで届き、メールで返すほかない状態が続いていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は情報の不足ではありません。メールのファイル自体は社内のデータベースに蓄積されており、情報は確かに存在していたのです。足りなかったのは、その情報が「どの案件の、どの判断についての記録か」という紐づけでした。加えて、プロセスごとに別々のツールを当てていく解き方は、ツールとツールの間を人がつなぐ手作業を必ず残します。デジタル化した箇所が増えるほど、つなぎ目の負荷と記録の断片化が積み上がっていく構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
利用者の習慣を変えさせない入口の設計が、この取り組みの土台になっています。メールに返信すれば、その内容が自動的にシステム側へ蓄積される仕組みになっているため、依頼する事業部の担当者は新しい操作手順を覚え直す必要がありません。一度ログインすればそのまま直感的に使える操作性と組み合わさることで、「システムの使い方についての質問」がそもそも発生しにくくなっています。定着を機能の豊富さではなく、既存の行動をそのまま吸い上げられるかどうかで設計した点が効いていると見ています。
ツールを足し算するのではなく、業務プロセスを一気通貫でつなぐ仕組みを選んだ判断も見逃せません。複数のデジタルツールを連携させる運用を考え続ける方向ではなく、依頼から締結・保管までを一つの流れとして扱うCLMという手法に賭けた結果、つなぎ目の人力作業を設計段階から消しにいく形になりました。興味深いのは、MNTSQ側の構造を理解する作業そのものが、複雑だった契約レビューのプロセスを見直す機会になっている点です。ツールに業務を合わせるという一見後ろ向きな作業が、実際には業務の棚卸しとして機能したのだと考えられます。
導入をプロジェクトとして運び切る進め方も、成否を分けた要因でしょう。検討段階でMNTSQ側が現状のシステム構造を可視化し、導入後の運用イメージとできること・できないことを先に提示したうえで、営業担当からカスタマーサクセス担当へ引き継いだ後も導入計画と進捗管理を伴走しています。日置電機側では、業務変革の構想を描く部門長と、技術部門から異動して実務からプロセスを把握した担当者が細かく設定を詰め、打ち合わせ資料と議事録をもとにタスクと設定項目を検討するサイクルが回りました。構想を持つ側と、プロセスを実装できる側と、システムの型を示す側が分業していた体制です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
最も重視されていた「脱メール」は、期待以上の水準で解決しています。メールで届く相談が皆無になったわけではありませんが、途中からシステムへ入れ直せば情報は蓄積されるため、法務相談は契約に限らずすべて集約できました。海外拠点からのアクセスも可能になり、想定していた課題はクリアされています。曖昧だった法務部への依頼・相談の全体件数が可視化された点は、当初の狙いを超えた副産物と言えます。紙の契約書もデータ化して集約され、検索・閲覧が一か所で完結する状態にほぼ到達しました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、依頼の入口が複数あり、やり取りの記録がメールや口頭に流れてしまう相談業務です。法務に限らず、総務や情報システムの社内窓口も同じ構造を抱えがちで、「既存の連絡手段を捨てさせずに取り込めるか」を選定基準に据える考え方は、そのまま持ち込めます。
一方で、この事例は契約書という比較的定型的な文書が中心にあり、一件ごとの相談を案件という単位に紐づけやすい性質を持っています。相談内容が案件として切り出しにくい業務や、記録そのものが発生しない立ち話中心のやり取りでは、同じ形の集約は難しいはずです。過去の紙資料をデータ化する工数も、保管量によっては軽くありません。
まず試すなら、検討しているツールの商談で「メールで届いた依頼を、担当者の手間を増やさずに取り込めますか」と聞いてみてはどうでしょうか。答え方だけでも、定着まで見据えた設計かどうかは見えてきます。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
MNTSQ株式会社
契約業務を一気通貫で扱うCLM(契約ライフサイクルマネジメント)サービス「MNTSQ CLM」を提供するリーガルテック企業。契約管理・案件管理・AI契約レビュー機能などのプランを提供し、代表は板谷氏。ISO 27001(IS 798405)を取得。
日置電機株式会社
出典・参考情報
紙とメールからの脱却へ:創業90年の日置電機が実現した契約業務DX | 導入事例 | MNTSQ株式会社
発行元:MNTSQ株式会社
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