実施 2024.08 ・ 更新 2026.08.14
アマダ、生成AIで社内IT問い合わせを自動化しヘルプデスクの稼働時間を3時間短縮
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内ITの問い合わせ電話が鳴りやまない
- ヘルプデスクの人手が足りず電話に出られない
- AIを試したが回答精度が上がらなかった
どのようなAIの取り組み?
生成AIのチャットボットで社内ITの問い合わせ対応を自動化し、ヘルプデスクの人的負担を軽くしたAI取り組み
業種
金属加工機械製造(製造業)
取り組み領域
情報システム/社内ITヘルプデスク
使ったAI
生成AIチャットボット「Benefitter」(RAG)
主な成果
電話に出られない件数が月50件未満に減少
金属加工機械メーカーのアマダは、社内ITに関する社員からの問い合わせに生成AIが自動で応答する仕組みを構築しました。使われているのは、長年の取引関係にあるCTC(伊藤忠テクノソリューションズ)のチャットボット「Benefitter」です。以前に検討していた他社の仕組みでは、検索用のデータを新たに作り直す必要があるうえ、回答精度も伸び悩んでいました。2024年5月末から約2週間のPoC(小規模な試験導入)で精度を確かめたうえで正式採用し、CTCの支援のもと約1カ月半で社内IT関連のドキュメント約650件を検索対象として整備。2024年8月上旬に本番運用へ移しています。運用開始後は、ヘルプデスクの電話に集中していた問い合わせの一部が、社員自身の自己解決へと移りつつあります。
出典:Benefitter(生成AI)を採用した株式会社アマダ 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ 発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ITヘルプデスク業務は外部の協力会社に委託されており、そこには1日あたり100件から200件近い問い合わせの電話が寄せられていました。担当者の人数が限られているため電話に出られないケースが多く、稼働時間は月曜から土曜の午前8時30分から午後8時まで。その枠を外れた時間帯には、社員がICT部門へ直接連絡してくることもありました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は問い合わせの件数そのものではなく、答えにたどり着く経路が「電話をかけて人に聞く」の一本しかなかったことにあります。社内IT関連のドキュメントはGoogleドライブに蓄積されていた一方で、閲覧権限は特定の社員に絞られていました。知識は社内に存在しているのに、それを必要とする社員の手元には届かない。電話が鳴りやまない状態は、その構造が表面に出た症状だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
決め手になったのは、生成AIに検索させるデータを新たに作り直さずに済む方式を選んだ点です。先に検討していた仕組みでは学習用(検索用)のデータを別途用意する必要があり、その工程自体が精度と工数の両方で足かせになっていました。既存のデータやドキュメントをそのまま検索対象にできる方式へ切り替えたことで、準備作業の性格が「新しく作る」から「いま持っているものを整える」へと変わっています。約2週間という短いPoCで採否の見通しを立てられたのも、この前提の違いが効いたと考えられます。
運用の担い手を業務部門側に置けるかどうかを選定の基準に入れた判断も見逃せません。コーディングを前提とする仕組みでは、Q&Aの追加や修正のたびにプログラミングができる人材の手が必要になり、問い合わせ内容の変化に追随しにくくなります。手を入れられる人を増やしておく設計は、公開直後の精度よりも、運用が続くほど差が開いていく部分です。
この事例に固有の工夫として挙げたいのが、閲覧権限の壁を残したまま回答経路だけを開いた設計です。社内IT関連のドキュメントはGoogleドライブ上で閲覧者を絞って管理されていましたが、CTCは生成AIによる検索専用のアカウントを設け、社員の誰もがBenefitterを介して必要な情報にたどり着ける形をとりました。あわせてCTCはBenefitterの仕様そのものを改修し、検索対象にできるドキュメントの形式と数を広げています。本来なら半年規模とされた構築を約2カ月で立ち上げられた背景には、製品の作り手側が仕様に手を入れられる体制があったことが大きいでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
自動応答システムの利用は運用開始後に伸び、2025年に入ってからは月平均600件から700件のアクセス、2025年6月には739件に達しています。担当者が手一杯で問い合わせの電話に出られないケースは、以前の月50件から100件程度から、現在は50件未満に収まっています。これを受けてアマダは2025年7月から月曜と土曜の稼働時間を従来比で3時間短縮し、同じ仕組みを製品開発の現場で使われるCADソフトウェアのヘルプデスク業務にも広げました。人事部門や総務部門への適用も計画されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内の手順書やマニュアルがすでに一定量そろっていて、寄せられる質問の多くが「どこに書いてあるか分からないだけ」という状態の組織です。この事例で新しく作られたのは知識そのものではなく、既存の文書へたどり着く経路でした。650件規模のドキュメントが手元にあったからこそ、短い期間で実用に足る精度まで届いたという読み方ができます。
逆に、答えが担当者の頭の中にしかない場合や、端末ごとの設定や過去の経緯を確認しないと答えられない類の問い合わせは、同じやり方では受け止めきれません。文書の管理権限が部署ごとに細かく分かれている組織でも、検索専用アカウントに相当する仕掛けをどう安全に組むかが、精度の話より先に議題になります。
試すなら、直近1週間に届いた問い合わせを3件ほど選び、既存の手順書だけで自分が答えにたどり着けるかをやってみること。たどり着けないなら、先に足りないのはAIではなく文書の側です。
この事例は2024年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
生成AI機能を備えたチャットボット「Benefitter」を提供するIT企業。BenefitterはCTCのAWSマネージドサービス「CUVIC on AWS」上で構築されたAIアプリケーション開発プラットフォームで、Azure OpenAI等のLLMや外部データを統合したRAGの仕組みを実装している。
株式会社アマダ
出典・参考情報
Benefitter(生成AI)を採用した株式会社アマダ 様の事例 | CTC - 伊藤忠テクノソリューションズ
発行元:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
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