実施 2023.06 ・ 更新 2026.08.15
大林組のダム工事、ドローン空撮画像のAI解析で進捗確認を遠隔化する実証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広い現場の測量に人手を取られている
- 危ない場所での確認作業を減らしたい
- 現場に行かないと進み具合が分からない
どのようなAIの取り組み?
ドローンの空撮画像を画像解析AIで判定し、ダム建設工事の測量と進捗把握の自動化を検証した実証実験の事例
業種
総合建設業(建設・土木)
取り組み領域
建設現場の測量・進捗管理
使ったAI
画像解析AI(DeepLab v3によるセマンティック・セグメンテーション)
主な成果
実証実験で工事進捗の解析に高精度の検出結果
大林組とKDDIスマートドローンは、ドローンやAI、IoTを組み合わせて建設現場の生産性を高める技術開発を共同で進めており、その第一弾として三重県の川上ダム建設工事で測量の自動化に向けた実証実験を実施しました。現場上空をドローンが目視外の自律飛行で回りながらカメラで空撮し、その画像をクラウド環境へアップロードして画像解析AIにかけることで、測量と工事の進み具合を可視化する流れです。AIモデルの構築とクラウド活用を含む技術開発は、開発パートナーとして参画したアイレットが担当しました。Amazon SageMakerのノートブック上に機械学習の実行環境を整え、画像をピクセル単位で切り分ける解析手法を使って、建造物の進捗を細部まで確認できるモデルを作り込んでいます。
出典:建設現場の空撮画像を高精度に解析する AI モデルを構築|株式会社大林組様・KDDIスマートドローン株式会社様の導入事例 発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
日本の就労人口が減るなかで、工事現場では作業の効率化と自動化を求める声が強まっています。今回のプロジェクトが掲げたのは、現場の測量や進捗計測を自動化すること、そして人力では測量が難しい地点でも安全に計測できるようにすることでした。
ただ、編集部の見立てでは、ここでの困りごとの芯は「測量に人手がかかる」という作業量の話だけではありません。ダム本体のような大きな構造物では、いま何がどこまで出来上がっているのかを知るために、誰かが現場まで足を運んで自分の目で見るしかない、という確認手段そのものの制約が横たわっていました。人が行けない場所は測れず、人が行ける場所も移動の時間ごと消えていく。作業の速さを改善するより先に、確認のやり方を人の移動から切り離す必要があった。そう捉えると、ドローンと画像解析という組み合わせが選ばれた理由も自然に読めます。
どうやって、うまくいったのか
複数のアーキテクチャを実際に比べたうえでモデルを決めた進め方が、この取り組みの土台になっています。画像解析AIにはUnetをはじめとする複数の候補が検証され、最終的にDeepLab v3が採用されました。狙いは、セマンティック・セグメンテーションと呼ばれる、画像をピクセル単位で領域に切り分ける手法によって、建造物のどこがどこまで出来ているかを細部まで見分けられるようにすることです。進捗を「面」として捉えたいという業務側の要求と、モデルが得意とする出力の形を突き合わせて選定した点に、実務からの逆算が見て取れます。
学習環境をAWSのマネージドサービスで固めた設計も効いていると考えられます。機械学習モデルの環境構築にはAmazon SageMakerのノートブックが使われ、フレームワークはKerasとTensorFlowという実績のある組み合わせでまとめられました。基盤づくりに手をかけすぎない構成を選べば、そのぶんの労力をモデルの比較検証や精度の作り込みへ回せます。何を自前で組み、何を既製のサービスに任せるかの線引きが、限られた期間の検証を成立させたのではないでしょうか。
撮影から解析までを一つの流れとして組み立てた点も見逃せません。ドローンが目視外の無人飛行で自律的に現場上空を回り、機体のカメラで撮った画像をクラウドへ上げ、そこで解析する。この一連の動線が最初から想定されていたからこそ、現場の作業と分析基盤が分断されずに済みました。役割分担も明快で、現場と課題を持つ大林組、ドローン運航を担うKDDIスマートドローン、AIモデル構築とクラウド活用を受け持つアイレットが、それぞれの持ち場で噛み合っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実証実験の結果として、工事進捗状況の解析について高精度の検出結果が得られています。従来は現場に赴かなければ確認できなかったダム建設の進捗を、遠隔から安全に把握できるようになった点が、この検証で確かめられた中身です。これにより人的リソースの軽減への期待が高まった、という段階であり、削減効果そのものが数値で確定したわけではありません。確認手段を人の移動から切り離せると分かったこと自体が、次の展開に向けた土台になっています。
うちでも使える?
この事例のやり方が生きるのは、対象が屋外にあって上から見渡せること、そして知りたい状態が「どこまで出来上がったか」のように面や領域として画像に写ることの二つが揃う場合です。造成地、資材置き場、太陽光パネルの設置範囲、農地や法面の状況など、広さのわりに見に行くコストが高い対象とは相性がよいはずです。
一方で、そのまま応用しにくい場面もあります。建物の内部や覆いの下にある工程は空からは写りませんし、進捗の判定が図面との細かい照合や手触りの確認に依存する作業では、画像だけでは判断材料が足りません。目視外での自律飛行を前提にするなら、飛行の許可や安全管理といった運用体制も併せて必要になります。加えて、この検証で高精度が確認されたのは特定の現場と対象についてであり、別の対象へそのまま持ち込めば同じ精度が出るとは限りません。
最初の一歩としては、大がかりな仕組みを考える前に、今ある現場写真を数枚並べて「この画像だけで進捗を判定できるか」を関係者数人で突き合わせてみることをおすすめします。判定が割れる箇所こそ、AIに任せる前に定義を決めるべきポイントです。
この事例は2023年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
KDDIアイレット株式会社(アイレット)
クラウド支援サービス「cloudpack」を提供する企業。AWS をはじめとするクラウドに関する実績とノウハウを持ち、AWS・Google Cloud・OCI の導入支援や生成 AI 導入支援サービスを展開している。
株式会社大林組・KDDIスマートドローン株式会社
出典・参考情報
建設現場の空撮画像を高精度に解析する AI モデルを構築|株式会社大林組様・KDDIスマートドローン株式会社様の導入事例
発行元:KDDIアイレット株式会社(cloudpack)
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