実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.14
社内ITヘルプデスク向け生成AI、回答精度80%超を確認した通信会社の検証
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内マニュアルを探すのに時間がかかる
- チャットボットの更新作業が重荷
- 生成AIをどこまで信用していいか分からない
どのようなAIの取り組み?
RAGを用いた生成AIチャットボットで、社内ITヘルプデスクへの問い合わせにどこまで答えられるかを検証した取り組み
業種
電気通信事業(IT・通信)
取り組み領域
社内ITヘルプデスク/社内問い合わせ対応
使ったAI
RAGを用いた生成AIチャットボット
主な成果
特定の検証方法で回答精度80%超を確認(PoC段階)
オプテージは、関西電力グループで光インターネットサービスや格安SIM「mineo」などを手がける通信会社です。同社は2023年7月に全従業員が使える生成AI環境「OPTAGE Generative AI Chat」を社内展開し、文章作成の支援や企画・アイデア出しでの利用が広がっていました。その延長線上で、社内ナレッジの検索にも生成AIを使いたいという要望が社内で高まり、コーポレートITシステム部が管轄する社内ITヘルプデスクを想定した技術検証(PoC)が決まります。用いたのはRAG(社内文書を検索し、その内容をもとにAIが回答する仕組み)で、支援にはクラスメソッドが入り、Azureによるサービス利用環境の構築と、生成AIを使った業務改善に向けた技術支援を担いました。約3カ月のプロジェクトの中で、PCのトラブルシューティングやシンクライアントの申請といった日常的な問い合わせに正しく回答できるかが確かめられています。
出典:オプテージ様事例| 生成AIチャットボットを用いて社内の問合せをサポート。業務改善の取り組みや生成AI利用のナレッジ蓄積にも貢献 | クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点は、社内ナレッジの検索を生成AIでもっと便利にできないか、という社内からの要望でした。ナレッジ検索の仕組みとしては既存のチャットボットがすでに動いていましたが、そのメンテナンスコストが課題として挙げられています。
編集部の見立てでは、困りごとの中心にあったのは「探せないこと」そのものではなく、答えられる状態を保ち続ける手間のほうではないでしょうか。想定問答を人が用意し、社内制度やIT環境が変わるたびに手を入れ直す運用は、担当部署にじわじわと負荷を積み上げていきます。もう一つ見逃せないのは、同社ではすでに全社規模で生成AIの利用が進んでいたという事情です。日常的に生成AIに触れている組織だからこそ、社内文書に基づく回答をどこまで任せてよいのかを、印象ではなく評価結果として持つ必要があった。いきなり実装せず、まず試して精度を確かめるという判断は、そうした土壌から出てきたものと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
対象を社内ITヘルプデスクという一つの業務に絞り、実装ではなく検証から入った設計が、この取り組みの土台になっています。題材に選ばれたのは、PCの不具合対応やシンクライアントの申請手続きのように、日々発生し、答えが社内文書のどこかに書かれている問い合わせでした。正解の所在がはっきりしている領域であれば、AIの回答が合っているかを人が判定でき、精度という物差しが機能します。範囲を欲張らなかったことが、評価に耐える検証を成り立たせたと見ています。
セキュリティを最優先事項に据えた環境設計も、この検証を前に進めた条件でした。クラウド上の各機能をインターネット経由ではなく仮想ネットワークでつなぐ閉域構成とすることで、社内ドキュメントを持ち込める土台がつくられています。社内ナレッジを扱うRAGでは、回答精度以前に「その文書を置いてよい環境かどうか」が関門になりがちで、そこを先に固めた順序に意味があったのではないでしょうか。
精度の追い込み方も、モデル任せではありません。取り込むデータの前処理、検索手法の選定、データ構造の最適化と、回答の材料側を整える作業が積み重ねられています。加えて、1週間ごとに出力してほしい項目を変えながら検証と評価を繰り返す進め方が採られ、後から浮上したセキュリティ要件や制約に対しても、インフラ構成の変更や機能追加で対処されました。条件を短いサイクルで振りながら回すこのやり方は、何が効いて何が効かないかを切り分ける手段として働いたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
検証では、特定の検証方法において、社内ドキュメントをもとにした回答精度が80%を超えました。あわせて、社内のセキュリティ基準を満たす環境で生成AIを試せたこと、生成AI活用の勘所やハルシネーション(AIが事実と異なる情報を答えてしまう現象)への対策を実例とともにつかめたことが、社内に残ったものとして挙げられています。取材時点では評価作業が続いており、得られた知見は報告書にまとめて全社会議で説明される予定です。社内ITヘルプデスクへの適用そのものは、既存チャットボットとの並行運用を通じて見極める段階にあります。
うちでも使える?
応用が利きそうなのは、答えが社内文書のどこかに書かれている問い合わせが、繰り返し同じ窓口に来ている職場です。PCの設定や申請手続きのように正解を人が確認できる業務なら、AIの回答が使い物になるかを判定でき、検証そのものが成立します。反対に、担当者が事情を聞き取りながらその場で判断する相談ごとや、そもそも手順が文書になっていない領域では、同じ手順をなぞっても精度を測る土俵に乗りません。文書が古いまま放置されていれば、AIは古い答えをそれらしく返してしまいます。
閉域のクラウド環境まで作り込むかどうかは、扱う情報の機微さと社内基準次第で、どの会社にも必要な作業ではありません。手始めとしては、直近にヘルプデスクへ寄せられた問い合わせをいくつか選び、その答えが載っている社内文書を実際に開いてみる。文書までたどり着けない質問がどれくらいの割合を占めるか、そこにAIへ任せられる範囲の見当が現れます。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
ChatGPTやAmazon Bedrockなどの各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発まで支援を行う企業。AWS総合支援、生成AI総合支援、データ活用、組織開発・人材育成などのサービスを提供し、支援実績は5,600社以上。
株式会社オプテージ
出典・参考情報
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