実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.15
レゾナックの海外営業、多言語AIチャットで回答精度80%を確認した実証
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内で担当者を探すのに時間がかかる
- 問い合わせ対応が一部の人に集中
- 必要な情報が部署ごとに散らばっている
どのようなAIの取り組み?
製品・特許・担当者の情報を検索して多言語で答えるAIチャットを構築し、海外営業の問い合わせ対応の負荷軽減を検証したAI取り組み
業種
化学・素材(製造業)
取り組み領域
海外営業/問い合わせ対応
使ったAI
RAG構成の生成AIチャットボット(Azure OpenAI)
主な成果
製品・担当者検索と製品提案の回答精度80%
素材化学メーカーのレゾナック(株式会社レゾナック・ホールディングス)では、海外代理店や現地顧客からの問い合わせに答えるたびに、社内の製品担当者を探す作業が発生していました。アビームコンサルティングはこの海外営業業務を対象に、Azureを使った生成AIチャットボットのPoC(概念実証)を支援しています。製品・特許・担当者の情報をRAG(外部のデータを検索してAIの回答に活用する仕組み)で参照し、英語や中国語を含む多言語で、自然な文章の質問に即座に答えられるチャットを構築しました。問い合わせ内容から製品を提案する機能も組み込み、用途に合わせて素材を提案する営業のスタイルに寄せています。実業務に近い運用を想定した検証を6ヶ月で進め、製品・担当者の検索とニーズからの製品提案について、回答精度は80%に達しました。
出典:LLM比較検証と多言語対応チャットで実現する海外営業業務効率化 | 事例 | ABeam Consulting 発行元:アビームコンサルティング株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
問い合わせ対応に必要な製品情報も担当者情報も、日本本社の各部署に日本語のまま散らばっていました。海外へ渡すには集めて、翻訳して、担当者に展開するという手順が毎回必要になり、そこに時間と人的コストがかかります。加えて、専門知識が求められる素材の問い合わせは製品知識のある駐在員へ集中し、新規開拓や市場調査、現地取引先とのリレーション構築といった本来注力すべき仕事の時間を圧迫していました。
編集部の見立てでは、この困りごとの正体は問い合わせの量ではなく、答えを持っている人にたどり着くまでの経路が個人の記憶に依存していたことにあります。情報そのものは社内に存在しているのに、どこに何があり誰が詳しいかを知る人を経由しなければ回答を組み立てられない。だからこそ負荷は分散されず、一部の駐在員に寄っていったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
初期段階でGoogle Cloud PlatformのGeminiで精度を確かめ、その後Azure OpenAIによる本格実装へ移すという二段構えの進め方が、この取り組みの起点になっています。複数の大規模言語モデル(LLM)を突き合わせたことで、生成AIがどこまで正確に答え、どこで崩れるのかという感覚が、関係者の間で言葉にできる共通認識になりました。ここで得られたのは技術選定の結論だけではありません。AIに任せられる領域と人が担うべき領域を客観的に線引きする基準が先に立ったことが、PoCから本番設計への移行を滑らかにしたと考えられます。
実際の問い合わせ対応業務を可視化し、どの業務フローのどの部分に生成AIを当てるかをユースケース単位で定義した設計も効いています。適用範囲を切り出して定義すると、AIの役割と限界を現場と共有する言葉が生まれ、回答の粒度や守備範囲を現実的なところへ収められます。用途から製品を提案する素材営業の性格に合わせて、問い合わせ内容をもとに製品を提案する機能を実装したのも、業務の形から逆算した判断でしょう。
改善の回し方にも固有の工夫が見えます。ユースケースごとに検証範囲を区切り、直すべき点に優先順位をつけたうえで、まず画面上の動作と回答内容を実際に確認してから設計ドキュメントへ反映するという順序を採りました。精度が出ないときに、AIモデル側の要因なのか参照させるナレッジデータの構成の問題なのかを切り分ける進め方は、当てずっぽうのチューニングを避けるうえで大きい。ナレッジ文書の構造整理、意味の揺れを生む用語の整備、更新を効率化するデータ更新プログラムまで用意した点は、精度を一度出して終わりにしない設計思想の表れです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
製品・担当者情報の検索と、ニーズからの製品提案について、回答精度は80%に達しました。担当者を探し回る手間が減り、問い合わせ対応の業務負荷が軽くなっています。顧客からの問い合わせに営業が一次回答するまでのリードタイムが短くなることで、提案機会の損失を避けられることが期待されています。ユーザーテストで目標を上回る精度が確認されたことを受け、2025年9月から社内展開が始まり、海外だけでなく国内の営業部門からも現場での活用に期待する声が寄せられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えるための情報が社内に存在しているのに、どこにあるか・誰が詳しいかを知る人を経由しないと回答が組み立てられない業務です。製品や部品の種類が多く、拠点や言語をまたいで似た質問が繰り返される会社ほど、検索と翻訳をまとめて引き受けるチャットの効き目は大きくなります。
一方でこの事例が成り立っている前提は、製品・特許・担当者という参照先が文書として社内に存在し、構造整理と用語統一によってAIに読ませられる形へ直せたことです。判断の根拠がベテランの頭の中にしかなく文書になっていない領域では同じ形は取りにくく、まず書き起こす工程が別に必要になります。手をつけるなら、直近の問い合わせを数件並べ、その回答が社内のどの資料から組み立てられたかを一件ずつ辿ってみるところから。資料に行き着かない質問がどれだけあるかが、そのまま準備すべき仕事の量になります。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アビームコンサルティング株式会社
日本およびアジア発のNo.1グローバルコンサルティングファームを目指し、「Real Partner®」として企業や組織と共に新たな未来を共創し、企業変革の実現を支援するコンサルティングファーム。
株式会社レゾナック・ホールディングス
出典・参考情報
LLM比較検証と多言語対応チャットで実現する海外営業業務効率化 | 事例 | ABeam Consulting
発行元:アビームコンサルティング株式会社
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