実施 2024.03 ・ 更新 2026.08.14
古野電気の法務システム刷新、約13,000件の契約データ移行とAI契約レビュー
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 過去の契約書がすぐ探せない
- 使っているシステムのサービス終了が迫っている
- 相談のやり取りがメールに埋もれる
どのようなAIの取り組み?
契約管理システムのリプレイスに合わせ、10年分・約13,000件の契約データを移し替え、AI契約レビュー機能の活用に踏み出した法務部門のAI取り組み
業種
船舶用電子機器製造(製造業)
取り組み領域
法務/契約書審査・契約管理
使ったAI
AI契約レビュー機能を備えた契約管理システム(MNTSQ)
主な成果
10年分・約13,000件を含む過去データの移行を完了し、IT部門のシステム保守工数も削減
1948年に世界で初めて魚群探知機を実用化した古野電気は、船舶用電子機器を軸に情報通信やヘルスケアへ事業を広げ、海外グループを含めて3,000名を超える体制で事業を展開しています。契約書審査と契約書管理は、十数年にわたり全社共通のグループウェア上で運用されてきましたが、そのサービス終了が決まったことで、5名の法務室と50名規模のIT部が組んで後継システムの選定に着手しました。選ばれたのは契約管理システムのMNTSQで、契約管理・案件管理に加えてAI契約レビュー機能を利用しています。2023年12月の導入決定から2024年10月の全社展開まで8か月の計画を敷き、10年分の審査案件およそ5,000件と締結済み契約書約13,000件から移行対象を選び出す作業を、法務室とIT部、そしてMNTSQのコンサルタントが分担して進めました。
出典:法務システムをリプレイス:法務部×IT部の連携とMNTSQ CSのサポートで、今後のデータ活用に繋げる過去データ移行をスムーズに実現 | 導入事例 | MNTSQ株式会社 発行元:MNTSQ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
十数年使い続けた全社共通のグループウェアにサービス終了の期限が示され、契約書審査と契約書管理の置き場所を作り直す必要が生じました。あわせて、過去案件の情報は散在しており、参照したい先例があってもシステムの検索では拾いにくく、メールでやり取りした相談は件名にキーワードが入っていなければたどり着けない状態が続いていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は期限そのものではなく、業務が滞りなく回っていたために蓄積の弱さが表面化しないままだった点にあります。法務室5名のうち4名は法務のスキルを積んできた中途採用者で、通常業務で手一杯になりながらも年間約500件の審査を回せていた。だからこそ育成を見据えたナレッジマネジメントは後回しにでき、検索できない不便は個々の記憶と手作業で埋め合わされてきたのではないでしょうか。サービス終了は、その埋め合わせを続けるかどうかを問い直す機会になったと読めます。
どうやって、うまくいったのか
後継システムに求める条件の最上位に「いまの業務フローを大きく変えないこと」を据えた選定の組み立てが、この移行を無理のないものにしています。トライアルまで進んだ2社のうち、1社は承認フローの設定が細かく、法務室から見て運用に乗せにくいうえIT部門の負担も減らないと判断され、もう1社はチャットベースで自由度が高い反面、既存の運用フローとの整合に懸念が残りました。使う側の負担と管理する側の負担を同じ評価軸に並べたことで、機能一覧の比較では見えない部分にまで判断が及んでいます。
移行を一括作業ではなく工程に分解した設計も効いています。導入決定から全社展開までの8か月に、時期ごとの実施事項と、旧システムからデータを出すタイミングをあらかじめ定めたため、電子稟議システムなど他部門の移行案件と並行して動くIT部でも段取りが組めました。約5,000件の審査案件と約13,000件の締結契約書から移行対象を絞る判断は法務室が担い、フォーマット整備をIT部が引き受ける分担に、MNTSQ側が用意したエクセルベースの移行フォーマットが重なったことで、付随情報の要不要を見極めるデータクリーニングが進めやすくなりました。1回目の移行から本稼働までの間に生じる差分を後追いで反映する二段構えや、独自の管理項目をカスタムフォームとして受け止める対応も、旧システムのデータ構造を崩さずに載せ替えるための工夫です。
週1回のミーティングにアジェンダと議事録をセットで残す運用も、この規模の移行では小さくない役割を果たしています。途中から参加したメンバーが過去の議論を資料で追えるため、担当が入れ替わっても検討の前提が失われません。確認が必要な事柄を曖昧なまま返さず次回に回答を用意し、できないことには代案を示すという応答の作法は、意思決定の滞りを防ぐ側に働いたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
契約書の審査・管理という基本機能は問題なく稼働し、事業部門へは社内説明会を開かずマニュアルの配布だけで行き渡りました。相談時のメール連携機能に加え、タグ付けやお気に入り機能も使われるようになり、体系的な管理ができる状態に近づいています。IT部門では、組織変更や人事異動のたびにプログラムを組んで担当者を一括変更していた作業が不要になり、システムメンテナンスの工数が削減されました。ナレッジマネジメントの体系づくりは運用が固まったこれからの段階で、審査や法律相談の履歴に容易にアクセスできる状態が目標に据えられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、既存の業務フローが安定して回っており、それを崩さずに基盤だけを載せ替えたい組織です。システムの提供終了や契約更改など期限がはっきりしている場合は、この事例のように工程を先に切り、いつ何のデータを出すかを決めてから動くやり方がそのまま参考になります。利用部門と情報システム部門が早い段階から一緒に候補を見ていく進め方も、規模を問わず取り入れられるはずです。
一方で、移行対象をどう選ぶか、付随情報のどこまでを残すかという判断は、業務を知る当事者にしか下せません。その時間を通常業務の中で確保できないと、工程表があっても計画は動かないでしょう。管理の単位が製品側の考え方に合わせて変わる点にも注意が必要で、この事例でも契約書単位の閲覧権限が台帳単位に変わったことで、別部門から必要な書類が見えないという食い違いが起きています。移行後に運用のズレが出る前提で調整の時間を残しておきたいところです。まずは、直近1年で過去の相談や契約を探し当てられなかった場面を担当者に2〜3件挙げてもらってはいかがでしょうか。どこを探して見つからなかったのかが分かれば、新しい基盤に何を検索できる形で残すべきかが具体的に見えてきます。
この事例は2024年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
MNTSQ株式会社(MNTSQ, Ltd.)
契約管理・案件管理・AI契約レビュー機能を備えたリーガルテック「MNTSQ CLM」を提供する企業。導入時にはコンサルタントによるサポートを行っている。
古野電気株式会社
出典・参考情報
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