実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.14
通話のリアルタイム文字化で月150時間削減、ホテル43店舗の問い合わせ窓口
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話のあと処理に時間を取られている
- 必要な情報がシートに散らばって探せない
- 新人が電話に出られるまで時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
受電基盤と音声認識AIを連携させ、通話をその場で文字化して月間150時間の工数削減につなげたAI取り組み
業種
ホテル運営(宿泊・観光)
取り組み領域
カスタマーセンター/電話対応
使ったAI
RECAIUS コンタクトセンタープラス(音声認識AI)
主な成果
オペレーター業務を月間150時間削減
全国に43店舗のリッチモンドホテルズを展開するアールエヌティーホテルズは、2020年に開設したカスタマーセンターで宿泊予約や各種問い合わせの電話を受けています。受電にはクラウド型のAmazon Connectを使っていましたが、通話内容を確認する手段は録音の聞き直しに限られ、話しながら文字で追うことはできませんでした。ここに東芝デジタルソリューションズの音声認識技術を用いたコンタクトセンター業務支援パッケージ「RECAIUS コンタクトセンタープラス」を組み合わせ、通話音声をリアルタイムにテキスト化してPC画面へ表示し、各地のホテル情報をFAQとして集約したうえで通話内容に応じて自動表示する形に変えています。2023年3月にテスト運用を始め、数か月の検証と調整を経て同年11月に本格運用へ移行。オペレーター業務は月間150時間ほど削減されました。
出典:Amazon Connect連携で音声のリアルタイムなテキスト化を実現 カスタマーセンター業務の効率化に貢献する「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」 | 事例紹介:デジタル事業 | 東芝 発行元:東芝デジタルソリューションズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
センターを立ち上げてから表に出てきたのは、回答を探すあいだに通話が長引き、その分だけ通話後の記録や整理(アフターコールワーク)も膨らむという連鎖でした。全国各地のホテル情報はスプレッドシートで管理されており、電話のたびにどこに何が書かれているかを確認する必要があったうえ、それを使いこなすためのオペレーター教育も軽くない負担になっていました。要望や意見を伺う通話は長時間になりやすく、録音を聞き直して必要な情報を拾い直す作業まで発生します。その間は新しい電話に出られず、受電率の低下に直結していました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は人手や件数の不足ではなく、情報の在りかを人の記憶に預けたまま業務が回っていた点にあります。探す時間は熟練度で大きく変わるため、負荷は件数よりも「誰が電話を取ったか」で決まってしまう。改善が急務と語られた背景には、この不安定さがあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
受電の土台であるAmazon Connectはそのまま残し、足りていなかった一点だけを外から補った構成が、実運用への移行を現実的なものにしています。Amazon Connectで受けた情報を連携モジュール経由でRECAIUS コンタクトセンタープラスへ渡し、通話内容をその場でテキスト化して画面に映す流れで、このモジュールはRECAIUSのセールスパートナーである株式会社オプトエスピーが作成しました。録音そのものは開設当初から動いていたのですから、課題はデータの有無ではなく、通話中に使える形になっていないことだった。既存基盤を入れ替えず、リアルタイム性という欠けた機能だけを足す切り分けが効いています。
もうひとつの要因は、探すという行為自体を業務から外した設計です。これまで蓄積してきた全国のホテル情報をFAQとして一元化し、通話内容に応じて必要なものを自動で提示する形にしたことで、情報にたどり着く速さがオペレーターの慣れに左右されにくくなります。必要な知識をナレッジとして登録し続ける運用とセットになっている点も見逃せません。
本格運用の前に数か月の検証期間を置いた進め方も、この種の仕組みでは軽視できない工夫だと考えられます。キーワードの辞書登録や、オペレーターの発話に合わせたチューニングは東芝側が担い、運用開始時にはマニュアル提供やサポートも行われました。音声認識の精度は現場で実際に飛び交う固有名詞や言い回しで決まる以上、テスト運用で語彙を寄せてから正式運用へ移す順序は、導入後の失望を避ける現実的な段取りです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
1件あたり平均10分ほどの通話に対して5分ほど発生していたアフターコールワークが約3分短縮され、月間では150時間ほどの工数削減になっています。現在は1日平均200件ほどの問い合わせを10名ほどの体制で扱う状況です。会話の途中で相手の名前や会社名を失念しても、聞き返さずに画面上のテキストで確認できるようになった点は、応対品質の面での効果として挙げられています。情報が一か所に集約され、ナレッジ登録を重ねることで熟練度を問わず対応できる状態は、新人教育のコスト面にも効いています。応対品質の数値化や在宅勤務での運用、生成AIとの連携は、これからの検討課題として置かれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、通話や対面のやり取りで得た情報を、あとから記録・整理し直している業務です。すでに録音や記録の仕組みがあるのに活用が後回しになっている場合はとくに、基盤を入れ替えずに文字化と表示の部分だけを足す進め方が取りやすいでしょう。参照する情報がFAQのように整理できる性質であることも条件のひとつです。
一方で、回答が毎回異なる交渉や、その場の状況判断に大きく依存する応対では、FAQを自動提示しても対応時間はさほど縮みません。方言や略語、社内独自の固有名詞が多く飛び交う現場では、辞書登録やチューニングにこの事例と同様の助走期間が要ると見ておいたほうが安全です。取り扱う内容によっては、通話内容をテキストとして保持することの社内ルールも先に整理が必要になります。
まず試すなら、直近1週間の通話のうち「録音を聞き直した回数」を数えてみてはどうでしょうか。聞き直しが多い通話の種類が特定できれば、文字化とFAQ提示のどちらが効くのかを判断する材料になります。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
東芝デジタルソリューションズ
東芝独自のAIによる音声認識技術を利用したコンタクトセンター業務支援パッケージ「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」を提供。会話音声のテキスト表示・検索・要約、オペレーターの通話状況表示やチャット機能によるオペレーター支援、問合せ内容に応じたFAQレコメンド機能、応対品質情報のダッシュボード表示などの機能を提供している。
アールエヌティーホテルズ株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
