実施 2024.06 ・ 更新 2026.08.14
第一興商、ヘルプデスクの通話要約を生成AIで自動化し約90%が合格水準
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話対応の記録が後回しになりがち
- 担当者ごとに記録の書き方がばらばら
- 録音を聞き直す作業に時間を取られている
どのようなAIの取り組み?
通話録音の文字起こしと要約を生成AIで自動化し、ヘルプデスクの記録作業の負担軽減と記録内容の平準化に取り組んだAI事例
業種
業務用カラオケ機器の開発・運用(メディア・広告・コンテンツ)
取り組み領域
ヘルプデスク/問い合わせ記録
使ったAI
生成AI(Amazon Bedrock/Claude 3.5 Sonnet)と音声認識(Amazon Transcribe)
主な成果
要約の約90%が修正不要または軽微な修正で済む水準
業務用カラオケ「DAM」を手がける第一興商は、営業担当者や代理店からの問い合わせを受けるヘルプデスクで、通話内容をCRMへ記録する作業を人の手で行っていました。17名体制で1日平均300件を受ける現場では入力が後回しになり、記録の粒度も担当者ごとにばらついていました。同社は2023年11月に約3週間かけてAWS上での検証を実施し、Amazon Transcribeで録音を文字起こしし、生成AIサービスのAmazon Bedrockで通話内容を要約する流れを試しています。この検証で手応えを得たのち、クラスメソッドの技術支援を受けて、録音データのアップロードから文字起こし、要約、結果の保存までを一続きで処理するAPIを開発し、実業務での利用を始めています。
出典:第一興商様|DAMヘルプデスクへの問合せ内容の要約を生成AIで自動作成。オペレーターの負担軽減と記録品質の平準化を実現 |クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
電話を受けることが最優先となるヘルプデスクでは、CRMへの入力はどうしても後回しになり、空き時間に録音を聞き直して書き起こす流れが常態化していました。1日40件近くさばく担当者もいれば10件の担当者もいて、要点だけを簡潔に残す人、会話を細かく書き留める人と、記録の形も人によって違っていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は入力作業の量ではなく、記録という仕事が「後から思い出して書き直す作業」に変質していた点にあります。対応の直後に残せなければ録音を聞き返す二度手間が生まれ、その分だけ着手も遅れる。しかも出来上がる記録の精度は個人の文章能力に左右されるため、記録を組織の資産として扱いにくい状態が続いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
要約の詳しさを、受電時の内線番号でベテラン用と新人用に振り分けた設計が、この仕組みの性格を決めています。新人が受けた通話は後から対応内容を細かくたどれるように、ベテランが受けた通話は概要をつかめる程度にと、出力の粒度そのものを分けました。AIの要約は詳しければ良いというものではなく、読む人が何のためにその記録を見るかで適切な長さは変わります。内線番号という既存の情報を判定材料に使い、オペレーター側に新しい操作を求めずに切り替えを成立させた点も見逃せません。
会話終了から5分以内という時間の目標を先に置き、そこから逆算して工程をつないだ組み立ても効いています。文字起こし、要約、保存という手順をAWS Lambdaを中心としたサーバーレス構成で自動的に流し、Amazon SNSによるエラー検知を組み込むことで、途中で処理が止まったときに気づける形にしました。要約が手元に届くのが翌日では、結局は記憶に頼って書き直すことになる。速さを利便性ではなく品質の要件として扱った設計だと考えられます。
約3週間の検証で実際の通話データを使って可否を見極め、そのうえで実装に進んだ順序も、短期での開発を成り立たせた要因でしょう。判定の基準を「人が書いた記録と比べて修正が不要か、少しの修正で済むか」という現場の手触りに置いたため、精度の議論が抽象論に流れずに済んでいます。検証時のClaude 2から実装時のClaude 3.5 Sonnetへモデルを入れ替えている点も、検証結果を固定の前提にせず開発時点の選択肢を選び直す姿勢の表れです。仕様はヘルプデスクの担当者の意見を聞きながら詰めており、使う側の判断が設計に織り込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実業務での利用が始まった現在も、要約の合格率は検証時と同じ約90%で推移しています。通話終了から5分以内に文字起こしと要約が出力されるため、録音をゼロから聞いて記録していた頃と比べて作業負荷は大きく下がりました。新人のログを確認していたベテランは音声ではなくテキストで済むようになり、新人も自分の対応を後から振り返れます。電話の音質や機器の型番など専門用語の多さを踏まえると、この水準は現場から実用に足ると評価されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、通話や面談の内容を人が後から書き起こしている業務です。誰が何のために読むメモかによって必要な詳しさが変わるなら、出力の粒度を分岐させるという考え方はそのまま参考になります。
一方で、現場の騒音や電話回線の音質、型番や専門用語の多さは文字起こしの精度を直接左右するため、扱う音声の条件が違えば同じ水準の要約が得られるとは限りません。要約はあくまで下書きであり、内容を確かめて直す人が要ること、そして本事例でも記録システムへの自動入力は今後の課題として残っていることも、見積もりに入れておきたいところです。
試すなら、直近の通話録音を数十件だけ選び、担当者が書いた記録と機械が作った要約を並べて、そのまま使えるか、少し直せば使えるかを数えてみる。合否の線を自分たちの言葉で決めるところから、判断材料は集まります。
この事例は2024年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
ChatGPTやAmazon Bedrockなど各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援を行う企業。AWS総合支援、生成AI総合支援サービス、データ活用基盤、LINEサービス総合支援、アプリ開発、セキュリティ対策支援などを提供している。
株式会社第一興商
出典・参考情報
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