実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.14
三重県伊賀市が生成AIで議事録作成を3分の1に、職員の約8割が週1回以上利用
プロジェクト期間:2年 〜 3年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 会議の議事録づくりに時間を取られている
- 問い合わせ回答や通知文の作成が重い
- 外国語の案内文を用意できず困っている
どのようなAIの取り組み?
行政向けの生成AIサービスを庁内に広げ、議事録作成の時間を従来の3分の1程度まで縮めた自治体のAI取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
庁内業務全般(文書作成・議会対応・広報)
使ったAI
GaiXer(行政・企業向けの生成AIサービス)
主な成果
議事録作成の時間が従来の1/3程度に短縮
三重県伊賀市は、FIXERが提供する行政・企業向けの生成AIサービス「GaiXer」を庁内業務に取り入れています。両者は2023年5月から行政サービスの実証実験に共同で取り組み、業務効率の向上が認められたことを受けて、2024年10月に本格導入へと移行しました。職員は、議事録の要点抽出や内容の精査、施策立案の基礎資料や研修用資料の作成、議会への答弁案の下書き、市民向け通知文を平易な表現へ整える推敲、外国籍の住民に向けた案内文の翻訳、Excel VBAやJavaScriptのコード生成まで、幅広い作業でGaiXerを使っています。2025年3月には職員59名から回答を得た利用者アンケートが実施され、その結果を踏まえて同年10月から120アカウントが追加利用されています。
出典:生成AI「GaiXer」導入の伊賀市、120アカウントを追加利用へ ~約8割が週1回以上利用、議事録作成時間は従来の3分の1に短縮~ - 株式会社FIXER 発行元:株式会社FIXER
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
伊賀市でGaiXerが使われている場面を並べると、議員からの一般質問に対する答弁案づくりのように、これまで多くの時間を要していた作業が目につきます。他市の優良事例や国の施策を調べる情報収集も、従来のインターネット検索では相応の手間がかかっていた作業です。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「仕事の量が多い」ことそのものよりも、最終的な形がある程度決まっている文書ほど、そこへ至る下ごしらえだけが毎回ゼロから発生していた点にあったのではないでしょうか。答弁案も通知文も議事録も、内容の判断と責任は職員が負う必要があります。一方で、論点を洗い出す、要点を拾う、言い回しを整えるといった手前の工程には、職員の裁量が発揮される余地がそれほど大きくない。この手前の工程が積み上がって、判断に充てるべき時間を圧迫していた構図が浮かびます。
どうやって、うまくいったのか
実証実験を1年以上重ね、業務効率の向上を確認してから本格導入へ切り替えた進め方が、この取り組みの土台になっています。2023年5月に始まった行政サービスの実証は、市とFIXERが共同で担う形をとりました。行政の仕事は年度や議会日程に沿って動くため、実際の業務サイクルを一巡させないと使いどころは見えてきません。試す期間を確保したうえで判断する設計が、導入後に使われないツールを抱え込む事態を避ける現実的な手順になっていると考えられます。
行政という利用環境の制約を、後付けではなく前提として満たしているサービス選定も見逃せません。GaiXerはAzure OpenAIを基盤としており、データ保護やアクセス制御の機能を備え、政府のセキュリティ基準を満たすSaaSとして「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストに登録されています。行政専用ネットワークであるLGWANでも利用できます。個人情報や意思決定過程の情報を扱う自治体では、この条件を満たせるかどうかが検討の入口になります。入口を通せる形で用意されていたことが、部署をまたいで使える範囲を広げたのではないでしょうか。
汎用の文章生成を、職員の手元にある個別の作業へ落とし込んだ使い方も要因に挙げられます。議事録なら要点抽出と内容の精査、通知文なら専門的な内容を平易な表現へ改める推敲、施策立案ならSWOT分析やブレインストーミングの相手役、というように用途が具体的に切り分けられています。GaiXerが備える業種別テンプレートによるプロンプト作成支援や、複数の大規模言語モデル(LLM)から用途に合うものを選べる仕組みも、この切り分けを後押しする性質を持ちます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年3月に職員59名から回答を得たアンケートでは、回答者全員が今後も使い続けたいと答え、利用頻度は全体の約80%が週に1回以上でした。議事録作成は作業時間が従来の1/3程度まで短縮され、資料作成では約9割、企画作成・アイデア出しと情報検索ではそれぞれ約6割の職員が効率化や工数削減を実感しています。この結果を受けて、伊賀市は2025年10月から120アカウントを追加利用しており、FIXERはさらなる業務効率化に期待を寄せています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、成果物の型がある程度決まっていて、そこに至る下書きや要点整理に時間がかかっている文書業務が日常的に発生する組織です。議事録、定型の案内文、社内向けの説明資料あたりは、内容の判断を人が握ったまま手前の工程だけを預けられるため、効果を確かめやすい領域といえます。多言語の案内が必要な場面を抱えている組織も、伊賀市の翻訳用途に近い形で試せます。
一方で、扱う情報に個人情報や機密が含まれる場合、データ保護やアクセス制御、接続できるネットワークの条件を満たせるかどうかが先に問われます。ここが整理できていないと、便利さの前に利用範囲が決まらず止まります。また、生成された文章を必ず人が確認する前提を崩せない業務では、確認の手間が増えて差し引きゼロになることもあり得ます。
まずは、直近1か月で作った文書のうち書式が固まっているものを1種類だけ選び、下書きを生成AIに任せたときの所要時間を、確認作業まで含めて実測してみてはどうでしょうか。1種類で差が出れば、次にどの文書へ広げるかの判断材料になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社FIXER
クラウド黎明期の2009年に創業したクラウドネイティブカンパニー。Microsoft Azureの正式サービス開始と同時にエンタープライズシステムのクラウド化をプライムとして引き受け、クラウドリフト&シフトの支援で日本のDXを推進。エンタープライズ向け生成AIサービス「GaiXer」を提供している。
三重県伊賀市
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
