実施 2023.09 ・ 更新 2026.08.14
音声AIで通話をすべて文字起こし、窓口の対応品質を底上げしたサポート現場
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話応対の評価が担当者任せ
- 応対品質を一部しか確認できない
- 新人の電話対応の育成に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
通話音声の自動テキスト化と評価ダッシュボードにより、応対評価の社外委託をなくし、平均処理時間を2分短縮したAI取り組み
業種
ITサービス(IT・通信)
取り組み領域
サービスデスク/コンタクトセンター
使ったAI
RECAIUS™ コンタクトセンタープラス(音声認識AI)
主な成果
応答率が約5%向上、平均処理時間を2分短縮
東芝ITサービスは、顧客企業のシステム運用を支えるサービスデスクを運営しています。この現場に、東芝デジタルソリューションズの音声認識AI「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」を導入し、オペレーターの通話音声を自動でテキストに変換する仕組みを整えました。文字になったやり取りは評価ダッシュボードに集まり、あいづちの回数や顧客のポジティブな反応、NGワードといった標準の指標に、同社が独自に決めた評価軸を加えた形で全通話が採点されます。通話後にまとめて文字化するバッチ版と、通話中に即時に文字化するリアルタイム版があり、案件の性質に応じて使い分けながら、応対の最中に管理者が支援へ入る体制も敷かれています。
出典:通話データの見える化でコンタクトセンター業務の品質向上を支援する「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」 | 事例紹介:デジタル事業 | 東芝 発行元:東芝
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
このサービスデスクでは、窓口ごとに応対品質の向上へ取り組んでいたものの、全体のサービスレベルをそろえることが課題として残っていました。応対評価は社外へ委託しており、セキュリティ上の事情から評価者に出張してもらう必要があって、手間もコストも積み上がります。しかも評価できるのは、録音された応対記録から無作為に抜き出した一部の範囲にとどまっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は評価する人手が足りないことではなく、品質を語るための共通の物差しが窓口をまたいで存在しなかった点にあります。抽出評価は、たまたま選ばれた数本の通話を全体の代表として扱う仕組みですから、評価される側にとっては納得しにくく、窓口ごとの差を埋める根拠としても弱い。外部委託の費用は目に見える形で表れていた症状であって、その下には、品質を全員が同じ基準で確認できないという構造の問題が横たわっていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
あいづちの回数、顧客のポジティブな反応、NGワードといった標準で備わる評価軸に、自社独自の軸を足せる設計が、この取り組みの土台になっています。既製の指標だけでは、機器の障害受付や切り分け、各窓口へのエスカレーションといった、この現場ならではの応対の良し悪しまでは測れません。標準の物差しを共通言語として据えたうえで、現場が納得できる基準を上乗せする組み立てにしたことで、評価が窓口ごとの主観へ引き戻されずに済んだと考えられます。
評価の対象を抜き取りから全通話へ広げた判断も見逃せません。全件を同じ軸で採点できるようになると、評価は「たまたま選ばれた一本の出来」ではなく、その人の応対の傾向を示すデータへと性質を変えます。人事考課の根拠として使われるようになったのは、この変化があってのことでしょう。
案件の性質に合わせてバッチ版とリアルタイム版を使い分ける運用は、評価の仕組みを日々の応対支援と地続きにしました。応対中の支援が必要な案件では、管理者が画面上でやり取りを追い、必要なときだけ手を差し伸べられます。ネガティブなキーワードが出たときのアラートは、管理者への通報ではなくオペレーター自身が気づいて言い方を立て直すための合図として働き、問い合わせ内容に応じたFAQの自動表示も同じ画面の中で完結する。測る仕組みとその場で助ける仕組みを一つの土台へ載せた設計が、監視されている感覚ではなく支えられている感覚を生んだと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
FAQの自動表示と管理者のフォローが受けやすくなったことで、待たせる場面や折り返しの電話が減り、応答率は約5%向上、一件あたりの平均処理時間は2分短縮されました。応答できずに留守番電話へ残された録音も自動で文字になり、要約機能によって必要な部分を短時間で把握できます。新規オペレーターの教育期間は従来の2カ月程度から1カ月ほどへ縮まり、社外へ委託していた応対評価は自動化されて委託そのものが不要になりました。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、やり取りが音声や文章として必ず記録に残り、なおかつ「良い対応とは何か」をある程度まで言葉にできる業務です。標準の評価軸をひな形として使い、自社の事情に合う軸を足していく進め方であれば、評価の設計を一から始める必要はありません。
一方で、この方式が測れる範囲には限りがあります。あいづちやNGワードのように、発話の表面に現れる要素を数える組み立てである以上、提案の筋の良さや、相手の状況を踏まえた判断の妥当性といった、言葉数には表れない要素までは拾いきれません。通話の録音とテキスト化を前提にする以上、顧客への説明やデータの取り扱い方針の整理も避けて通れず、社外委託をやめれば完結するという話でもない。
手始めとして、いま使っている応対評価シートを開き、その項目のうち通話の文字起こしから機械的に数えられるものがいくつあるかを確かめてみてはどうでしょうか。ほとんど数えられないなら、AI選びの前に評価軸そのものを作り直すところが出発点になります。
この事例は2023年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
東芝デジタルソリューションズ
音声認識技術によって通話内容や応対品質を可視化するコミュニケーションAI「RECAIUS™ コンタクトセンタープラス」を提供。会話音声のテキスト表示・検索・要約、FAQレコメンド、応対品質ダッシュボードなどの機能でコンタクトセンター業務を支援する。
東芝ITサービス株式会社
出典・参考情報
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