実施 2024.08 ・ 更新 2026.08.14
使われない生成AIをどう広げるか、上越市が若手職員から始めた活用ワークショップ
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを導入したのに使う人が増えない
- 生成AIを検索代わりにしか使えていない
- 研修をやっても現場に定着しない
どのようなAIの取り組み?
生成AI活用ワークショップを通じて、庁内で使われていなかった生成AIチャットボットのプロンプト作成ノウハウの共有を進めた取り組み
業種
地方自治体(公共・行政)
取り組み領域
庁内DX推進/職員向け生成AI研修
使ったAI
生成AIチャットボット(文章生成AI)
主な成果
講義の録画が庁内で共有され、必修のDX講座でも教材として活用
新潟県上越市は、職員一人ひとりの業務効率と市民サービスの向上を狙い、2023年秋に自治体向けの生成AIチャットボットを試行導入しました。ところが導入から4ヵ月後の職員アンケートでは、業務で使っていたのは全体の3割程度、そのうち文章の「生成」に使えていたのは2割程度にとどまります。そこで市は職員のITリテラシー向上を目的に庁内で生成AI活用ワークショップを開き、その講義をクラスメソッドが担当しました。主に若手職員を対象に1日2回開催し、各回で対面30人程度、オンライン20人程度が参加しています。内容は生成AIの基礎からプレゼンの構成案づくり、行政文書作成への応用、効果的なプロンプトの書き方までで、受講者が手を動かすハンズオン形式が採られました。講義の録画は庁内に公開されています。
出典:上越市のDX推進に生成AI活用ワークショップの実施を通じて貢献。生成AIチャットボットの業務活用を推進 |クラスメソッド 発行元:クラスメソッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
上越市が生成AIチャットボットを試行導入したのは2023年秋のこと。市内イベントの挨拶原稿のたたき台づくりや行政文書のアイデア出しに使ってもらう想定でしたが、4ヵ月後のアンケートでは業務利用は3割程度、そのうち生成用途で使えていたのは2割程度でした。使っている職員の中にも、生成AIが本来得意とはしない検索の道具として扱っている人が少なくありませんでした。
編集部の見立てでは、ここでのつまずきは職員のやる気やツールの性能ではなく、「入力欄に何を書けば仕事が前に進むのか」が庁内で誰とも共有されていなかった点にあります。検索窓に慣れた人がチャット画面を前にすれば、まず単語を打ち込んで答えを探そうとするのは自然な反応でしょう。困りごとの本質は利用率という数字そのものではなく、生成AIの使い方の型が庁内に一つも流通していなかったことではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
講義の中心に置かれたのは、効果的な回答が得られるプロンプトの書き方をフォーマット化し、受講者が実際に手を動かして試す時間でした。役割をハッシュタグで指定するといった具体的な書式にまで踏み込んだのは、「生成AIは便利だ」という総論で終わらせず、翌日の業務でそのまま真似できる形に落とし込む狙いがあったと考えられます。書式という共有可能な形にした点が効いていて、個人の勘に留まるコツのままでは、隣の席の職員にすら伝わりません。
題材を行政の実務に寄せた設計も、要因として大きいはずです。プレゼンの構成案づくりや行政文書の作成という、受講者が日常的に抱えている作業を教材にすれば、講義の内容と自分の仕事が自然につながります。基礎の解説は「生成AIとは何か」の範囲にとどめ、残る時間を実務的な活用法とハンズオンに充てた配分は、関心を技術の理解ではなく業務の側へ引き寄せる働きをしたと見ています。
対象を主に若手職員に絞り、対面とオンラインを合わせて1回50人規模、1時間×2回という枠に収めた組み立ても見逃せません。全職員を一度に集める形にすれば日程調整だけで消耗しますが、まず動きやすい層に届けてそこから庁内へ広げる順序なら、最初の一歩は軽く踏み出せます。加えて講義を録画して庁内に残した判断により、研修は当日限りの催しではなく、あとから誰でも取り出せる庁内の教材に姿を変えました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
受講後の職員アンケートには「使い方を学べてよかった」「プロンプトでハッシュタグを使って役割を与えることが効果的なのは知らなかった」といった声が集まり、「時間が短かったのでもっとボリュームがあってもよかった」という要望まで出ています。講義後には複数の職員が講師のもとへ質問に向かいました。録画映像は庁内に公開されてさまざまな年代の職員が視聴しており、課長以下全員が受ける必修のDX講座でも教材として使われています。一方、利用者数を増やすことは現在も第一目標として残されています。
うちでも使える?
参考にしやすいのは、生成AIのアカウントは配ったものの使われていない、という状態にある組織です。この事例で効いたのは新しいツールの追加ではなく、書き方の型と業務に即した題材を用意したことなので、追加の投資をせずに真似できる余地があります。文書づくりが仕事の中心を占める職場とは、とりわけ相性がよいでしょう。
そのまま持ち込みにくい場面もあります。ワークショップで扱われたのは挨拶原稿や行政文書といった、成果物の形がある程度決まっている作業でした。担当者ごとに扱う情報がばらばらで、出来上がりの形も定まらない業務では、共通の型をつくる段階で行き詰まります。また今回は、新しいツールへの抵抗が比較的小さいと考えられる若手職員から入っている点にも注意が必要です。年齢構成や繁忙の度合いによっては、同じ順序が同じように機能するとは限りません。
まず試すなら、社内で生成AIをうまく使っている人に、実際に打ち込んだ指示文をそのまま一つ出してもらうところから。文章として共有できる指示文が一つあれば、それが型の出発点になります。
この事例は2024年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
クラスメソッド株式会社
AWSなどのクラウドに関する知見を持ち、ChatGPTやAmazon Bedrockなど各種生成AIサービスの選定からインフラ構築、アプリ開発までを支援する企業。上越オフィスを有し、地域IT団体ORAJAの会員として地域活動も行う。
上越市
出典・参考情報
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