実施 2026.04 ・ 更新 2026.08.15
FAQの手動更新を不要にした、阪急電鉄の鉄道問い合わせ向け生成AIチャットボット
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 想定外の質問に答えられないチャットボット
- FAQの作成と更新に工数を取られている
- 人を増やさずに問い合わせ対応を続けたい
どのようなAIの取り組み?
RAGを用いた生成AIチャットボットで、鉄道のお客様対応からFAQの手動更新をなくしたAI取り組み
業種
鉄道(運輸・物流)
取り組み領域
お客様対応/ウェブサイトでの問い合わせ対応
使ったAI
生成AIチャットボット(RAG)
主な成果
FAQの手動更新を不要にし、公式サイトで提供開始
株式会社neoAIと阪急電鉄が共同で、1日約164万人が利用する鉄道のお客様対応に向けた生成AIチャットボットを開発し、阪急電鉄公式ウェブサイトでの提供を始めました。従来は想定される質問と回答のペアを人手で用意するFAQ型を運用してきましたが、新しい方式では誤った案内を防ぐガードレール設計を保ちつつ、生成AIの推論能力によって複雑な質問にも応答します。参照する情報基盤にはウェブサイト情報を用い、RAGの検索精度を考慮した独自の前処理・構造化を施すことでFAQの手動更新をなくし、会話意図の自動分類と回答信頼度の判定によって改善対象を絞り込む運用も組み合わせています。
出典:neoAI × 阪急電鉄、鉄道のお客様対応に生成AIチャットボットを本番導入 ― 高い回答精度が求められる1日約164万人規模の鉄道領域で、実用化に成功 | 株式会社neoAIのプレスリリース 発行元:株式会社neoAI
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
阪急電鉄がこれまで運用してきたのは、想定される質問と回答のペアを人手で用意するFAQ型のチャットボットでした。用意した範囲の外に出る質問には答えられず、そのFAQを作り、更新し続ける作業そのものも大きな負荷になっていました。背景には、人材不足の深刻化を見据えながらお客様対応の品質を保つ体制をどう続けるかという、鉄道業界に共通する経営課題があります。
編集部の見立てでは、ここで効いていた本質的な問題は問い合わせの量ではなく、答えられる範囲を人があらかじめ決め切らなければならない構造にあったのではないでしょうか。想定を書き出せば書き出すほど維持の手間は増え、それでも未想定の質問はなくならない。品質を上げようとすると人手が増える方向にしか進めない仕組みだったことが、限界の正体だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
回答品質の基準を、鉄道のお客様対応に特化したベンチマークとして先に定義したことが、この取り組みの土台になっています。誤った情報を案内しないためのガードレール設計と、多様な質問に応じる柔軟性は本来引っ張り合う関係にあり、どこまでを許容するかを言葉にしておかなければ、検証は担当者ごとの感覚に流れてしまう。neoAIが日本語RAG(外部の情報を検索してAIの回答に反映させる仕組み)の回答品質評価ベンチマークを構築した研究知見を持ち込み、それを鉄道の現場が求める水準に合わせて共同で定義し直した点に、この設計の要があります。
参照先を人手で作ったFAQではなくウェブサイト情報そのものに置き、RAGの検索精度を考慮した独自の前処理・構造化を施した設計も見逃せません。FAQという中間の成果物をやめれば、知識の更新はサイトの更新に吸収され、同じ情報を二重に手入れする必要がなくなります。情報の鮮度をAI側の運用努力で保つのではなく、もともと更新され続けている情報源のほうへ寄せた発想の切り替えです。
運用面では、会話意図の自動分類と回答信頼度の判定を組み合わせ、手を入れるべき回答に優先順位を付ける仕組みが置かれました。すべてのやり取りを人が読む運用は、公開直後なら成立しても長くは続きません。拾い上げをAIに任せ、人の役割をモニタリングと改善の意思決定に絞ったHuman-in-the-Loop(人が要所で判断に関わる運用)の構造は、続けられる形に落とし込むための判断でしょう。プロダクト基盤の上に構築し、モデルの切り替えや検索機能の強化を取り込める余地を残した点も、同じ発想の延長にあります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
繰り返しの検証を経て公開可能な品質水準に到達し、阪急電鉄公式ウェブサイトでの提供が始まっています。従来のFAQ型では扱いにくかった、表現の揺れや複数の条件が絡む質問にも、必要に応じて問い返しを挟みながら応答できるようになりました。FAQの手動更新は不要となり、最新の情報に基づく回答が維持されています。今後はバスやタクシーといった二次交通を含むグループ全体のサービスへの展開も視野に入れられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、案内すべき情報がすでに公開ページなどにまとまっていて、担当部署が日常的に更新している場合です。参照元が更新され続けているなら、FAQを別途こしらえる代わりに、その情報をAIが読める形へ整える方向に投資できます。逆に、案内の根拠が担当者の手元資料や口頭のやり取りに散らばっている状態では、前処理・構造化に進む前に情報の置き場所を一本化する工程が必要になり、同じ手順をそのままなぞるのは難しいでしょう。
もう一点、誤った案内が直接の不利益につながる領域では、どこまで答えさせ、どこで問い返すかという品質基準の定義と、それに沿った検証の往復に相応の時間がかかります。手早く公開したい場面には向きません。まずは自社サイトでよく尋ねられる質問を一つ選び、その答えがページのどこに、どんな書き方で置かれているかを見てみるところから。AIが読み取れる形になっているかどうかは、たいていそこで判断できます。
この事例は2026年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社neoAI
生成AIに特化したソリューションを提供する東京大学松尾研究室発のスタートアップ。代表取締役CEOは千葉駿介。資本金5600万円、業種は情報通信、未上場。
阪急電鉄株式会社
出典・参考情報
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