更新 2026.08.14
王子ネピアのお客様相談室、詫び状作成30分を5〜10分に縮めたAI活用
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの知識が個人の手元に留まる
- 商品情報が多く調べるのに時間がかかる
- お客様の声を集めても活かせない
どのようなAIの取り組み?
自社サイトの情報を読み取って回答する生成AIチャットボットとオペレーター支援AIを組み合わせ、お客様相談室の応対業務と顧客の声の活用基盤づくりに取り組んだ事例
業種
家庭紙・紙おむつ製造(製造業)
取り組み領域
お客様相談室/顧客対応
使ったAI
生成AIチャットボット(GeN)、オペレーター支援AI(KARAKURI assist)、音声テキストマイニング
主な成果
詫び状作成が30分から5〜10分に短縮
王子ネピア株式会社のお客様相談室が、スキンケア商品への新規参入に合わせてデジタルの顧客接点を整えた取り組みです。カラクリ株式会社が提供するGeNは、あらかじめ会話の分岐を作り込む従来型と違い、自社Webサイトの記載を読み取って回答を生成する仕組みで、新カテゴリーの問い合わせ窓口として設置されました。並行して、オペレーター支援ツールのKARAKURI assistが日常業務に組み込まれ、工場から届く対策報告書を整理してお客様向けの詫び状を作る作業に使われています。さらに、既存の電話機のまま通話を扱える形で音声のテキストマイニングが始まり、これまで「申し出分類」の一言に丸められてきたお客様の声を読み解く方向へと広がっています。
出典:「件数」ではなく「顧客体験」にこだわる。老舗メーカーのお客様相談室が描くAI活用の未来 発行元:カラクリ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
同じブランド、同じパッケージの商品でも、製造する工場によって中身の特徴やロットの打ち方が異なることがあり、商品データは2,000行を超えていました。熟練のコミュニケーターの中には、デジタルカタログを印刷して切り貼りし、前身商品や工場ごとの特徴を書き込んだ自分専用のマニュアルを組み立てる人もいた。ところがその力作は、退職の際に「私だけの参考書だから」とシュレッダーにかけられてしまいます。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは情報量の多さそのものではなく、知識の置き場所が会社側に用意されていなかったことにあります。個人の工夫で精度を上げるほど、成果は個人の手元にだけ積み上がり、組織には何も残らない。シナリオ型チャットボットの運用負荷に担当者が疲弊していたことも、お客様の声が申し出分類の枠に押し込まれて十分に活かされなかったことも、根は同じところにあるのではないでしょうか。人が手で持ち続けなければ形にならない仕組みが、あちこちに残っていたわけです。
どうやって、うまくいったのか
回答の元をWebサイトに置いた設計が、導入の障壁そのものを取り除いています。シナリオ型では想定質問と分岐を作り込み、商品や表示が変わるたびに手を入れ続ける必要があり、その保守が担当者の負担になっていました。公開済みのサイト情報を読み取って回答を組み立てる方式であれば、更新の起点はサイト運用の側に移り、相談室が抱える保守作業はほとんど増えません。少人数の窓口が新しい仕組みを持てるかどうかは、機能の多さよりも、この維持コストをどこに置くかで決まります。
評価軸を問い合わせ件数ではなくCX(顧客体験)に据えた判断も、この取り組みを成り立たせています。電話やメールの件数をチャットへ移すことを目標に置くと、回答の正確性を限界まで高める必要が生じ、生成AIの弱点が正面からリスクになる。扱う商品が医療機器の類ではないことを踏まえ、AIが回答を生成している旨を事前に知らせたうえで、気軽に尋ねれば答えが返るという体験の側に価値を置いた設計です。短期の数字で成否を判定しない構えが、チャットボットの存在が認知されるまでの時間を確保しているとも読めます。
入口を絞り、その先の展開を先に描いた進め方も要因の一つです。比較検討では課題を書き出した2枚の紙が各社に渡され、「全部できます」と答える提案ではなく、費用のかかる方法と自分たちで手を動かす方法を切り分けて示したカラクリ株式会社の段階的な提案が選ばれました。デモを役員が実際に体験できる形にしたことで、仕組みの説明が納得に変わり、チャットボットは入口であって本命はオペレーター支援という順序を共有したまま進められています。社内でも、プロンプトを日本語での指示として扱い、月に1〜2回の壁打ち会で同じお題への指示を見比べる場が設けられ、AIを「へこたれない万能なアシスタントが1人増えた」ものとして位置づける言葉が繰り返されました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
工場から上がる対策報告書は技術者の目線で丁寧に書かれているため、読み解いて詫び状にまとめるまでに以前は30分ほどかかっていました。報告書をassistに渡し、項目ごとに箇条書きへ整理させる形にしたことで、理解の時間も含めて5〜10分に収まっています。音声のテキストマイニングは、従来の申し出分類では見えなかった顧客インサイトの可視化に着手した段階です。チャットボットについても、新規事業の顧客接点として顧客の声を集める基盤ができたところで、件数の効果はこれから見ていく位置づけとされています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えの根拠が自社サイトなど公開された文章の形で存在している領域です。サイトの記載を読んで回答を生成する方式は、商品情報やよくある質問が整っているほど、作り込みの手間をかけずに立ち上がります。逆に、回答の誤りが健康や契約の判断に直結する商材や、根拠が非公開の社内資料にしかない場合は、この形のままでは持ち込みにくい。音声の活用についても、通話録音の扱いや電話機の環境という前提条件が付いてきます。
もう一つの分かれ目は、社内の評価軸です。入電の削減率を短期のKPIに据える組織では、体験価値を狙う設計は成果として認められにくく、途中で止まりやすい。まず試すなら、自社サイトのよくある質問ページを開き、そこに書かれた文章だけで答えが成立する問い合わせがどれくらいあるかを数えてみてはどうでしょうか。その割合が、この方式が効く余地の目安になります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KARAKURI Inc.(カラクリ)
AIチャットボット「GeN」、オペレーター支援ツール「assist」、音声テキストマイニング(CXM)などのカスタマーサポート向けAIサービスを提供する企業。
王子ネピア株式会社
出典・参考情報
「件数」ではなく「顧客体験」にこだわる。老舗メーカーのお客様相談室が描くAI活用の未来
発行元:カラクリ株式会社
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